NBAを見ていて、一番イライラする瞬間って何でしょうか。応援しているチームが負けること、選手がしょうもないターンオーバーをすること、オープンのスリーを外しまくること。まあいろいろありますが、自分は結構上位に審判が入ります笑。
しかも最近のNBAを見ていると、単純に一つの判定を間違えたという話だけじゃないんですよね。同じくらいのコンタクトでもこっちはファウル、こっちはノーコール。さっきまで許されていた接触が第4Qになったら突然ファウル。選手も何がファウルなのか分からないし、見ている側も分からない。最終的に試合後のLast Two Minute Reportで、あそこはIncorrect Callでした、あそこはIncorrect Non-CallでしたとNBAが発表する。
いや、それ言われてどうすんの?笑
試合はもう終わっています。
もちろんNBAの審判が簡単な仕事じゃないのは分かります。世界トップクラスの身体能力を持つ10人がものすごいスピードで動き続ける中、数十センチの位置関係や一瞬の接触をリアルタイムで判断する。スロー映像を何回も見ている自分たちですら、これどっちだ?となるプレーは普通にあります。だから審判はミスするなと言いたいわけではありません。
人間がやる以上、ミスは絶対にあります。
だったら問題は、ミスが起こる前提でNBAの制度が十分に作られているのかだと思うんですよね。
2025-26シーズン、チャレンジの63.6%が成功している
今回調べていて、最初にちょっと驚いた数字があります。
NBA公式が公開している2025-26レギュラーシーズンのコーチチャレンジ集計では、チャレンジは全部で1,803回。そのうち成功が1,146回、失敗が657回で、オーバーターン率は63.6%でした。ファウルへのチャレンジだけでも1,172回中673回が成功していて、57.4%が覆っています。アウト・オブ・バウンズに至っては586回中447回成功で76.3%です。
もちろん、ここは勘違いしたらダメです。
審判の判定の63.6%が間違っているという話ではありません。コーチは映像スタッフから情報をもらったり、自分たちが明らかに怪しいと思った判定を選んでチャレンジしています。そりゃ普通の判定より成功率は高くなります。
それでもですよ。
1シーズンで1,146回、コート上の判定がチャレンジによって変わった。
普通に多くない?と思いました。
しかもこれはチャレンジされたものだけです。後で書きますが、そもそもチャレンジできない判定も結構あります。
そう考えると、自分は審判個人を叩くより先に、これだけ映像技術が発達している2026年に、本当に今のレビュー制度のままでいいのか?と思ってしまいます。
選手側も審判によってかなり差があると思っている
さらに面白いデータがありました。
NBPAは2025-26シーズン、全30チームの411選手を対象に審判についてアンケートを実施しています。73人の審判を5段階で評価して、Tier 1のElite & Top Performers、Tier 2のSolid Performers、Tier 3のNeeds Improvementという3段階に分類しました。
このうちTier 3、つまり改善が必要と評価された審判が20人います。
73人中20人。
結構いるな笑。
もちろんこれは選手側の主観的な評価ですし、嫌いな判定をされたから評価を下げるみたいなことが絶対ないとは言えません。それでも411人、全30チームから集めたデータなので、単なるSNSの愚痴とは全然違います。
さらに興味深いのが、選手が評価しているのは判定の正確さだけじゃないこと。NBPAによれば、経験、冷静さ、判定の一貫性、選手とのコミュニケーションもかなり重視されています。Grant Williamsも、人間なのでミス自体は起こるけれど、良い審判はコミュニケーションができて、自分が間違えた時も理解していて、試合を一貫して裁けるという趣旨の話をしています。
これ、かなり重要だと思うんですよね。
ファンが見ていて腹立つのも、必ずしも誤審そのものだけじゃありません。同じプレーなのに基準が変わること。選手によって笛の基準が違って見えること。そして審判によって試合の雰囲気まで変わること。
NBA選手側も似たようなところを見ているんだなと思いました。
Last Two Minute Reportって、透明性はある。でも何か虚しくない?
NBAにはLast Two Minute Report、いわゆるL2M Reportがあります。第4Q残り2分のどこかで3点差以内になった試合や延長戦について、最後の2分間の判定と重要なノーコールをNBAが後から検証して公開する制度です。判定が正しければCorrect CallやCorrect Non-Call、間違っていればIncorrect CallやIncorrect Non-Callという形で示されます。
これは他のスポーツと比べてもかなり透明性のある制度だと思います。NBA自身が公式に、審判が間違えましたと発表するわけですからね。隠すより絶対にいい。
でも毎回思う。
で?
