セカンドエプロンでNBAは本当に面白くなったのか?リーグは成功と言ってるけど、ちょっと引っかかる

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NBA公式にちょっと面白い記事が出ていました。

テーマは「セカンドエプロン」。ここ数年NBAを追っている人なら、もう嫌というほど聞いている言葉ですよね。「○○はセカンドエプロンを超えるから補強できない」「このトレードでセカンドエプロンを回避」「セカンドエプロンがあるから主力を放出」。いやもう、最近のNBAニュース金の話多すぎません?笑 昔は「サラリーキャップ超えてる」「ラグジュアリータックス払うらしい」くらいを覚えておけば何となく分かった気になれたのに、今はファーストエプロン、セカンドエプロン、ハードキャップ、凍結される指名権……。普通に難しい。

ただ今回NBAの幹部が、このセカンドエプロンについてかなりはっきり話しています。簡単に言ってしまうとリーグ側の評価は「今のところ狙い通り」。確かにここ数年のNBAを見ると、毎年のように優勝チームが変わっているし、金持ちチームがスターを集めまくって何年間も無双する時代とは少し変わってきました。でも、本当にこれはNBAにとって良いことなんでしょうか?

個人的にはこの制度、基本的には結構好きです。ただ一方で、「強いチーム作ったのに、強すぎるから解体してください」みたいになってない?とも思う。今回はセカンドエプロンの仕組みそのものを簡単に振り返りつつ、導入から数年経った今、この制度がNBAを本当に面白くしているのか考えてみます。

そもそもセカンドエプロンって何だっけ?

詳しい制度については以前別の記事で書いているので、今回はかなり簡単に。2026-27シーズンのNBAのサラリーキャップは約1億6,500万ドル、ラグジュアリータックスラインが約2億ドル、ファーストエプロンが約2億900万ドル、そしてセカンドエプロンが約2億2,169万ドルです。もう数字がデカすぎて途中からよく分かりません笑

要するに、チーム全体の年俸がめちゃくちゃ高くなってこのラインを超えると、「金あるなら好きなだけ払っていいですよ」では済まなくなる。ここが今のNBAのポイントです。昔のラグジュアリータックスって、極端に言ってしまえばオーナーが「罰金?払うわ」と言えばかなり戦力を維持できました。金持ちオーナー最強。でもそれだと資金力のあるチームが強すぎるよね、ということで今のエプロン制度ができたわけです。

NBA側も今回、以前は毎年2〜3チーム程度の超高額ロスターが大きな支出によって競争上の優位を得ていたと説明していて、セカンドエプロンの目的はそこを抑えることだと話しています。つまり単純に「税金を多く払わせる」だけではなく、「金を使いすぎたチームはチーム強化そのものが難しくなる」制度にした。ここがかなり大きいです。

罰金払えばいい、じゃないのがかなりエグい

セカンドエプロンを超えたからといって、その瞬間にチームが何もできなくなるわけではありません。自分たちの選手と延長することはできますし、バード例外を使ってFAを残すこともできます。ただ、新しい戦力を加える方法が一気に減ります。ミッドレベル例外が使えない、トレードで複数選手のサラリーをまとめて一人の高額選手を取れない、といった制限が出てきます。

さらに厳しいのがドラフト指名権です。一定条件でセカンドエプロンを超え続けると、かなり先の1巡目指名権が凍結され、最悪の場合は1巡目の最後まで落とされる可能性すらあります。これ結構すごくないですか?「金いっぱい払うなら税金増やすよ」ではなく、「金いっぱい払うなら、今後チームを強くする方法そのものを減らすよ」なんです。

そりゃフロントも必死にセカンドエプロンを避けますよね。最近のトレードニュースを見ていて「なんでこの選手出したんだ?」と思ってサラリーを調べると、「あーセカンドエプロンか」となることが本当に増えました。NBAを見るのにどんどん会計知識が必要になっています笑

NBAとしてはかなり上手くいってるらしい

今回のNBA公式の記事で個人的に一番面白かったのがここです。リーグ側によると、チーム間の給与総額の格差は縮小しているとのこと。一番金を使うチームの支出を抑える一方で、最低チーム年俸を引き上げたり各種例外を拡大したりして、下のチームにはむしろ金を使わせる。上を下げて、下を上げる。その結果として戦力差を小さくする、という考え方です。

実際、2026年のニックス優勝でNBAは8シーズン連続で異なるチームが優勝することになりました。これだけ見ると「めちゃくちゃ成功してるやん」と思います。自分も、シーズンが始まる前から「どうせこの2チームのどっちかでしょ」というリーグより、優勝候補が5チームも6チームもある方が好きです。プレイオフが始まった時に「今年マジでどこが勝つか分からんな」と思えるのは普通に面白い。

ただ、8年連続で違うチームが優勝したから全部セカンドエプロンのおかげです、というのはさすがに違います。今のCBAが始まったのは2023年で、エプロンの制限も段階的に導入されています。それ以前からウォリアーズ王朝は終わっていたし、レブロンも全盛期終盤に入り、スターの移籍や怪我などいろんな要素でリーグの勢力図は変わっていました。バスケットボールってそんな単純じゃないです。

それでも最近のフロントの動きを見ていると、「セカンドエプロンを意識してロスターを作っている」のは間違いないと思います。

OKCがドートを出したのを見るとちょっと考えてしまう

個人的に今回この記事を書こうと思った理由の一つがOKCです。今オフ、サンダーはルー・ドートをホークスへ放出しました。このトレードによってOKCはセカンドエプロンを下回ることができたと報じられています。

