ラッセル・ウェストブルックについてどれだけの人が本当に理解できているのだろうか?移籍話やチームメイトの移籍がある度に、ウェストブルックが原因だという情報が世の中を駆け巡りそれが事実であるかのように報道されてしまっています。はたして本当にそうなのか?そう思い今回はウェストブルックについてご紹介していきます。
彼のNBAキャリアを振り返り、どんな選手なのか、世間からどう見えているのか、
今の”世間の評価”が妥当なのかという点を中心に紹介していきます。
今回は「まとめ」に私から皆様へのメッセージとお願いを記載しました。
正しい情報を取捨選択して、NBAファンとして全ての選手やチームを公平に評価して欲しいと思っています。アメリカ人が発信しているからと言ってそれが正しいわけではないことは改めて理解して欲しい点です。
基本情報
- 所属チーム: WSHウィザーズ(2020-2021年シーズンより)
- 過去所属チーム: OKCサンダー(2008-2019)、HOUロケッツ(2019-2020)
- ドラフト順位: 1巡目4位指名(シアトルスーパーソニックス ←改名により現OKC)
- 生年月日:1988年11月12日
- 身長:191cm
- 体重:91kg
- 出身州:カリフォルニア州ロングビーチ
- 出身校: UCLA(2006-2008年)
NBAキャリアの振り返り
ウェストブルックのNBAキャリアにおいて語るの時に外せないのは何といっても圧倒的なスタッツです。点取り屋であると同時アシストも多くチームの得点の8割以上に関わる特別な才能を持った選手であることが言えます。トリプルダブルの回数も歴代NBAでは飛びぬけています。
まずはスタッツと受賞歴を振り返ります。
スタッツ
得点、アシスト、リバウンドのシーズン平均が2016シーズンから3年連続で平均二桁となっている点やトリプルダブルの数がかなり目立ちますが、ルーキーとしてNBAに入ってからずっと安定して結果を残している点は評価できるのではないかと思います。ここまで怪我も少ないのに大活躍する選手はそうはいません。
3P%がやはり悪い印象ですが完璧な選手はいないの良い例かと思います。
レギュラーシーズン | ||||||||||||
年 | 所属 | 試合数 | 出場 時間 |
トリプル ダブル |
得点 | アシスト | リバウンド | スティール | ブロック | FG% | 3P% | FT% |
2008–09 | OKC | 82 | 32.5 | 1 | 15.3 | 5.3 | 4.9 | 1.3 | 0.2 | 39.8% | 27.1% | 81.5% |
2009–10 | OKC | 82 | 34.3 | 1 | 16.1 | 8 | 4.9 | 1.3 | 0.4 | 41.8% | 22.1% | 78.0% |
2010–11 | OKC | 82 | 34.7 | 3 | 21.9 | 8.2 | 4.6 | 1.9 | 0.4 | 44.2% | 33.0% | 84.2% |
2011–12 | OKC | 66 | 35.3 | 0 | 23.6 | 5.5 | 4.6 | 1.7 | 0.3 | 45.7% | 31.6% | 82.3% |
2012–13 | OKC | 82 | 34.9 | 1 | 23.2 | 7.4 | 5.2 | 1.8 | 0.3 | 43.8% | 32.3% | 80.0% |
2013–14 | OKC | 46 | 30.7 | 2 | 21.8 | 6.9 | 5.7 | 1.9 | 0.2 | 43.7% | 31.8% | 82.6% |
2014–15 | OKC | 67 | 34.4 | 11 | 28.1 | 8.6 | 7.3 | 2.1 | 0.2 | 42.6% | 29.9% | 83.5% |
2015–16 | OKC | 80 | 34.4 | 18 | 23.5 | 10.4 | 7.8 | 2 | 0.3 | 45.4% | 29.6% | 81.2% |
2016–17 | OKC | 81 | 34.6 | 42 | 31.6 | 10.4 | 10.7 | 1.6 | 0.4 | 42.5% | 34.3% | 84.5% |
2017–18 | OKC | 80 | 36.4 | 25 | 25.4 | 10.3 | 10.1 | 1.8 | 0.3 | 44.9% | 29.8% | 73.7% |
2018–19 | OKC | 73 | 36 | 34 | 22.9 | 10.7 | 11.1 | 1.9 | 0.5 | 42.8% | 29.0% | 65.6% |
2019–20 | HOU | 57 | 35.9 | 8 | 27.2 | 7 | 7.9 | 1.6 | 0.4 | 47.2% | 25.8% | 76.3% |
キャリア | 878 | 34.6 | 146 | 23.2 | 8.3 | 7.1 | 1.7 | 0.3 | 43.7% | 30.5% | 79.9% |
主な受賞歴
- NBA シーズンMVP(2017)
- 9 x NBAオールスター選出 (2011-2013,2015-2020)
- 2 x NBAオールスターMVP(2015,2016)
- 2 x NBA得点王(2015,2017)
- 2 x NBAアシスト王(2018,2019)
これだけ見ても凄い選手であることが言えますね。。化物です。
活躍の裏で・・・
そんな大活躍を続けるウェストブルックですが、活躍の裏であらゆるメディアやSNSでマイナスな話題が多く発信されています。
簡潔に説明すると、
”彼のせいでチームが崩壊し、その結果としてウェストブルック以外のスター選手が移籍するハメになっている、というものです。つまり一緒にプレーしたくないと。。”
実際、OKC時代にはケビン・デュラントやジェームズ・ハーデンやポール・ジョージやカーメロ・アンソニーといったNBA史に名を残すレベルのスター達とも一緒にプレーしていますが、いずれの選手も彼を置いて他チームへ移籍しています。
スターが去る度にウェストブルックとの不仲説やウェストブルックが原因ではないかと言った憶測が飛び交い、それがあたかも事実かの様に発信され続けてしまっています。
はたして、彼が原因なんでしょうか?
