NBAファイナルの視聴率、最近は回復してきていると感じませんか。配信サービスの普及で地上波離れが進んでいるイメージがありますが、実際の数字を見るとその印象とは少し違う動きになっています。2026年のファイナルはニックスとスパーズの対戦で、米国での平均視聴者数が2058万人にまで伸びました。これはABCがファイナルを放送するようになった2003年以降で最多の数字で、前年からの増加率もかなり大きなものでした。2020年に記録した歴史的な低迷から、ここまで戻ってきた背景を歴代データとともに振り返ります。
放送局は3度変わった NBAファイナルのテレビ史
NBAファイナルの放送局は、これまでに3回変わっています。1974年から1990年まではCBS、1991年から2002年まではNBC、そして2003年以降はABCが放送を担っています。NBC時代の最後にあたる1998年、ブルズ対ジャズの第6シリーズは視聴率18.7、推定2904万人が見た歴代最多のシリーズになりました。マイケル ジョーダンが現役最後の優勝を飾ったシーズンで、その注目度の高さがそのまま数字に表れた形です。
歴代視聴率の推移を数字で見る
| 年 | 放送局 | 対戦 | 視聴率 | 平均視聴者数 |
|---|---|---|---|---|
| 1998 | NBC | ブルズ対ジャズ | 18.7 | 2904万人 |
| 2000 | NBC | レイカーズ対ペイサーズ | 11.6 | 1740万人 |
| 2007 | ABC | スパーズ対キャバリアーズ | 6.2 | 929万人 |
| 2016 | ABC | キャバリアーズ対ウォリアーズ | 11.4 | 2028万人 |
| 2019 | ABC | ラプターズ対ウォリアーズ | 8.8 | 1514万人 |
| 2020 | ABC | レイカーズ対ヒート | 4.0 | 745万人 |
| 2023 | ABC | ナゲッツ対ヒート | 6.1 | 1164万人 |
| 2024 | ABC | セルティックス対マーベリックス | 5.8 | 1131万人 |
| 2025 | ABC | サンダー対ペイサーズ | 5.1 | 1027万人 |
| 2026 | ABC | ニックス対スパーズ | 9.4 | 2058万人 |
ABCが放送を始めた2003年以降で見ると、視聴率そのものはNBC時代の水準には届いていません。それでも2015年と2016年のウォリアーズ対キャバリアーズの3年連続対決では、視聴者数が2000万人前後まで戻った時期がありました。2016年第7戦は3102万人を集めていて、バスケットボールの試合として18年ぶりに平均3000万人を超えたとされています。好カードが続けば数字は伸びる、という分かりやすい関係がここに見えます。
CBS時代の1980年代にも、視聴率が大きく伸びた時期がありました。マジック ジョンソンのレイカーズとラリー バードのセルティックスが毎年のように決勝で激突していた時代で、1987年シリーズは視聴率15.9を記録しています。看板選手同士のライバル関係が視聴率を押し上げるという構図は、1980年代もNBC時代も2020年代も変わっていないのだと感じます。
ABC以前のCBS時代も振り返っておきます。1974年のセルティックス対バックスのシリーズでは視聴率13.5を記録していて、これは当時としては十分に高い数字でした。CBSが放送していた1990年までの間、NBAは徐々に全米での知名度を高めていった時期にあたります。マジックとバードという二人のスターが、リーグ全体の人気を引き上げた功績は今でも語られるところです。
ABCへの移行後も、2015年から2017年にかけてのウォリアーズ対キャバリアーズ3連戦では視聴者数が大きく伸びました。カリーとレブロンという当時のリーグを代表する二人が3年連続で決勝で対戦したこと自体が、好カード続きという意味で特別な時期だったと言えます。こうした黄金期と呼べる時期を挟みながら、全体としては緩やかに視聴率が下がってきたのが2000年代から2010年代にかけての流れでした。
2020年、歴史的な低迷を記録した年
