「NBAでプレーした日本人選手って、歴代で何人いるでしょう?」と聞かれたら、すぐに答えられますか。八村塁と河村勇輝、渡邊雄太、それに田臥勇太。4人、ですよね。
実はこれ、答えが分かれる質問なんです。Basketball-Referenceで「日本生まれのNBA選手」を検索すると、出てくるのは4人ではなく5人。しかも5人目は、平均得点でいえば八村塁を上回っています。
今回は歴代4人の通算成績をあらためて数字で整理したうえで、その「5人目」の正体まで追ってみました。
NBAでプレーした日本人選手は歴代4人
まずは全体像です。2026年10月時点で、NBAのレギュラーシーズンに出場した日本人選手は次の4人。数字はすべてBasketball-Referenceの通算成績で、2025-26シーズン終了時点のものです。
| 選手 | NBA在籍 | 所属球団 | 試合 | 通算得点 | 平均得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 八村塁 | 2019-20〜2025-26(7季) | ウィザーズ→レイカーズ | 405 | 5,098 | 12.6 |
| 渡邊雄太 | 2018-19〜2023-24(6季) | グリズリーズ→ラプターズ→ネッツ→サンズ | 213 | 895 | 4.2 |
| 河村勇輝 | 2024-25〜2025-26(2季) | グリズリーズ→ブルズ | 40 | 98 | 2.5 |
| 田臥勇太 | 2004-05(1季) | サンズ | 4 | 7 | 1.8 |
4人合わせて662試合。八村塁ひとりで405試合を占めている、というのが数字で見たときのいちばん大きな事実だと思います。通算得点5,098点も、残り3人の合計1,000点に対して5倍以上。日本人のNBA史は、実質的に八村塁の歴史でもあるわけです。
田臥勇太——2004年、最初の扉を開けた4試合17分
1980年10月5日生まれ、神奈川県横浜市出身の田臥勇太。身長175cmという数字だけ見れば、NBAのコートにいることのほうが不思議に思えます。
それでも2004-05シーズン、フェニックス サンズで4試合に出場しました。出場時間は合計17分、得点は7点。数字としてはこれだけです。
ただ、この「4試合」が持つ意味は、試合数では測れません。日本人がNBAでプレーできるという前例が、ここで初めて作られました。この後、次の日本人選手が現れるまでに14年かかっていることを考えると、2004年の4試合はかなり孤独な記録だったと言えます。
ちなみにNBAに到達する確率そのものがどれくらい低いのかは、NBAに入れる確率はどれくらい?でアメリカの高校生から逆算して計算しています。そこに日本からの挑戦という条件が加わると、数字はさらに厳しくなります。
渡邊雄太と八村塁——「2way」と「1巡目9位」という正反対の入口
2018年と2019年、1年差で入ってきた2人は、入口がまったく違いました。
渡邊雄太:ツーウェイ契約から6シーズン213試合
1994年10月13日生まれ、香川県出身、206cm。渡邊雄太のキャリアは、グリズリーズとのツーウェイ契約から始まりました。1年目は15試合、2年目は18試合。ここから上積みしていくのが本当に大変な契約形態です(その厳しさは河村勇輝とNBAにおける2way契約の厳しさで整理しています)。
キャリアのピークは2022-23シーズンのブルックリン ネッツ。58試合で平均5.6得点、そして3ポイント成功率44.4%。これは日本人選手が記録したシーズン3P成功率としては最も高い数字です。通算6シーズンで213試合、895得点、通算3P成功率37.0%。
現在はBプレミア元年の千葉ジェッツでプレーしています。
八村塁:日本人初の1巡目指名、そして405試合
1998年2月8日生まれ、富山市出身、203cm。2019年のNBAドラフトで全体9位、ワシントン ウィザーズに指名されました。日本人として初めての1巡目指名です。
ルーキーイヤーから48試合で平均13.5得点。ここが他の3人と決定的に違うところで、八村塁は最初から「出場機会を争う選手」ではなく「出る選手」としてキャリアを始めています。7シーズンの平均得点は11.3〜13.8点のあいだに全部収まっていて、キャリアを通じた安定感が数字にはっきり出ています。
| シーズン | 球団 | 試合 | 平均得点 | 3P成功率 |
|---|---|---|---|---|
| 2019-20 | ウィザーズ | 48 | 13.5 | 28.7% |
| 2020-21 | ウィザーズ | 57 | 13.8 | 32.8% |
| 2021-22 | ウィザーズ | 42 | 11.3 | 44.7% |
| 2022-23 | ウィザーズ/レイカーズ | 63 | 11.2 | 31.9% |
