ゾーンブレイクとは?2-3・1-3-1ゾーンの崩し方をNBAの実例で解説|100日後に戦術マスターになるNBAファンへの道 20日目

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ゾーンブレイクとは、ゾーンディフェンスを崩すためのオフェンスのことです。ポイントは「ディフェンダーとディフェンダーの間(ギャップ)に立つ」「ゾーンの真ん中(ハイポスト)とゴール横(ショートコーナー)でボールを受ける」「ボールを速く逆サイドへ動かす」の3つに集約されます。

この記事では、2-3・3-2・1-3-1の各ゾーンの弱点と狙う場所、具体的な攻め方、部活でも使える練習方法、NBAでの実例を順番に解説します。NBA観戦の見方としても、自分のチームでゾーンを崩したいときの参考としても使えるようにまとめました。

ゾーンブレイクの基本原則5つ

ゾーンの型が違っても、崩し方の考え方はほとんど同じです。まずはこの5つを押さえてください。

  1. ギャップに立つ:ディフェンダーの正面ではなく、2人の守備範囲の境目に立ちます。ボールを持った瞬間に2人が「どちらが行くか」迷い、どちらかが遅れます。
  2. 真ん中でボールを受ける:フリースローライン付近(ハイポスト)でボールを持つと、ゾーン全体が中へ縮みます。そこから外にもゴール下にもパスが出せます。
  3. ボールを速く逆サイドへ動かす:ゾーンはボールの位置に合わせて全員が動きます。ドリブルより速いパスで逆サイドへ振ると、スライドが間に合わなくなります。
  4. ゴール横・ベースラインを使う:ショートコーナー(ゴール横のベースライン付近)は、多くのゾーンで誰が守るかがあいまいになる場所です。
  5. ドライブで2人を引きつける:ギャップへのドライブで2人を寄せ、空いた外のシューターへパスを出します。ゾーン相手でも、ドライブは消えません。

ゾーンの型ごとの弱点と狙う場所

ゾーンディフェンスは、ディフェンダーが特定の選手ではなくエリアを守る守備です。代表的な3つの型と、その崩し方を整理します。

ゾーン 配置 弱いエリア 最初に狙う形
2-3ゾーン 前に2人、後ろに3人 ハイポスト、ウイング、トップ ハイポストに入れて、ショートコーナーか逆サイドのウイングへ
3-2ゾーン 前に3人、後ろに2人 ゴール下、ショートコーナー、コーナー ローポストとショートコーナーにボールを入れ、ゴール下を攻める
1-3-1ゾーン トップ1人、中央3人、ゴール下1人 コーナー、ベースライン コーナーにボールを運び、ベースラインからゴール下の1人を2人で攻める

2-3ゾーンの崩し方

2-3ゾーンはゴール周りに3人がいるため、ペイントへのドライブやポストプレーに強い守備です。その代わり、前の2人の間と、フリースローライン付近が空きやすくなります。

基本は、トップにガードを1人置いて前の2人の間に立たせ、ハイポストにもう1人を入れる形です。ハイポストでボールを持った選手は、ゴールを向いてシュート、ゴール下へのパス、ショートコーナーへのパスの3つを選べます。後ろの真ん中の選手がハイポストに出てくればゴール下が空き、出てこなければミドルシュートが打てます。

3-2ゾーンの崩し方

3-2ゾーンは外のシューターを守りやすい反面、ゴール下を2人で守ることになります。ボールをローポストに入れ、ディフェンダーが寄ったところで逆側のゴール下へパスを通すのが基本です。コーナーにボールが入ると、後ろの2人のうち1人が出てくるため、そこからゴール下を狙えます。

1-3-1ゾーンの崩し方

1-3-1は、トップとウイングでトラップ(2人で挟む守備)を仕掛けやすい攻撃的なゾーンです。真ん中やウイングでボールを持たされると苦しくなるので、早めにコーナーへボールを運びます。ゴール下を守るのは1人だけなので、コーナーとショートコーナーの2人で攻めると、守る側は手が足りなくなります。

具体的な攻め方4つ

1. ハイポストアクション

フリースローライン付近に選手を置き、パスの起点にします。ボールを受けたらすぐにゴールを向くことが大切です。背中を向けたままだと、ゾーンは縮まずに済んでしまいます。ミドルシュートを決められる選手がここに立つと、効果が大きくなります。

2. オーバーロード(片側に人数をかける)

ボールのある側に4人を集め、片側だけ攻める人数を守る人数より多くする形です。ゾーンは決まったエリアを守るため、片側に人数が増えても守る人数は増えません。1人余った選手がノーマークになります。

3. ドライブ&キック

ギャップへドライブして2人のディフェンダーを引きつけ、空いた外の選手へパスします。ゾーンが中へ縮んだ瞬間に外へ出すことで、余裕を持ったシュートが打てます。

4. ゾーン内のスクリーン

ゾーンのディフェンダーに対してスクリーンをかけ、守備範囲の外へ動けなくします。特に後ろの列の選手にスクリーンをかけると、コーナーやウイングのシューターが空きます。

