NBAの球団を巡る金額というと、資産価値のランキングが話題になることが多いですが、実際に売買が成立した金額もまた別の面白さがあります。資産価値はあくまで推定値ですが、売却額は実際に合意された生々しい数字だからです。推定値はあくまで評価機関の計算にすぎませんが、売却額は実際に買い手と売り手が合意して動いたお金なので、それだけ説得力のある数字とも言えます。
2025年にはレイカーズとセルティックスが相次いで歴代記録を更新し、球団売却額のランキングはここ数年で一気に様変わりしました。今回はNBA歴代の球団売却額を、実際に合意された金額をもとに整理してみます。あわせて、現在進行中でさらに記録を更新する可能性がある売却の動きについても触れていきます。
NBA歴代球団売却額ランキング トップ10
| 順位 | 球団 | 年 | 売却額 |
|---|---|---|---|
| 1 | レイカーズ | 2025 | 100億ドル |
| 2 | セルティックス | 2025 | 61億ドル |
| 3 | サンズ+マーキュリー | 2023 | 40億ドル |
| 4 | マーベリックス | 2023 | 35億ドル |
| 5 | ホーネッツ | 2023 | 30億ドル |
| 6 | ネッツ | 2019 | 23.5億ドル |
| 7 | ロケッツ | 2019 | 22億ドル |
| 8 | クリッパーズ | 2014 | 20億ドル |
| 9 | ジャズ | 2020 | 16.6億ドル |
| 10 | ティンバーウルブズ | 2021 | 15億ドル |
上位5球団はすべて2023年以降の売却で、残りの5球団は2014年から2021年にかけての売却です。わずか数年で球団の売却額が2倍から3倍に跳ね上がっていることが、この並びからもよく分かります。
1位はレイカーズ、2025年の100億ドル
首位はレイカーズです。ドジャースの共同オーナーでもあるマーク ウォルターがバス一族から過半数株式を取得する取引で、2025年10月30日にNBA理事会の承認を得て正式に完了しました。金額は約100億ドルと報じられていて、当時は北米プロスポーツ史上最高額の球団売却として大きく話題になりました。ウォルターはすでにドジャースの共同オーナーとして実績があり、スポーツ経営に明るい人物として評価されていたこともあって、取引そのものはスムーズに進んだと報じられています。アメリカの主要メディアもこぞって同じ金額を報じていて、報道の確度自体はかなり高いと見てよさそうです。
合意の発表から理事会承認までには一定の時間がかかりましたが、これはNBAの球団売却ではよくあることです。財務状況の確認や他球団オーナーからの承認手続きなど、踏むべき段取りが多いためです。
バス一族は1979年からおよそ46年にわたってレイカーズを保有してきた一家で、その長い歴史に幕を引く売却でもありました。NBAという枠を超えて、プロスポーツ全体の資産価値がどれだけ急騰しているかを示す出来事だったと言えます。
セルティックスとサンズも超高額決着
2位のセルティックスも同じ2025年に売却が成立しています。買い手はシンフォニー テクノロジー グループ共同創業者のビル チショルムで、金額は61億ドルでした。発表自体は2025年3月でしたが、理事会の承認と完了までには時間がかかり、レイカーズの売却とほぼ同じタイミングで決着した点も印象的でした。
3位のサンズは2023年にマット イシュビアがロバート サーバーから買収した球団で、WNBAのマーキュリーとのセット売却という形でした。合計40億ドルという金額は、当時としては球団単体の売却額として歴代最高クラスの数字でした。イシュビアはミシガン州出身の実業家で、サンズとマーキュリーを同時に手に入れることで男子と女子のバスケットボール両方に投資する姿勢を示した買収としても注目されました。
4位のマーベリックスも同じ2023年に動きがあった球団です。カジノ経営者のミリアム アデルソンがマーク キューバンから70%超の株式を35億ドルで取得し、キューバンはバスケットボール運営からは退きつつも一部株式と経営への関与を一定期間残す形になりました。
クリッパーズとホーネッツ、それぞれの事情
