NBAのジャージパッチ制度の仕組みと契約規模を解説

NBAのジャージパッチ制度の仕組みと契約規模を解説
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NBA中継を見ていると、選手のユニフォームの左胸あたりに小さな企業ロゴが付いているのを見かけることがあります。あれは単なる飾りではなく、各球団が企業と結んでいる正式なスポンサー契約の証です。いつから始まって、今はどれくらいの規模になっているのか、気になったので調べてみました。

サッカーのユニフォームのように胸全体を使った広告ではなく、あくまで左肩の小さな枠に限定しているのがNBA流のやり方です。この控えめな広告枠が、実際にはどれくらいのお金を動かしているのか、調べてみると想像以上の規模になっていました。導入から数年しか経っていない制度であることを考えると、ここまで急速に広がった背景にも興味が湧いてきます。

パッチ制度が始まったのは2017年から

このジャージパッチ制度が始まったのは2017年から2018年のシーズンです。ユニフォームの製造元がナイキに切り替わったのと同じタイミングで、NBAは各球団に左肩部分の広告枠を1社に販売することを認めました。サッカーやオーストラリアのスポーツ界で先行していたスポンサー形態を、NBAも取り入れた形です。

初年度にはセルティックスがGE、ホーネッツがレンディングツリーと契約しました。キャバリアーズはグッドイヤー、マジックはディズニーという具合に、名の知れた企業が次々と名乗りを上げたそうです。2018年にはブルズやクリッパーズなども加わりました。2019年3月にはサンダーがラブズと契約したことで、ようやく30球団すべてにスポンサーがつく形が完成したそうです。

制度が定着していく過程では、面白い出来事もありました。2020年にはジャージのパッチとは別に、ナイキのジャンプマンロゴを全30球団のステートメントジャージと短パンに表示することが決まっています。ホーネッツはオーナーがマイケル ジョーダンだったこともあり、すでにこのロゴを採用していました。2021年にはトレイルブレイザーズが暗号資産企業のStormXと契約し、リーグ初の暗号資産パッチとして話題になったそうです。

リーグ全体で広がる契約規模

今シーズンのチーム向けスポンサーシップ収益は16億2,000万ドルにまで伸びていて、前年と比べても8%の増加だそうです。5年前の8億5,000万ドルからはおよそ91%増えているので、短い期間でほぼ倍になった計算になります。

契約の件数自体は2.5%しか増えていないのに、収益全体がこれだけ伸びているということは、1件あたりの契約額が大きくなっているということです。今シーズンだけで新たに契約したスポンサーが6社あり、それだけで80億円を超える支出が積み重なったと報じられています。パッチの人気も右肩上がりで、昨シーズンの契約件数は前年の2倍以上に増えたそうです。

業界関係者の話では、わずか11件の契約だけで2億5,000万ドル以上の追加収益が生まれているとされています。パッチの効果とクリッパーズの新アリーナのような新しい収益源を合わせると、実質的にリーグに新しい球団が3つ増えたのと同じくらいの経済効果があるとも言われているそうです。契約1件あたりの期間は平均で3年ほどとされ、短期的な話題作りではなく、ある程度の期間を見据えたパートナーシップとして扱われていることがうかがえます。

契約件数の増加が緩やかな一方で金額だけが膨らんでいるということは、スポンサー企業の選別そのものがより厳しくなっているとも言えそうです。限られた枠を奪い合う形になれば、人気球団ほど高い値付けができるようになるのは自然な流れだと思います。逆に言えば、今後パッチ収益をさらに伸ばせるかどうかは、個々の球団の人気や市場規模にかなり左右される時代になってきているのかもしれません。

ウォリアーズが結んだ記録的な契約

その中でも話題になったのが、ウォリアーズがIRENという企業と結んだとされる契約です。報道によると年間5,000万ドル超という規模で、北米のチームスポーツ史上もっとも高額なスポンサー契約だとされています。ウォリアーズは2017年から2026年まで楽天とパッチ契約を結んでいましたが、その金額は年間2,000万ドルだったそうなので、今回の契約はその2.5倍以上にあたります。

