NBAを見ていて、「レイカーズって湖ないのにレイカーズなの?」「ユタでジャズって何?」と思ったことはありませんか。実際そのとおりで、NBAのチーム名の半分近くは移転や公募の歴史をそのまま引きずっていて、いまの土地とは噛み合っていません。
今回は全30チームの名前の由来を一覧で整理したうえで、その中から見えてくる3つの傾向まで踏み込みます。ちなみに略称だけを確認したい方はNBA各チームの略称一覧のほうが早いです。
東カンファレンス15チームの名前の由来
| チーム | 名前の由来 |
|---|---|
| ボストン セルティックス | 1946年にオーナーのウォルター ブラウンが命名。1920年代に人気だったニューヨーク セルティックスにあやかった |
| ブルックリン ネッツ | 1967年はニュージャージー アメリカンズ。68年にニューヨークへ移る際、ジェッツ メッツと韻を踏む「ネッツ」に。2012年ブルックリンへ |
| ニューヨーク ニックス | オランダ系移民が履いていた「ニッカーボッカー」というズボンが由来。1946年 |
| フィラデルフィア、76ers | シラキュース ナショナルズが1963年に移転。1776年の独立宣言署名にちなむ |
| トロント ラプターズ | 1994年に全国投票とマーケティング調査で決定。映画『ジュラシック パーク』の影響。次点はボブキャッツとドラゴンズ |
| シカゴ ブルズ | 1966年にオーナーのリチャード クラインが命名。食肉産業の街という背景と、雄牛の力強さ |
| クリーブランド キャバリアーズ | 1970年、地元紙プレーン ディーラーの読者投票で決定 |
| デトロイト ピストンズ | フォートウェイン時代の企業チーム「ゾルナー ピストンズ」が由来。1957年のデトロイト移転後もそのまま |
| インディアナ ペイサーズ | 1967年。インディ500のペースカーと、州の繋駕速歩競走(ハーネスレース)の両方から |
| ミルウォーキー バックス | 1968年の公募に4万人以上が参加。最多得票は州の鳥ロビンだったが、審査員が2位のバックス(州の野生動物オジロジカ)を選んだ |
| アトランタ ホークス | ネイティブアメリカンの首長ブラックホークに由来。1951年のミルウォーキー移転時に短縮。68年アトランタへ |
| シャーロット ホーネッツ | 1987年の当初案は「スピリット」だったがファンが反発。88年の公募でホーネッツに |
| マイアミ ヒート | 1986年10月、2万件を超える応募から選ばれた |
| オーランド マジック | 1986年、地元紙オーランド センチネルの公募。4,296件の応募から最終候補はHeat Tropics Juice Magicの4つで、7月27日にマジックに決定 |
| ワシントン ウィザーズ | 1996年、オーナーのエイブ ポリンが「ブレッツ」から改称。5候補をファン投票にかけた |
個人的に驚いたのはオーランドです。最終候補に「Heat」が残っていました。もしオーランドがそれを選んでいたら、マイアミは別の名前になっていたわけです。
西カンファレンス15チームの名前の由来
| チーム | 名前の由来 |
|---|---|
| デンバー ナゲッツ | 1974年の公募。コロラドのゴールドラッシュ、つまり金塊(ナゲット)にちなむ |
| ミネソタ ティンバーウルブズ | 1986年の公募。決選投票で「ポーラーズ」に2対1で勝った |
| オクラホマシティ サンダー | 2008年、シアトル スーパーソニックスの移転に伴い64候補からファンが選択。レネゲイズ、トゥイスターズ、バロンズなどを破った |
| ポートランド トレイルブレイザーズ | 1970年、1万件超の応募から。「パイオニアズ」は地元ルイス&クラーク大と重なるため避けられた |
| ユタ ジャズ | 1974年にニューオーリンズで創設。79年のソルトレイクシティ移転後も名前だけが残った |
| ゴールデンステート ウォリアーズ | 1946-47年にフィラデルフィアでBAA初代王者。62年サンフランシスコへ、71年からカリフォルニア州の愛称「ゴールデンステート」を冠する |
| ロサンゼルス クリッパーズ | バッファロー ブレーブスが1978年のサンディエゴ移転時に改称。19世紀の高速帆船クリッパーから。84年にLAへ |
| ロサンゼルス レイカーズ | デトロイト ジェムズが1947年にミネアポリスへ。「1万の湖の地」ミネソタにちなむ。60年のLA移転後もそのまま |
| フェニックス サンズ | 1968年、GMのジェリー コランジェロが2万8千件の応募から選択。スコーピオンズとラトラーズを破った |
| サクラメント キングス | 1945年ロチェスター ロイヤルズとして創設。72年のカンザスシティ移転時にMLBのロイヤルズとの混同を避けてキングスへ。85年サクラメント |
| ダラス マーベリックス | 1980年、地元ラジオ局の公募で決定。「独立した、派手なスタイル」を表す言葉 |