これを見た時、「もう来たか」と思ったんですよね。OKCって、むしろ今のNBAが理想とするチーム作りをしてきたチームじゃないですか。若い選手を集めて、ドラフトして、育てて、指名権も山ほど持って、その結果ちゃんと強くなった。昔のウォリアーズもそうでしたが、自分たちでドラフトして育てて強いチームを作るって、NBAで一番きれいなチーム作りの一つだと思っています。

でも、強くなった若手にちゃんと給料を払うと、今度はセカンドエプロンが来る。もちろんドートだけでなく契約全体を見て判断した結果ですし、OKCが間違っているという話でもありません。むしろ制度を考えれば当然の判断です。ただ、「上手にドラフトして育てたチームまで、最終的には解体しないといけないの?」とは少し思います。

ここは結構難しいです。FAでスターを3人4人集めてサラリーが爆発したチームと、自分たちで育てた選手が成長して高額契約になったチームを、同じ基準で締め付けていいのか。個人的にはここはまだちょっと引っかかります。

セルティックスを見るともっと分かりやすい

ボストンも分かりやすい例ですよね。2024年に優勝したセルティックスは、テイタム、ブラウン、ホリデー、ポルジンギス、ホワイトと、とんでもなく豪華なロスターを作りました。強かった。そりゃ強いわ、というメンバーです。

でもその後、サラリー問題もあってホリデーやポルジンギスを放出。さらに2026年にはジェイレン・ブラウンの移籍を巡ってもセカンドエプロンがかなり話題になりました。これを見ると制度が効いているのは間違いありません。優勝チームでも「じゃあそのまま全員キープしてさらに補強します」は難しくなった。

ただ、強いチームを作る→優勝する→全員の年俸が上がる→維持できない→解体する、これが毎回起こるようになったら、それはそれでどうなんだろうと思います。優勝チームが数年間その強さを維持して、それを他のチームが倒すというストーリーもNBAの面白さの一つだからです。

王朝がないNBAって本当に一番面白い?

これは完全に好みが分かれると思います。自分は優勝争いが毎年混戦になるのは好きです。でも同時に、強烈な王朝がいるNBAもめちゃくちゃ面白かった。

ジョーダンのブルズ、シャック&コービーのレイカーズ、スパーズ、ウォリアーズ。こういう「倒すべきラスボス」がいるから生まれたシリーズもたくさんあります。2016年のキャブスの優勝なんて、73勝ウォリアーズという化け物が相手だったから余計に伝説になったわけですよね。

もし毎年優勝チームが入れ替わって、優勝したチームも2年後には金銭的な理由で主力を整理している。それは競争としては平等かもしれません。でもスポーツとして本当に一番面白い状態なのかは、まだ分からないと思っています。強いチームには「こいつらいつまで勝つんだよ」くらい強くいてほしい気持ちもあるんですよね笑

そしてそのチームを誰かが倒す。それもNBAの面白さだと思います。

オーナーの節約制度ではないらしい

ちなみに今回NBA側がかなり強調していたのが、「セカンドエプロンはオーナーの支出を減らすための制度ではない」ということです。NBAではバスケットボール関連収益の一定割合が選手側へ分配される仕組みなので、トップ数チームの支出が減ったからといって、その分だけ選手全体がもらえる金が減るわけではない。

リーグ側としては、高額チームの支出を抑えつつ、それ以外のチームがより金を使う方向にしたいという説明です。自分も今回ちゃんと読んで「あ、そういう狙いなのね」と思いました。単なる「オーナーが選手に金払いたくない制度」と考えると少し違う。

これを知ると、制度の目的自体はかなり理解できます。リーグ全体の金の流れは維持しつつ、一部のチームだけに戦力が集中することを防ぐ。それなら確かに合理的です。

個人的にはセカンドエプロン、結構好きです

ここまでいろいろ書きましたが、結論としては自分はセカンドエプロン自体には結構賛成です。昔みたいに「金持ってるチームは税金払えばスター何人でも抱えられます」よりは今の方がいい。

特にトレードやFAで無限に戦力を追加できなくしたのはかなり良いと思います。フロントの腕も出ます。ドラフト、若手育成、最低年俸の選手探し、誰といつ延長するか、誰を残して誰を諦めるか。単純に金を払うだけでは勝てなくなった。ここは面白い。

ただ、指名権まで凍結して将来的に1巡目最後まで落とす可能性があるというのは、個人的にはちょっと厳しすぎる気もします。特に自分たちでドラフトして、自分たちで育てた選手が高くなった結果セカンドエプロンを超えるチーム。そこまで同じように罰する必要あるのかな?とは思います。

結局、成功か失敗かはもう少し見たい

NBA側は、給与格差が縮まり、より多くのチームに現実的な優勝チャンスが生まれているとして、かなりポジティブに評価しています。実際そうだと思います。今のNBAは優勝候補が多いし、フロントの判断も難しくなった。トレードを見る時もサラリーや契約まで含めて考える必要が出てきて、それはそれで面白いです。

ただ、自分としてはもう一つ見たい。この制度の中で、一つのチームが3年、4年と強さを維持できるのか。もしできるなら素晴らしい制度だと思います。金だけでは勝てない。でも上手くチームを作れば王朝も作れる。これが理想です。

逆に、どれだけ上手く作っても優勝した数年後には必ず主力を手放さなければいけない制度なのであれば、少しやりすぎなのかもしれません。その答えが見えてくるのは、これからじゃないでしょうか。

とりあえず一つだけ言えるのは、最近NBAを見るのにバスケの知識だけじゃ足りません。

契約、指名権、サラリーキャップ、エプロン、税金。そのうちNBA観戦するのに簿記まで必要になるんじゃないかと思っています笑

まあ、それも含めて面白いんですけどね。

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