8位のクリッパーズは2014年にスティーブ バルマーが20億ドルで買収した球団です。前オーナーのドナルド スターリングが差別発言問題でNBAから保有資格を剥奪され、強制的な売却に追い込まれた結果の取引でした。本人の意志ではない強制売却という特殊な経緯にもかかわらず、当時の球団売却額としては破格の20億ドルがついたこと自体が、もともとクリッパーズというブランドの潜在価値が過小評価されていたことの裏返しとも言えます。この20億ドルという金額は、長らく歴代上位の売却額として語られてきました。
5位のホーネッツは2023年にマイケル ジョーダンが保有株式を手放し、リック シュナールとゲイブ プロトキンのグループに30億ドルで売却しました。チーム名の由来でも触れた通り、ホーネッツはシャーロットに移転する前にニューオーリンズでも同じ名前を使っていた歴史を持つ球団で、オーナーの移り変わりも含めて物語の多いフランチャイズです。
6位のネッツは2019年にジョー ツァイがミハイル プロホロフから段階的に買収した球団で、球団そのものの価格は23.5億ドルでした。7位のロケッツも同じ2019年にティルマン フェルティータがレスリー アレクサンダーから22億ドルで買収しています。どちらも2010年代の終わりに成立した取引で、現在の価格帯と比べるとまだ落ち着いた水準だったことが分かります。それでもこの2件が成立した当時は、どちらも球団売却額としては上位に入る金額で、わずか数年でさらに2倍近い金額がついた球団が複数現れたことになります。
9位のジャズは2020年にライアン スミスが16.6億ドルで買収しました。売り手は1986年からおよそ34年にわたって球団を保有してきたミラー一族で、創業者が24万ドルで球団を取得した時代から考えると、金額の規模がまったく違う水準に達していたことになります。34年という長い時間の中でリーグ全体の価値が積み重なっていった結果として、この数字の変化は見ておく価値があると思います。10位のティンバーウルブズはグレン テイラーからアレックス ロドリゲスとマーク ロアのグループに15億ドルで売却された球団で、WNBAのリンクスも含めたセット売却でした。男子チームと女子チームを同時に扱う売却は他の球団でも見られる形で、サンズとマーキュリーの例と合わせて、今後も増えていく可能性がありそうです。男女の価値をまとめて評価してもらえるのは、WNBA側にとっても悪い話ではないはずです。
この記録、もうすぐ更新されるかもしれない
実はこのランキングの1位であるレイカーズ自体に、さらに記録を更新しかねない動きが進行中です。2026年8月にウォルターがレイカーズをジョシュ クシュナーとボブ アイガーのグループに売却することで合意したと報じられ、その金額は約125億ドルとされています。このレイカーズ売却については別記事でも詳しく取り上げましたが、記事の時点ではNBA理事会の正式承認はまだ下りていませんでした。
承認が下りて取引が完了すれば、わずか1年足らずでレイカーズ自身が自らの売却額記録を更新することになります。1つの球団が1年のうちに2回も売却されるというのも、NBA史上ではかなり珍しいケースです。今回のランキングには完了済みの取引だけを並べましたが、この売却が成立した時点であらためて表を見直す必要が出てきそうです。それまでは今回の表をひとまずの歴代ランキングとして見ておくのがよさそうです。
まとめ
- 歴代1位はレイカーズで100億ドル、2025年にマーク ウォルターがバス一族から買収
- 2位はセルティックスで61億ドル、ビル チショルムのグループが買収
- 上位5球団はすべて2023年以降の売却で、金額の上昇スピードが急激
NBAは全30球団と枠が決まっているリーグで、新規参入は拡張の歴史を見ても分かる通り簡単には増えません。数が限られているからこそ、1球団あたりの売却額はこれからも上昇を続けていく可能性が高いように思います。
こうして金額を並べてみると、NBAというリーグそのものの成長スピードがよく見えてきます。個人的には、10年前には2,000億円規模の売却がニュースになっていたのが、今では1兆円を超える売却が当たり前になっていることに驚かされます。放映権料やグローバルでのファン数の拡大、さらにはプライベートエクイティ資金の流入など、複数の要因が重なってこの急騰を後押ししているのだと思います。NBAというリーグ自体の価値がどれだけ急速に膨らんでいるかを、売却額というシンプルな数字から実感できる良い機会でした。
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