って笑。
Game7で残り5秒、1点差。明らかなファウルが見逃されて、そのまま試合終了。翌日NBAが、あれはファウルでしたと認めたとしても負けは負けです。シリーズは終わっています。
もちろん結果を後から変えるわけにはいきません。
だからこそ、試合後に正誤表を出すだけではなく、試合中に正しい判定へ修正できる仕組みをもう少し増やした方がいいんじゃないかと思います。
あと個人的に気になるのは、なぜ最後の2分だけなのかというところ。
第1Q残り30秒の誤審も1点。
第4Q残り5秒の誤審も1点。
バスケットボールの得点としては同じです。
もちろん終盤の方が試合結果との因果関係を語りやすいからL2Mという仕組みになっているんでしょう。でも序盤の誤審で主力が3ファウルになってベンチへ下がったとか、4Qまでずっと影響が残る判定だってあります。
最後の2分だけ綺麗に検証しても、それが試合全体の審判の質を表しているわけではないと思います。
そもそもチャレンジできない判定が多い
現行ルールでは、各チームは基本的に1回のコーチチャレンジを持っていて、最初のチャレンジに成功すると2回目を獲得できます。ただし2回目に成功しても3回目はありません。チャレンジできるのも、自チームに吹かれたパーソナルファウル、相手ボールと判定されたアウト・オブ・バウンズ、ゴールテンディングやバスケットインターフェアなど限られたものです。
ここも前から不思議なんですよね。
1回目。
審判が間違えました。
成功。
2回目。
また審判が間違えました。
成功。
はい、もうチャレンジありません。
いやなんでやねん笑。
チーム側は2回とも正しかったのに、その後は間違った判定があっても修正する権利を失います。
さらにトラベリング、キャリー、ダブルドリブル、フロッピング、3秒ルールなどは単独でコーチチャレンジの対象にできません。相手チームに吹かれたファウルについても、その判定自体をチャレンジすることはできない。ノーコールも基本的にチャレンジ対象外です。
これ、本当に今のままでいいんでしょうか。
自分なら単純に、成功している限りチャレンジ権を残すでいいと思います。
3回チャレンジして3回全部審判が間違っていたなら、悪いのは3回チャレンジしたチームじゃないですよね。
もちろんレビューが増えすぎて試合が止まる問題はあります。でも成功する限りという条件なら、むやみにチャレンジもできません。失敗した時点で終わり。これでかなりフェアになる気がします。
でも全部映像判定にしたらNBAは死ぬほど長くなる
一方で難しいのがここです。
じゃあ怪しいプレーを全部レビューしようとなったら、たぶんNBAの試合が終わらなくなります笑。
アウト・オブ・バウンズ。
トラベリング。
ブロッキングかチャージングか。
シュート前のファウルか。
フレグラントか。
ゴールテンディングか。
毎回映像を見ていたら、本当に4時間くらいかかりそうです。
バスケの面白さってテンポにもあります。速攻で一気に試合が動いて、会場の雰囲気が変わって、その流れのまま次のプレーへ行く。そこで毎回ピーッと止まって3分映像確認されたら、正しい判定でも正直しんどい。
だから審判を全部テクノロジーに置き換えろとは思いません。
必要なのは、人間の審判とテクノロジーをどう組み合わせるかだと思っています。
Replay Center、もっと勝手に介入してよくない?