一方で歴代最低を記録したのは2020年のレイカーズ対ヒートです。平均視聴率4.0、745万人という数字は前年比で51パーセント減という落ち込みでした。この年はシーズン自体が新型コロナウイルスの影響で中断され、通常とは異なる時期にずれ込んで開催されています。選手の社会的な活動への注目や、見慣れない開催時期など複数の要因が重なった結果とみられていますが、はっきりした結論は出ていません。2021年から2025年までは、5から6台の視聴率で緩やかな回復を続けていました。
2026年は53年ぶり優勝のニックス効果で大きく回復
そして2026年のファイナルは、視聴率9.4、平均2058万人まで一気に回復しました。これはABC放送分として歴代最多の視聴者数です。背景にあるのは、53年ぶりの優勝を果たしたニックスの存在だと考えられます。全米最大の市場であるニューヨークのチームが決勝に進むだけでも注目度は大きく変わりますし、長年優勝から遠ざかっていた分だけ、達成した瞬間の反響も大きかったはずです。
優勝後のニックス関連の話題は、シーズンが終わってからも尽きませんでした。ジェイレン ブランソンがSNLのホストを務めたことも含めて、ニューヨークの顔としての人気がそのまま視聴率にもつながったのだと自分は見ています。
2026年のファイナルで対戦したスパーズにも、視聴率を押し上げた要因があったと考えられます。ウェンバンヤマという若いスター選手の存在は、結果がどうであれ試合を見てみたいと思わせる力を持っています。ニックスのカール アンソニー タウンズを含め、両チームとも全米の注目を集めやすいメンバーが揃っていたことが、今回の数字につながったのだと思います。
第7戦は数字が跳ねやすい、カナダ勢の影響もある
シリーズ全体の平均だけでなく、個別の試合ごとに見ると第7戦は特に数字が伸びる傾向があることも分かっています。2016年第7戦の3102万人のほか、2010年第7戦も15.6の視聴率を記録していました。消化試合になりがちな第4戦や第5戦と比べて、優勝が決まる瞬間を見たいという需要がそのまま反映されるのだと思います。どちらが勝っても負けても、その一戦でシーズンが終わるという緊張感が視聴者を引き寄せているのでしょう。
少し変わった事情があったのは2019年です。ラプターズ対ウォリアーズのこの年は、カナダのチームが出場したことで米国内の視聴率が下がったと分析されています。ニールセン社の集計は米国内の世帯のみを対象としているため、カナダでの視聴者数はこの数字には反映されません。実際、カナダ国内ではこの年、記録的な視聴率になっていたと報じられています。NBAの放映権契約は11年760億ドル規模にまで膨らんでいますが、視聴率データひとつを見ても、国や年によって事情が大きく変わることがよく分かります。
ここで紹介した数字は、あくまで従来型のテレビ放送を対象にしたニールセン社の集計です。近年はストリーミング配信で試合を見る人も増えているため、実際にファイナルを見ていた人の総数は、表の数字よりも多いと考えるのが自然です。それでも長期的な比較をする際には、同じ基準で測り続けてきたテレビ視聴率が最も参考になる指標であることに変わりはありません。プレーオフボーナスプールのような制度も含めて、NBAのビジネス規模は視聴率の数字以上に大きくなっているのが実情です。
こうして振り返ると、視聴率を動かしてきたのは結局のところ出場する選手とチームの人気そのものだということがよく分かります。制度や放送局の工夫も多少は影響しますが、ファンが見たいと思うカードが組まれるかどうかが、数字を決める一番の要因だと言えそうです。2027年以降のファイナルがどんな組み合わせになるのか、気の早い話ですが楽しみにしています。
まとめ
- 歴代最多視聴者は1998年ブルズ対ジャズ、推定2904万人
- 歴代最低は2020年レイカーズ対ヒート、推定745万人で前年比51パーセント減
- 2026年はニックス対スパーズで2058万人、ABC放送分として歴代最多を記録
- 第7戦は数字が伸びやすく、カナダのチームの出場は米国内視聴率を下げる傾向がある
視聴率は試合内容そのものよりも、出場チームの市場規模や話題性に左右される面が大きいデータです。接戦になるかどうかより、誰が出場しているかの方が数字への影響は大きいとも言えます。来年以降もニックスのような人気球団が決勝に絡んでくるかどうかで、数字は大きく変わってきそうです。
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