これは驚きました。元オールスターガードのディアンジェロ・ラッセルが、中国のCBA・上海シャークス(上海大鮫)と契約したと報じられています。9月30日にEurohoopsやBasketNewsなど複数のメディアが一斉に伝え、中国メディアもこぞって報じている状況です。
ラッセルは現在30歳。2015年のドラフト全体2位でレイカーズに指名され、2019年にはネッツでオールスターにも選ばれた選手です。その彼がNBAを離れて中国へ。先週グリズリーズにウェイブされた件を記事にしたときは「次はどこだろう」と思っていましたが、まさか行き先が中国とは予想していませんでした。
ここまでの経緯
今回の移籍に至るまでの流れを整理すると、かなり短期間に物事が動いています。
| 2025-26シーズン | マーベリックスで26試合出場、10.2得点4.0アシスト2.3リバウンド |
| 2026年オフ | 2026-27シーズンの500万ドルのプレーヤーオプションを行使 |
| その後 | 6チームが絡む大型トレードでウィザーズからグリズリーズへ |
| 先週 | ロスター整理のためグリズリーズがウェイブ。公式戦出場はゼロ |
| 9月30日 | 上海シャークスと契約合意が報じられる |
プレーヤーオプションを行使した直後にトレードされ、移籍先で1試合も出ないままウェイブ。オプションを使った時点では、こんな展開は本人も想像していなかったはずです。契約の詳細な金額や年数は公表されていません。
アメリカ国外でプレーするのは、ラッセルにとってキャリア初とのことです。通算655試合で17.0得点5.6アシスト3.3リバウンド。11年間ずっとNBAにいた選手が、初めて海を渡ります。
行き先が「上海」であることの意味
ここが今回いちばん面白いところだと思います。上海シャークスというのは、CBAの中でも特別な位置にあるクラブです。
- 姚明を育てたクラブ。中国国外で上海が知られている最大の理由がこれです。2009年、経営難に陥ったチームを姚明本人が買い取って救った過去もあります(現在のオーナーは上海久事集団)
- CBAの現王者。2025-26シーズンにクラブ史上2度目の優勝を果たしたばかりです(1度目は2001-02、姚明が在籍していた時代)
- CBAクラブカップも2024-25、2025-26と連覇中
つまりラッセルは、CBAの下位チームに拾われたわけではなくディフェンディングチャンピオンに加入するということです。ウェイブされた選手の受け入れ先という文脈だと「都落ち」のように聞こえてしまいますが、行き先を見るとまったく違う話に見えてきます。
CBAは外国人選手の出場時間に制限があるリーグなので、限られた時間で結果を出すことが求められます。1試合平均17.0得点を積み上げてきたスコアリングガードで、キャリア通算で見ればまだ十分に数字を残せる選手。優勝を狙うチームが欲しがる補強としては、かなり順当な人選だと思います。
30歳の元オールスターに、NBAの椅子がなかった
今回の一件で改めて突きつけられるのは、NBAのロスターがどれだけ狭いかということです。
全体2位指名でオールスター経験もあり、去年まで現役でプレーしていた30歳。それでも今オフ、NBAに残る場所が見つからなかった。ロスター整理の対象になり、ウェイブされたあとに声がかかったのは中国のクラブだった、という順序です。
個人的には、これは実力の問題というより構造の問題だと思っています。30チーム×15人で450人しか椅子がないところに、毎年ドラフトで60人前後が入ってくる。しかも新CBA(労使協定)の下では、チームは安い若手と主力に予算を集中させたい。中堅ベテランのガードというのは、いちばん値段と役割が噛み合いにくいポジションかもしれません。このあたりの構造はNBA選手のキャリアが短命になる理由でも整理しているので、あわせて読んでもらえると今回の話が立体的に見えてくると思います。
一方で、NBA以外で稼ぐ選択肢が現実的になってきたという見方もできます。CBAやユーロリーグの資金力は上がっていて、出場時間も確保しやすい。河村勇輝がエグジビット10契約でNBAの端にしがみつくのとは真逆の方向ですが、キャリアの選び方が多様になっているという点では同じ現象の裏表なのかもしれません。
まとめ
- ディアンジェロ・ラッセル(30歳)が中国CBAの上海シャークスと契約合意と報道。契約の金額・年数は非公表
- アメリカ国外でプレーするのはキャリア初。NBA通算655試合で17.0得点5.6アシスト
- 2026-27の500万ドルのプレーヤーオプションを行使後、6チーム絡みのトレードでグリズリーズへ。公式戦0試合でウェイブされていた
- 上海は姚明を育てたクラブで、2025-26のCBA王者。弱いチームへの移籍ではない
正直、寂しさもあるニュースです。ただ、優勝チームでエース級の役割をもらえるなら、ベンチ端でDNPを重ねるより選手として健全なのかもしれません。CBAでどんな数字を出すのか、そこからNBA復帰の道があるのか。来シーズンの上海は少し気にして見ておこうと思います。
※記載の情報は2026年9月30日時点の報道にもとづきます。契約の詳細は今後発表される可能性があります。