Russell Westbrook is sick of being disrespected;
“He has been very bothered by the suggestion of the kind of teammate he is…I think those who have played with him in his career consider him a guy who would do almost anything for the guys around him.”
(via @wojespn) pic.twitter.com/bknHxvcYMy
— Hoop Central (@TheHoopCentral) December 3, 2020
批判の要因
こういった報道の要因としてはいくつかあります。
まずは移籍していった選手のファンの憶測です。
好きな選手が同じチームで輝く姿を誰もが見たいのはわかりますが、移籍の原因がウェストブルックと合わないからと言ったこじつけや憶測が発信されると、表面しか見ていない方は事実であると認識してしまうことでしょう。あるいはそう思い込みたいのかもしれませんが。。
次にメディアの存在です。
メディアのレベルやモラル低下等がありSNS上で”バズる”ことを目的としてこういったマイナスな噂を流す悪質なメディアが多々あります。(もしくは悪質なメディアを和訳してしまうパターン等) 「人の不幸は蜜の味」ということわざがある様に、こういった悪い噂を面白がって発信する人も多くいることでしょう。
これらの”作られた情報”を受け取ったファンがそれを事実と思い込んで更に別の方に発信、いつの間にか事実だと誤認している可能性が非常に高いです。
スタッツ稼ぎ?
ウェストブルックは悪いチームメイトなのか?トリプルダブルを達成するためにチームプレイを放棄してスタッツ稼ぎをしているのか?
しばしばこういった情報を目にすることがあります。
それは実際に試合を見ているファンなら確実に分かる事ですがあり得ません。
断言できますが、彼ほど1試合1試合、1プレー1プレーに対してまるで最後のプレーであるかのようにパフォーマンスを発揮する選手はNBAには存在しません。
15年以上NBAを見てきた私が知る限りではコービーやレブロンといった大スターの選手にも匹敵する、むしろ越えていくくらいの気迫溢れるプレーをするウェストブルックが勝つことよりも自分のスタッツを優先させた場面を見たことはありません。
たしかにボールをあまり回さない点やスペースが無いとドライブ成功率が低い面もあります。
プレーが合う、合わないはどの選手同士でもあると思います。それがNBAレベルであれば尚更でしょう。
ファンから見れば選手の活躍で一喜一憂するのも当然ですが、チーム側から見れば勝ちを計算できる選手を中心に据えるのは当然の話です。優勝を目指すのであれば尚更、気持ちの面でチームを引っ張る選手がいてくれるそれだけでも長いシーズンを戦い抜くには信頼を置ける点になります。
ここまでスタッツでもプレーでも気持でもチームを引っ張る存在に対して、どうして彼が悪いチームメイトだと言えるのか?
それは試合を見ておらずスタッツやハイライトしか見ていないからではないかなと考えます。
元チームメイトからの擁護
最後に、
私の個人的な意見や考えではなく彼と一緒にプレーしてきた選手の発言にも注目したいと思います。
彼と同じチームでプレーしたことのあるケビン・デュラント、カーメロ・アンソニー、ポール・ジョージは彼のことをこう語っています。
・カーメロアンソニー ”世間は彼の考え方を理解できていない。彼が何を成し遂げようとしているのか、何を考えているのか誤解をし誤った見方をしている。”
・ケビン・デュラント ”ずっと(世間の)批判は不公平だと思っていた。僕がサンダーを出ていくことが決まってから急に彼がチーム内で嫌われていると報道があるが理解できない。”
・ポール・ジョージ ”彼は僕が僕であることを認めてくれ、居心地がよかった。一緒にプレーすることで自分のキャリアの中でも最高の時間を送れたよ。彼は最高のチームメイトだ。”
まとめ
いかがでしたか?
ウェストブルックのキャリア振り返りや彼に対する批評と事実についてご紹介しました。
この記事を読んでどう受け取るかは人によりますが、
あらゆるメディア/インフルエンサーが色んな立場で無責任な言葉を発信し、世論を誘導していることが多くなってきた世の中で正しいことを自ら調べて自分なりに納得して欲しいと思います。全部の情報を疑う必要はないと思いますが、自分が納得することが大切です。
情報があふれた世の中だからこそ取捨選択しないといけません。
今回ウェストブルックをテーマにこの記事を書いたのは、12月に入りワシントンウィザーズへの移籍が決まってから、再び「彼は悪いチームメイト」、「ハーデンとは不仲」、「チームの内部崩壊の元凶」といった話が再燃しており、未だにこういった事を事実であるかのように発信する方、また、受け取る方が非常に多くて残念な気持ちになったからです。
受け取り方は自由です。でも正しい情報なのか見極める目を養う必要があると感じています。
英語が理解できなくても一次情報源であるアメリカ人記者達の発信をgoogle翻訳でもいいので和訳してみてください。第三者がつぶやいた事ではなく、自分自身で調べるクセをつける必要あります。
もしくは私宛に連絡くださればいつでも翻訳してご説明しますので教えてください!一人でも多くのNBAファンが正しい情報を受け取り、全ての選手が正しく評価される世の中になれば嬉しいです。
あまり影響力のない、一人のNBAファンからの切な願いでした。
これからもNBA界隈を少しでも盛り上げていければと思います。
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