NBAの放映権契約とは?11年760億ドルの中身【2026-27】|ESPN・NBC・Prime Videoの分担と1チーム年2.3億ドルという規模

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2025-26シーズンから、NBAの試合がNBCとPrime Videoで見られるようになり、代わりに25年以上おなじみだったTNTが消えました。「なんでTNTがなくなったの?」「NBCって昔ジョーダンの試合をやってたところでは?」と思った方も多いと思います。

この大移動の正体が、11年総額およそ760億ドルという米国内の放映権契約です。1年あたり約69億ドル、日本円にすると1兆円を超える規模。しかもこのお金は、ただテレビ局がNBAに払っているだけではなく、選手の年俸やサラリーキャップの金額にまで直結しています。

この記事では、760億ドルの中身・3社の分担・TNTが消えた経緯・そしてこのお金がどこへ流れるのかを、数字で整理していきます。

11年760億ドル|1年あたり約69億ドルという規模

NBAは2024年7月、Disney(ABC/ESPN)・NBCUniversal・Amazonの3社と新しい米国内放映権契約を結びました。対象は2025-26シーズンから2035-36シーズンまでの11年間です。

なお、リーグも各社も正式な金額は公表していません。760億ドルというのは報道ベースの数字で、媒体によって770億ドルと書かれることもあります。ここでは報道で最も広く使われている約760億ドルを前提に話を進めます。

この規模がどれくらい異常なのかは、過去の契約と並べると分かりやすいです。

契約期間 相手 年額 前の契約比
〜2015-16 ESPN・Turner 約9億3000万ドル —
2016-17〜2024-25 ESPN・Turner 約26億ドル 約2.8倍
2025-26〜2035-36 Disney・NBCU・Amazon 約69億ドル 約2.6倍

10年前は年9億3000万ドルだったものが、いまは年69億ドル。約7.4倍です。しかも2段階とも、1回の更新で2.6〜2.8倍という上がり方をしています。

3社はいくら払って、何をもらっているのか

報道されている年額と、各社が持っているパッケージの中身です。

パートナー 年額(報道) レギュラーシーズン 主な目玉
Disney(ABC/ESPN) 約26億ドル 80試合 NBAファイナル、クリスマス5試合、11年で10回のカンファレンスファイナル
NBCUniversal(NBC/Peacock) 約25億ドル 最大100試合 オールスターウィークエンド、11年で6回のカンファレンスファイナル
Amazon(Prime Video) 約18億ドル 66試合 プレーイン全6試合、NBAカップのノックアウトラウンド、11年で6回のカンファレンスファイナル

カンファレンスファイナルの配分が10回・6回・6回で合計22回。11年×2カンファレンス=22なので、きれいに割り切れています。ファイナルだけはDisneyが11年すべてを独占する形です。

NBCは2002年を最後にNBA中継から離れていたので、23年ぶりの復帰になります。「I Love This Game」のテーマ曲で育った世代には、ここが一番大きいニュースだったかもしれません。

2026-27シーズンは誰が何を放送するのか

契約2年目となる2026-27シーズンの割り振りは、NBAが公式に発表しています。曜日ごとの住み分けがかなりはっきりしているので、整理しておきます。

局 主な曜日 2026-27の担当
ESPN/ABC 水曜・土曜・日曜(1月から金曜も) 開幕週10/21・22のダブルヘッダー、クリスマス5試合、プレーオフ1〜2回戦、2027年西カンファレンスファイナル、NBAファイナル
NBC/Peacock 月曜(Peacock)・火曜・日曜夜(1/24から) 10/20の開幕トリプルヘッダー、12/21〜29のホリデー企画7試合、MLKデーと大統領の日の4連戦、オールスター(2/19〜21・フェニックス)
Prime Video 金曜(1〜2月は木曜・土曜も) NBAカップのノックアウト全試合(決勝は12/11・ヒンクルフィールドハウス)、プレーイン全6試合、2027年東カンファレンスファイナル、パリ(1/14)とマンチェスター(1/17)のグローバルゲーム

注目すべきは、Prime VideoがNBAカップのノックアウトラウンドとプレーイン・トーナメントを丸ごと独占していることです。リーグが近年つくった新しいイベントを、まとめてストリーミング側に預けている形になります。全日程の見どころは2026-27シーズン全日程の記事でまとめています。

そして全国放送のない試合は、これまでどおりNBAリーグパスの領域です。そのリーグパスの主要なデジタル販売パートナーもAmazonになっています。

TNTはなぜ消えたのか|提訴から和解まで

TNTを持つWarner Bros. Discovery(WBD)は、旧契約にあったマッチング権(他社と同条件を出せば残れる権利)を行使したと主張し、認められなかったことでNBAを提訴しました。しかし2024年11月に和解が成立し、WBDは訴訟を取り下げて、新たに11年間の別契約を結んでいます。