| 2023-24 | レイカーズ | 68 | 13.6 | 42.2% |
| 2024-25 | レイカーズ | 59 | 13.1 | 41.3% |
| 2025-26 | レイカーズ | 68 | 11.5 | 44.3% |
直近3シーズンの3P成功率が42.2%→41.3%→44.3%。キャリアハイは1試合36得点で、通算3P成功率は39.4%です。そして2026年夏、レイカーズを離れてクリッパーズへFA加入し、8シーズン目を迎えます。
河村勇輝——170cmで40試合、2球団を渡った2年間
2001年5月2日生まれ、山口県柳井市出身。登録身長は170cmで、歴代日本人選手のなかでも最も小さく、NBA全体で見てもかなり希少なサイズです。
2年間の内訳を見ると、この選手が少しずつ前に進んでいることが分かります。
| シーズン | 球団 | 試合 | 平均出場時間 | 平均得点 | 平均アシスト |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024-25 | グリズリーズ | 22 | 4.2分 | 1.6 | 0.9 |
| 2025-26 | ブルズ | 18 | 11.6分 | 3.4 | 2.6 |
1年目は1試合4.2分。2年目は11.6分で、アシストが0.9から2.6へ。試合数は減っていますが、1試合あたりに任される時間は約2.8倍になっています。小さい選手が生き残るために何を証明しなければいけないかを考えると、この伸び方は悪くないはずです。
なお、彼のような選手が毎年直面しているのが開幕ロスターの枠です。15人+ツーウェイ3人という上限の仕組みはNBAのロースター枠は何人?で解説しています。
実は5人目がいる——「日本生まれのNBA選手」という別の数え方
ここからが本題です。Basketball-Referenceには選手を出生地で絞り込む機能があり、「Japan」で検索すると5人が表示されます。4人ではありません。
5人目はキャム トーマス。2001年10月13日、神奈川県横須賀生まれです。父親が米海軍に所属していた関係で、横須賀で生まれています。国籍はアメリカで、日本代表とは一切関係がありません。でも「日本生まれのNBA選手」という括りでは、間違いなく5人目に入ります。
そして厄介なのが、この選手の数字です。
| 項目 | キャム トーマス | 八村塁 |
|---|---|---|
| 出生地 | 神奈川県横須賀 | 富山県富山市 |
| ドラフト | 2021年27位(ネッツ) | 2019年9位(ウィザーズ) |
| シーズン数 | 5 | 7 |
| 試合数 | 257 | 405 |
| 通算平均得点 | 14.9 | 12.6 |
| シーズン最高平均得点 | 24.0(2024-25) | 13.8(2020-21) |
通算試合数と通算得点では八村塁が圧倒しています。ただし1試合平均得点では14.9対12.6でトーマスが上。2023-24シーズンには66試合で平均22.5得点、2024-25シーズンには25試合で平均24.0得点を記録しています。
つまり「日本生まれのNBA選手で1試合平均がいちばん高いのは誰か」という問いの答えは、八村塁ではなくキャム トーマスになります。日本語の記事ではまず出てこない答えですが、出生地というたった1つの条件で数えると、こうなるわけです。
もう1つ、どうでもいいけれど気になった偶然があります。渡邊雄太(1994年10月13日)とキャム トーマス(2001年10月13日)は、7歳違いの同じ誕生日です。
まとめ:日本は「1人の国」として数えられている
最後に視点を引いてみます。NBAが毎シーズン開幕時に発表している国際選手の統計では、2025-26シーズンの日本の登録選手は1人(八村塁)でした。過去最多135人、43カ国という国際化のなかで、日本は「選手が1人だけの19カ国」のうちの1つという位置づけです。このリーグ全体の国籍地図についてはNBAの国際選手は何人?135人、43カ国の国別ランキングで詳しく整理しています。
要点を3つにまとめると、こうなります。
- NBAでプレーした日本人選手は歴代4人。合計662試合のうち405試合が八村塁
- 渡邊雄太はツーウェイから6シーズン213試合、2022-23のネッツで3P成功率44.4%
- 「日本生まれ」で数えると5人になり、1試合平均得点のトップは横須賀生まれのキャム トーマス(14.9)
2026-27シーズンは、八村塁がクリッパーズで、河村勇輝が同じクリッパーズのキャンプから開幕ロスターを狙う形で始まります。この表の数字がどこまで動くのか、シーズン終了後にまた更新したいと思います。
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