選手としてプロのコートに立つのはさすがに難しくても、審判ならもしかしたら同じコートに立てるかもしれません。自分もふとそう思って、バスケの審判資格がどうやって取れるのかを調べてみました。
調べてわかったのは、日本でバスケの審判をするなら日本バスケットボール協会(JBA)の公認審判ライセンスを取るのが基本だということです。しかも一番下のE級は、12歳以上で審判ライセンスを持っていない人なら、オンラインのeラーニングだけで取れます。思っていたよりずっと入口は広いです。
この記事では、E級からS級まで6段階あるライセンスの中身を整理します。あわせて、それぞれの級で担当できる試合と昇格の流れも紹介します。数字や条件はJBA公式サイトの案内をもとにしています。毎年度の要項で変わることもあるので、受講する前には必ず最新の案内を確認してください。
バスケの審判ライセンスはE級からS級までの6段階
JBAの審判ライセンスは6段階あります。下からE級とD級とC級が続き、その上にB級とA級とS級があります。JBAの説明では、2016年度から全国共通の6ライセンス制に一本化され、JBAと都道府県協会が同じ基準で運用しています。
ざっくり言うと、E級とD級は地区や市区町村レベルの試合を担当します。C級は都道府県レベル、B級はブロックレベルです。A級は全国大会、S級はトップリーグという分担になっています。上の級ほど大きな大会を担当でき、そのぶん審査も厳しくなっていきます。
級ごとに担当できる試合の目安を表にまとめました。
| 級 | 主に担当できる試合 |
|---|---|
| S級 | Bリーグ Wリーグなどのトップリーグ JBAが主催 管轄する全試合 |
| A級 | JBA主催の全国規模の試合 ブロック協会主催の試合(優秀者はトップリーグも) |
| B級 | ブロック規模の試合(優秀者はトップリーグや全国規模も) |
| C級 | 都道府県協会が主催 管轄する全試合 |
| D級 | 地区や市区町村規模の試合(優秀者は都道府県規模も) |
| E級 | 地区や市区町村規模の試合 |
表を見るとわかるように、テレビや配信で見るBリーグの試合を吹くには最上位のS級が必要です。一方で、地区や市区町村で開かれる身近な大会はE級やD級の審判が支えています。
最初の一歩はE級、eラーニングだけで取れる
一番下のE級は、実技の講習がありません。JBAの登録管理システムであるTeamJBAから申し込んで、eラーニングを受講し、最後のルールテストに合格すれば認定されます。
受講できるのは、受講する年度の4月1日時点で12歳以上の人で、まだ審判ライセンスを持っていない人です。小学生は受けられません。
eラーニングの標準時間は約120分です。JBAの案内によると、まず基本のルールと審判のシグナルを学びます。続いて審判の動きであるメカニクスや、ゲームの進め方などを順番に学ぶ構成です。受講期間は申し込みから30日間あるので、仕事や学校の合間に少しずつ進められます。
最後のルールテストは20問で、80点以上が合格です。1問5点なので、16問以上正解すれば合格という計算になります。
ルールテストの範囲はeラーニングで学んだ内容なので、動画や資料をしっかり見ておけば対策になります。バスケのルールは細かい変更が入ることもあるため、昔プレーしていた人ほど自分の知識が古くなっていないかを確認するよい機会になると思います。
オンラインで受講できるので、近くで講習会が開かれるのを待つ必要もありません。思い立ったその日に始められるのは、E級ならではの手軽さです。
E級を取るまでの流れと費用を表にまとめておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受講できる人 | 4月1日時点で12歳以上で審判ライセンスを持っていない人(小学生は不可) |
| 申し込み | TeamJBAから申し込み |
| 学習 | eラーニング 約120分(受講期間は30日間) |
| テスト | ルールテスト20問 80点以上で合格 |
| 受講料 | 1,100円とシステム利用料300円(税込) |
| 登録料 | 一般 年2,500円 U18 年1,000円 |
ここで注意したいのは、テストに受かっただけではライセンスにならないことです。合格したあとに登録の手続きをして登録料を払い、はじめて正式なE級審判になります。JBAの案内では、受講結果のメールを受け取ってから1週間以内に登録手続きをするよう書かれています。登録には顔写真も必要なので、事前に用意しておくとスムーズです。
費用は受講料とシステム利用料を合わせて1,400円に、登録料が加わる形です。審判の資格と聞くと難しい試験を想像していましたが、まずはルールを正しく学ぶところから始められるのは心理的なハードルがかなり低いと感じました。
D級とC級は都道府県協会の実技でステップアップ