NBAにはReplay Centerがあります。コーチチャレンジでも、アウト・オブ・バウンズやゴールテンディングなど一部の判定についてはReplay Center Officialが最終判断を行う仕組みがあります。ファウルへのチャレンジではオンコートのクルーチーフが最終判断し、Replay Centerはサポートする形です。
だったらもう少しReplay Center側から自動的に介入してもいいんじゃないかと思います。
例えば完全に足がラインを踏んでいるかどうか。
誰が最後にボールへ触ったか。
ショットクロックに間に合っているか。
こういう比較的客観的に判断できるものは、コート上の審判がモニター前まで歩いて何回も映像を見る必要すらない気がします。ニューヨーク側で映像を確認して、数秒で判定を伝える。
実際スポーツ全体でそういう方向に進んでいます。
NBAももっとここを高速化できないんでしょうか。
人間の感覚が必要なコンタクト判定と、映像を見ればほぼ答えが出る判定を同じ方法で処理する必要はないと思います。
AI審判はさすがに無理。でも補助なら普通にありだと思う
そして2026年なので、当然AIの話にもなります。
全部AIに審判させろ。
これはさすがに自分も反対です笑。
バスケットボールのコンタクトってかなり曖昧です。身体が接触したら全部ファウルではないし、オフェンス側が接触を作ることもある。試合によって許容されるフィジカルさも多少違う。そこを全部機械的に判定したら、逆に意味の分からないバスケになる可能性があります。
でも補助なら全然ありだと思います。
足がアウトラインを踏んだ。
3Pラインを踏んだ。
ショットクロックが切れていた。
ゴールテンディングの位置。
こういうものをカメラやセンサー、画像認識で瞬時にチェックして審判へ知らせる。
テニスのライン判定みたいな方向ですね。
ここまで技術が発達しているのに、人間3人が一瞬で見たものだけを基本にして、間違えたら翌日レポートを出します、はちょっと古く感じます。
審判を叩きたいわけじゃない
ここまで書くと審判批判記事みたいになっていますが、自分は審判個人を叩きたいわけではありません。
むしろ逆です。
人間に完璧を求める制度の方がおかしいと思っています。
NBA公式のチャレンジデータを見るだけでも、コーチが疑問を持った判定のかなりの割合が実際に覆っています。NBPAの調査を見ても、選手は審判によって判定精度やコミュニケーション、一貫性に差があると感じています。
だったら、人による差を小さくする仕組みをリーグ側が作るべきです。
審判に、お前らもっとちゃんと見ろ、と言い続けるだけでは限界があります。
世界最高峰のリーグなんだから、審判を助ける仕組みも世界最高峰であってほしい。
あと選手が審判批判すると罰金なのも少し引っかかる
2026年のプレイオフ期間だけ見ても、NBAはジェイレン・ブラウンに審判への公の批判で5万ドル、デビン・ブッカーにも3万5,000ドルの罰金を科しています。マーカス・スマートには審判のintegrityを疑問視したとして3万5,000ドルの罰金が科されました。
もちろん何を言ってもいいわけではないと思います。
審判への人格攻撃や、根拠なく八百長扱いするのは違う。
でもNBA自身が翌日に誤審を認める制度を持っている一方で、選手が判定について公に強く批判すると罰金。
このバランスはちょっと難しいですよね。
リーグとして審判を守る必要もあるし、選手側が毎試合審判批判を始めたら収拾がつかないのも分かります。でも選手からしたら、自分たちのシーズンや契約や場合によっては優勝まで左右する判定について話したら罰金というのは、そりゃ不満も出るだろうなとは思います。
だからこそNBPAの審判評価みたいに、感情論ではなくデータとして選手側の意見をリーグへ渡す仕組みはかなり良いと思います。
自分ならこう変える
じゃあどうしたらいいのか。
自分ならまず、コーチチャレンジは成功する限り権利を残します。間違った判定を何度も覆したチームが損をする理由がない。
次にReplay Centerの自動介入を増やす。アウト・オブ・バウンズ、ライン、ショットクロックなど映像で明確に判断できるものは、オンコートの審判が長時間レビューしなくてもニューヨークから即座に修正できるようにする。
さらに将来的にはカメラやAIを使って、ライン判定のような客観的な部分を自動化する。
その上で、接触の強さや試合のコントロールなど、人間だからこそ判断できるところは審判に残す。
全部機械にする必要なんてありません。
審判を消すんじゃなくて、審判が間違えにくいリーグにする。
これが一番いいんじゃないでしょうか。
誤審でしたで終わらせるNBAから、誤審を直せるNBAへ
NBAの審判は世界で一番難しい審判の仕事の一つだと思います。だからミスが起こること自体は仕方ないですし、ファンもそこはある程度受け入れないといけない。
でも仕方ないと、何もしなくていいは別です。
今のNBAにはL2M Reportがあります。コーチチャレンジがあります。Replay Centerもあります。昔に比べれば遥かに進歩しています。
それでも2025-26シーズンには1,146件のチャレンジが成功して判定が覆った。
そして翌日にNBA公式から、昨日のあそこは間違いでしたというレポートが出る試合もある。
だったらもう一歩進めてもいいと思います。
試合後に正しかったかどうかを確認するリーグではなく、試合中にできるだけ正しい判定へ直せるリーグへ。
選手のレベルも、戦術も、分析も、映像技術もこれだけ進化しました。
審判制度だってもっと進化していいでしょう。
というかVARだのAIだの言ってる時代に、最後は人間の目で見間違えました、翌日訂正しますはちょっと寂しい笑。
皆さんはNBAの審判制度、今のままで十分だと思いますか?
それともチャレンジやReplay Centerをもっと使うべきでしょうか