和解でWBDが残したものと失ったものを整理すると、こうなります。

残したもの 内容
Inside the NBA アトランタでのTNT制作を継続。2025-26からESPN/ABCで放送
ハイライト権 Bleacher ReportとHouse of Highlights向けの世界ライセンス
海外のライブ配信権 北欧4カ国(デンマーク・フィンランド・ノルウェー・スウェーデン)、ポーランド、中南米(ブラジル・メキシコを除く)
NBA Digitalとの提携 さらに5シーズン継続(宣伝・制作・開発・販売)
リーグパスのプロモーション 引き続きプロモーションパートナー
Big 12のサブライセンス ESPNからフットボール13試合・バスケ15試合を毎年

失ったのは「米国内でTNTがNBAの試合を放送する権利」、ただ1点です。番組と看板は残り、試合だけがなくなった。アーニー・ジョンソン、チャールズ・バークリー、ケニー・スミス、シャキール・オニールの4人が、いまもアトランタのスタジオからESPN向けに喋っているのはそういう事情です。

この69億ドルは、1チームいくらになるのか

ここが個人的に一番面白かったところです。全国放映権収入はリーグ全体で分配されるので、単純に30で割ってみます。

項目 金額
新契約の年額 ÷ 30チーム 約2億3000万ドル
旧契約の年額 ÷ 30チーム 約8670万ドル
2026-27のサラリーキャップ(1チーム) 1億6496万1000ドル

つまり全国放映権収入だけで、1チームあたりサラリーキャップの約1.4倍を受け取っていることになります。旧契約ではキャップの6割程度でしたから、この更新で立場が逆転したわけです。チケットもスポンサーもグッズも一切売らなくても、放映権料だけでキャップ満額の人件費が払える計算になります。

参考に、2025-26シーズンのBRI(バスケットボール関連収入)は116億8000万ドルでした。これに対して報道ベースの全国放映権収入は年69億ドルなので、単純計算で6割前後という規模感になります。ただしBRIの定義と報道ベースの金額は出所が違うので、あくまで概算として見てください。

それでも選手の年俸が一気に上がらない理由

放映権料が2.6倍になったのだから、キャップも一気に上がる——と思いきや、2025-26のキャップ上昇は前年比ちょうど10%でした。2023年の労使協定で「キャップは前年比10%を超えて上がらない」というブレーキが入ったためです。

これは2016年の失敗の学習です。前の契約が動き出した2016-17シーズン、キャップは7000万ドルから9414万3000ドルへ一気に34.5%跳ね上がり、全チームが同時に大金を持つ異常なFA市場が生まれました。73勝ウォリアーズがデュラントを獲れたのはこのせいです。

今回の760億ドルは、11年かけてじわじわキャップに流れ込む設計になっています。キャップの計算式や上限の仕組みはサラリーキャップはどう決まるかの記事で詳しく書いたので、こちらも合わせて読んでもらえると流れが分かると思います。

日本から見たときの注意点

ここまでの760億ドルは、あくまで米国内の全国放映権です。日本でどのサービスがNBAを配信するかは、これとは別の契約で決まります。だから「ESPNが80試合持っている」と言っても、日本からESPNで見られるわけではありません。

日本国内の視聴手段は複数のサービスに分かれているので、料金や配信内容の比較は日本でNBAを見る方法【2026-27】の記事を見てもらうのが早いです。

ついでに言うと、国際側の権利が別売りだからこそ、WBDは和解で北欧やポーランド、中南米のライブ権を取れました。米国内と海外が別枠になっているのは、こういうところで効いてきます。

まとめ

  • NBAの米国内放映権は2025-26から2035-36までの11年、報道ベースで総額約760億ドル(年約69億ドル)
  • Disney約26億ドルで80試合とファイナル、NBCU約25億ドルで最大100試合とオールスター、Amazon約18億ドルで66試合とプレーイン・NBAカップのノックアウト
  • カンファレンスファイナルは11年で10回・6回・6回に分配。2026-27は西がESPN、東がPrime Video
  • NBCは2002年以来23年ぶりの復帰
  • TNTは提訴後に和解。試合は失ったが、Inside the NBAの制作・ハイライト権・北欧や中南米のライブ権などは残した
  • 年69億ドルを30で割ると1チーム約2億3000万ドル。2026-27のキャップ1億6496万ドルの約1.4倍にあたる
  • ただし2023年CBAの「前年比10%」上限があるため、選手年俸には一気に反映されない
  • 日本での配信は米国内契約とは別枠

TNTが消えたことを「寂しい」で終わらせずに金額を追っていくと、NBAという事業がいまどこから稼いでいるのかが見えてきます。年69億ドルという数字は、これから11年のトレード、延長契約、そしてエクスパンションの議論すべての前提になる数字だと思っています。

 

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