| ヒューストン ロケッツ | 1967年サンディエゴで創設。「A City In Motion」というスローガンと、アトラスロケットの製造地だったことにちなむ。71年ヒューストンへ |
| メンフィス グリズリーズ | 1995年バンクーバーで創設。当初案の「マウンティーズ」に反発が出て、地元紙の公募でレイブンズを破りグリズリーズに。2001-02年メンフィスへ |
| ニューオーリンズ ペリカンズ | 2012年のトム ベンソンによる買収を経て改称。ルイジアナ州の州鳥。「クルー」「ブラス」を破った |
| サンアントニオ スパーズ | 1973年にダラス チャパラルズを買収して移転。公募で集まった500以上の候補からスパーズに |
傾向1:少なくとも15球団の名前はファンが決めている
一覧を作って一番はっきりしたのがこれです。公募やファン投票で名前が決まったチームを数えると、キャバリアーズ、マーベリックス、ナゲッツ、グリズリーズ、ヒート、バックス、ティンバーウルブズ、サンダー、マジック、サンズ、トレイルブレイザーズ、スパーズ、ラプターズ、ウィザーズ、ホーネッツで15球団。ちょうどリーグの半分です。
しかも応募数がすごい。バックスは4万人以上、サンズは2万8千件、ヒートは2万件超、マジックは4,296件。SNSもない時代に、新球団の名前を決めるだけでこれだけ人が動いていたということです。
そして面白いのは「ファンに聞いたのに従わなかった」ケースがあることです。バックスの公募では州の鳥ロビンが最多得票でしたが、審査員は2位のバックスを選びました。仮にロビンズだったら、今のヤニスの愛称もだいぶ変わっていたかもしれません。
傾向2:引っ越しで「意味を失った名前」と「完璧になった名前」
NBAは移転が多いリーグなので、名前だけが置き去りになるケースが目立ちます。
- レイカーズ:湖だらけのミネソタで付いた名前が、湖のないロサンゼルスへ
- ジャズ:ジャズ発祥の地ニューオーリンズで付いた名前が、ジャズと縁のないユタへ
- ホークス:中西部のネイティブアメリカン指導者由来の名前が、南部のアトランタへ
- クリッパーズ:サンディエゴの帆船文化から付いた名前が、そのままLAへ
逆に、引っ越したことで名前の意味がむしろ完璧になった例が2つあります。ピストンズは、フォートウェインの部品メーカーの社名がそのまま自動車の街デトロイトへ移ったことで、これ以上ないほど土地に合いました。ロケッツも同じで、サンディエゴで付いた名前がNASAの有人宇宙センターがあるヒューストンへ移り、結果的に街を象徴する名前になっています。
ちなみに日本人選手の所属先で言うと、八村塁選手が2026年から加わったクリッパーズはこの「意味が半分残っている」グループです。移籍の経緯は八村塁のクリッパーズFA加入でまとめています。
傾向3:ホーネッツとペリカンズの「歴史ごと交換」という特殊ケース
ここが一番ややこしく、そして一番面白いところです。「ホーネッツ」という名前は、球団ごと引っ越して、また戻ってきました。しかも歴史の帰属まで一緒に動いています。
| 年 | 何が起きたか |
|---|---|
| 1988年 | シャーロット ホーネッツが創設される |
| 2002年 | 球団がニューオーリンズへ移転。名前もホーネッツのまま |
| 2004年 | シャーロットに新球団「ボブキャッツ」が誕生 |
| 2013年 | ニューオーリンズがペリカンズへ改称。「ホーネッツ」の名前が空く |
| 2014年5月20日 | ボブキャッツが「シャーロット ホーネッツ」に改称 |
そしてこのとき、1988年から2002年までのホーネッツの歴史と記録はシャーロットが引き取り、2002年から2013年までのニューオーリンズ時代の記録はペリカンズに残るという整理がされました。その結果、ペリカンズは「2002年創設の球団」という扱いになっています。
つまり、1990年代のシャーロット ホーネッツの記録は今のシャーロット ホーネッツのもの。名前だけでなく歴史の所有権まで動いたケースで、NBAでは極めて珍しい処理です。この手の「球団の数え方」の話はNBAがどうやって30チームになったかと合わせて読むと繋がります。
まとめ
- 少なくとも15球団、リーグの半分の名前は公募やファン投票で決まっている
- 応募数はバックス4万人以上、サンズ2万8千件、ヒート2万件超と当時から熱量がすごい
- レイカーズ、ジャズ、ホークスは移転で名前の意味を失い、ピストンズとロケッツは逆に完璧になった
- ホーネッツは名前だけでなく1988-2002年の歴史ごとシャーロットへ戻り、ペリカンズは2002年創設扱いになった
名前の由来を知っておくと、シティ エディションのユニフォームが何をモチーフにしているのかも一気に読めるようになります。ユニフォームの種類分けについてはNBAのユニフォームは何種類?で解説しているので、あわせてどうぞ。各チームがどれだけ勝ってきたかはチーム別優勝回数ランキング、本拠地の雰囲気は全30チームのアリーナ比較で確認できます。
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