この契約にはコートの改修も含まれているそうです。恵まれない地域の子どもたちへ年間1万枚のジャージを提供する取り組みも計画されており、単なる広告枠の売買というより球団運営全体に関わる大型パートナーシップに近いもののようです。なお楽天もウォリアーズとの関係を終えたわけではなく、ファンエンゲージメントや地域貢献に焦点を当てた新しい複数年パートナーシップを別途結んでいるそうです。契約を完全に打ち切るのではなく形を変えて関係を続けるというやり方も、今後の他球団の参考になるかもしれません。

ウォリアーズはWNBAのゴールデンステート バルキリーズやGリーグのサンタクルーズ ウォリアーズも含めたグループ全体での契約になっているとも報じられています。NBA本体だけでなく、傘下のリーグも含めて1社とまとめて契約するという発想自体が、これまでのパッチ契約とは一段違う規模感を物語っていると思います。

主なチームのパッチスポンサー

チームパッチスポンサー
セルティックスAmica
ニックスExperience Abu Dhabi
レイカーズAlbert
ウォリアーズIREN
サンダーLove’s Travel Stops
マジックWalt Disney World
マブスChase Bank
サンズPayPal
76ersCrypto.com
トレイルブレイザーズなし

金融系やヘルスケア系の企業が多いのも今の傾向のようです。一方でトレイルブレイザーズのように現在スポンサーがついていないチームもあり、契約の有無や金額には球団ごとにかなりの差があることが分かります。大都市のチームや強豪チームほど高額な契約を結びやすいのは、他のビジネスと同じ構図だと感じます。暗号資産関連の企業が名を連ねているのも、この数年らしい流れだと思います。

日本のBリーグやBプレミアを見慣れている人からすると、NBAのパッチが左肩の小さな1枠だけというのは意外に控えめに感じるかもしれません。Bリーグのユニフォームは胸元に大きくスポンサー名が入ることも多く、スポンサー露出の考え方そのものがリーグによってかなり違うことが分かります。NBAがこの枠を1社限定にこだわってきたのは、ブランドイメージを守りながら少しずつ広告を受け入れていくという、独特のバランス感覚の表れなのかもしれません。

枠をあえて小さく保ってきたからこそ、1枠あたりの価値がここまで高まったとも言えそうです。広告枠を増やして露出を優先するのではなく、枠を絞って希少性を保つという考え方は、ブランドビジネス全般にも通じる発想だと感じます。

グッズ文化とのつながり

ユニフォームはパッチだけでなく、歴史的な試合で着用した1枚が1,400万ドルで取引されることもあるほど、それ自体が大きなビジネスになっています。グッズ売上ランキングを見ても分かるように、ファンがユニフォームを買う文化が根付いているからこそ、企業側もその胸元の枠に高いお金を払う価値を見出しているのだと思います。

選手が着ているユニフォームそのものがコレクターズアイテムとして高値で取引される一方で、同じユニフォームの一部が企業の広告枠としても機能しているというのは、少し不思議な組み合わせにも見えます。それだけNBAのユニフォームが、ファン心理と企業のマーケティング、両方にとって価値のある場所になっているということなのだと思います。

まとめ

  • NBAのジャージパッチ制度は2017年から2018年のシーズンに始まった
  • 今シーズンのスポンサーシップ収益は16億2,000万ドルで5年前から91%増加
  • ウォリアーズとIRENの契約は年間5,000万ドル超で北米スポーツ史上最高額とされる
  • 金融やヘルスケア系企業の参入が目立ち、球団ごとに契約額の差も大きい

最初はただの小さなロゴだと思っていましたが、調べてみると球団経営に直結するかなり大きなビジネスになっていました。パッチ1つの契約がチームの新アリーナ建設や地域貢献活動まで動かす規模になっているとは、調べる前は想像していませんでした。次にテレビで試合を見るときは、選手の胸元にどんな企業のロゴがついているか、少し気にしてみると面白いかもしれません。この制度がこれからどこまで広がっていくのか、個人的にも続けて追いかけてみたいと思います。

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