E級の次はD級とC級です。この2つは都道府県のバスケットボール協会が開く講習会や審査会で取ります。どちらもライセンスを持っていない人が直接受けることもできます。そしてE級やD級を持っている人は昇格という扱いになります。
D級は、eラーニングとルールテストに加えて、実技の講習会を受けるのが条件です。テストは25問になり、合格ラインは同じく80点以上です。実技は基礎の講習や試合形式で行われ、ここで初めてコートの上で笛を吹く経験をする人も多いと思います。
C級になると、実技は講習ではなく試合形式の審査になります。都道府県大会を担当する級なので、ある程度の審判経験があることが前提です。E級やD級から昇格する場合は、地区やカテゴリーからの推薦が必要とされています。
D級とC級は、同じ年度のうちに昇格の審査を受けられる仕組みです。中学や高校の部活の顧問の先生や、地域のクラブで子どもの試合を支える保護者の方など、身近な試合を担当したい人にとってはこのあたりが現実的な目標になりそうです。
B級からS級は推薦と体力テストが待つ狭き門
B級から上は一気に難しくなります。B級を受けるにはC級を持っていることが条件で、実技の審査に加えて体力テストがあります。審判は試合中ずっと選手と一緒に走り続けるので、体力が求められるのは当然かもしれません。
A級はB級を持っている人が、都道府県からの推薦を受けて挑戦します。S級はA級を持っている人がブロックからの推薦を受けて挑戦する級です。どちらも受講する年度の4月1日時点で50歳未満という年齢の条件があります。
A級とS級の実技審査は、3人の審判で1試合を担当する3PO方式で行われます。S級はさらに一次と二次の2段階の審査があります。下の級から順番に積み上げていくしかないので、トップリーグの笛を吹けるようになるまでには長い年月がかかります。
B級から上の級は、合格してすぐではなく翌年度の更新登録のタイミングで昇格します。また、上の級を受けるには今持っている級の更新講習を修了していることも条件になっています。
さらにその上には、FIBAの国際審判ライセンスがあります。国内最高峰の試合を担当し続けている審判の中から国内の選考を経て推薦され、FIBAの審査に通った人だけが認定される仕組みです。
NBAの審判を目指すならルートはまったく別
ここまでは日本のライセンスの話です。NBAの審判になるには、JBAの級とは別に、アメリカでの選考と育成のルートを進む必要があります。
NBAの審判が1試合を何人で担当しているのかや、Gリーグが入口になっている仕組みは、以前まとめたNBAの審判の人数と3人制クルーの仕組みの記事で詳しく書いています。年俸や採用までの道のりについてはNBA審判の年収と狭き門への道のりの記事もあわせて読んでみてください。
選手としてNBAに入る確率がどれくらい低いのかはNBAに入れる確率の記事で調べましたが、審判の枠も同じくらい狭いのが現実です。それでも、審判は年齢を重ねてからでも始められて、地元の大会から少しずつ上を目指せる道です。選手として届かなかった人にも開かれているのは、審判という仕事の大きな魅力だと思います。
審判を始めるとバスケの見方が変わる
自分はこれまで審判の判定に文句を言う側でしたが、今回ライセンスの仕組みを調べて見方が少し変わりました。審判はeラーニングでルールを学び、上の級ほど実技の審査や体力テストを重ねてコートに立っています。
審判が目立つ試合はコントロールできていない試合という記事も書きましたが、選手の邪魔をせずに試合を成り立たせるのは本当に難しい仕事です。E級のeラーニングでシグナルやメカニクスを学ぶだけでも、試合を見るときに審判の立ち位置や動きが気になるようになるはずです。
観る側としての知識を深めたい人にとっても、E級は手軽な入口になります。ルールテストに向けて勉強すると、なんとなく覚えていたトラベリングやファウルの基準をきちんと説明できるようになるので、観戦がもっと楽しくなると思います。
もちろん、資格を取ったらすぐに大きな試合を任されるわけではありません。地元の大会で経験を積みながら先輩の審判に学び、一歩ずつ上の級を目指していく世界です。それでも、自分の笛で試合が進んでいく経験は、選手として試合に出るのとはまた違ったやりがいがあるはずです。
まとめ
バスケの審判資格は、JBAの公認審判ライセンスとしてE級からS級まで6段階あります。
最初のE級は12歳以上で未取得の人なら挑戦でき、約120分のeラーニングと20問のルールテストで取れます。受講料とシステム利用料は合わせて1,400円で、合格後に登録をすれば正式な審判です。
D級とC級は都道府県協会の実技で、B級から上は推薦や体力テストを経て昇格していきます。トップリーグを担当するS級までは長い道のりですが、身近な大会の笛を吹くところから始められます。
選手としてはコートに立てなくても、審判ならコートに立てる可能性があります。興味がある人は、まずJBAの公式サイトでE級のeラーニングの案内をのぞいてみてください。
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