相手がゾーンを使ってくる場面と、最初の1本の入り方

ゾーンは試合を通して使われるとは限りません。多いのは、相手のリズムを変えたいとき、ファウルがかさんだ選手を守りたいとき、そしてタイムアウト明けやフリースローの後など、オフェンスが整う前のタイミングです。まず大切なのは、「今ゾーンだ」と全員が早く気づくことです。ディフェンダーが自分についてこずに同じ場所に残る、2人が同じ選手の近くにいる、といった様子が見えたら、ゾーンの合図だと考えてください。

ゾーンだと分かったら、最初のポゼッションでは無理にシュートを打たず、ハイポストかショートコーナーに一度ボールを入れるのがおすすめです。どこまでディフェンスが寄ってくるか、誰がどこを守っているかが分かると、2本目以降の攻め方が決めやすくなります。逆に、最初の数本を外からのシュートだけで終えてしまうと、「このゾーンは効いている」と相手に思わせることになり、試合の流れまで渡してしまいがちです。

また、最近は人を見ながらエリアも守る「マッチアップゾーン」や、ボールマンだけをマンツーマンで守る「ボックスワン」などの変則的な守備もあります。こうした守備でも、ギャップに立つ、真ん中でボールを受ける、逆サイドへ速く振る、という基本は変わりません。

部活・チームで使える練習ドリル

ゾーンを崩す動きは、5対5の中でいきなり身につけるのが難しい部分です。人数を減らした練習から始めるのがおすすめです。

  1. ギャップ立ちのパス回し(5対0→5対5):ディフェンスなしでコーンを置き、コーンの間に立つ位置を確認しながらパスを回します。慣れたら実際にゾーンを組んで、3本以内のパスでハイポストかショートコーナーにボールを入れる約束で行います。
  2. ハイポストからの3択(3対2):ハイポスト、ショートコーナー、ウイングの3人で攻め、守る2人に対して「シュート・ゴール下・外」の判断を繰り返します。
  3. 逆サイドへの振り(4対3):片側で2回パスを回してから、スキップパス(逆サイドへの長いパス)で振り、ゾーンのスライドが遅れるところを狙います。

なお、日本の育成年代(U15以下)では、ゾーンディフェンスを原則として認めない規定があります。中学生以下のチームでは試合で使う機会が限られるため、最新の規定は日本バスケットボール協会(JBA)の公式資料で確認してください。高校以上では、ゾーンを崩せるかどうかが試合の流れを大きく左右します。

NBAでのゾーンブレイクの実例

NBAでゾーンが話題になった試合として有名なのが、2020年ファイナルのレイカーズ対ヒートです。ヒートはバム・アデバヨを中心とした2-3ゾーンを使い、レイカーズのリズムを崩しにかかりました。これに対してレイカーズは、アンソニー・デイビスやレブロン・ジェームズをフリースローライン付近に立たせ、そこからのミドルシュートやゴール下へのパスでゾーンを攻めたと分析されています。まさに「真ん中でボールを受ける」という原則どおりの攻め方です。

ウォリアーズのように、パスとオフボールの動きが多いチームもゾーンに強いと言われます。止まった状態でボールを回すのではなく、ボールが動くたびに選手もギャップへ移動するため、ゾーンの守備範囲の境目がどんどん生まれるからです。こうした動き方はモーションオフェンスの記事でも詳しく解説しています。

※この記事の以前の版では「2020年プレーオフでヒートがバックスに対してゾーンブレイクを駆使した」と書いていましたが、当時のシリーズで注目されたのはヒートの守備側の工夫だったため、2020年ファイナルの例に差し替えました。

ゾーンブレイクでよくある失敗

  • 外でボールを回すだけになる:ゾーンの外側でパスを回しても、ゾーンは崩れません。必ず一度は中(ハイポストかショートコーナー)にボールを入れます。
  • ドリブルが多すぎる:ドリブルで時間を使うと、ゾーンが元の形に戻る時間を与えてしまいます。
  • シュートが決まらないと焦る:外のシュートが入らない日は、ゴール下とハイポストを使う比率を上げます。ゾーンは外を打たせる守備なので、打たされた外を外し続けるのが一番の負けパターンです。
  • オフェンスリバウンドを捨てる:ゾーンは誰が誰をボックスアウトするかがあいまいになりやすいので、リバウンドを取りに行く価値があります。

今日の宿題

  1. 試合中にゾーンが出てきたら、オフェンスが最初にどこへボールを入れたか(ハイポスト、ショートコーナー、コーナー)を見てください。
  2. ゾーンが崩れた場面で、直前にボールが逆サイドへ動いていたかを確認してみましょう。

ゾーンディフェンスそのものの仕組みはゾーンディフェンスの解説、マンツーマンとの違いはゾーンとマンツーマンの比較でまとめています。

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次回予告

次回は「トランジションディフェンスの極意!速攻を防ぐ戦術」をお届けします。

 

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