NBAで「歴史的に弱いチーム」と聞いて、どの年のどのチームが浮かびますか?10勝72敗の2015-16シクサーズでしょうか。それとも28連敗を喫した2023-24ピストンズでしょうか。
実はこの「ワースト」、勝利数で見るか勝率で見るかで首位が入れ替わります。しかも短縮シーズンという厄介な但し書きもついてくる。シーズン最多勝ランキングの裏側にあたるこの記録を、2025-26シーズン終了時点で整理してみました。
NBA歴代ワーストシーズン勝率ランキングTOP20
まずは勝率の低い順に並べた一覧です。アスタリスクはロックアウトなどで試合数が減った短縮シーズンを示しています。
| 順位 | シーズン | チーム | 成績 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2011-12* | シャーロット ボブキャッツ | 7勝59敗 | .106 |
| 2 | 1972-73 | フィラデルフィア、76ers | 9勝73敗 | .110 |
| 3 | 2015-16 | フィラデルフィア、76ers | 10勝72敗 | .122 |
| 4 | 1947-48 | プロビデンス スチームローラーズ | 6勝42敗 | .125 |
| 5 | 1992-93 | ダラス マーベリックス | 11勝71敗 | .134 |
| 5 | 1997-98 | デンバー ナゲッツ | 11勝71敗 | .134 |
| 7 | 1986-87 | ロサンゼルス クリッパーズ | 12勝70敗 | .146 |
| 7 | 2009-10 | ニュージャージー ネッツ | 12勝70敗 | .146 |
| 9 | 1993-94 | ダラス マーベリックス | 13勝69敗 | .159 |
| 9 | 2004-05 | アトランタ ホークス | 13勝69敗 | .159 |
| 11 | 1998-99* | バンクーバー グリズリーズ | 8勝42敗 | .160 |
| 12 | 1982-83 | ヒューストン ロケッツ | 14勝68敗 | .171 |
| 12 | 1996-97 | バンクーバー グリズリーズ | 14勝68敗 | .171 |
| 12 | 2023-24 | デトロイト ピストンズ | 14勝68敗 | .171 |
| 15 | 1952-53 | フィラデルフィア ウォリアーズ | 12勝57敗 | .174 |
| 16 | 1949-50 | デンバー ナゲッツ(旧) | 11勝51敗 | .177 |
| 17 | 1998-99* | ロサンゼルス クリッパーズ | 9勝41敗 | .180 |
| 18 | 1967-68 | サンディエゴ ロケッツ | 15勝67敗 | .183 |
| 18 | 1970-71 | クリーブランド キャバリアーズ | 15勝67敗 | .183 |
| 18 | 1980-81 | ダラス マーベリックス | 15勝67敗 | .183 |
勝率ワースト1位は7勝59敗。ただし66試合制でした
勝率だけを見れば、歴代最悪は2011-12シーズンのシャーロット ボブキャッツです。7勝59敗、勝率.106。それまでワーストだった1972-73シクサーズの.110を下回り、10試合やって1勝できるかどうかという水準でNBAの1シーズンを走り切ってしまいました。
ただしこのシーズンはロックアウトの影響で66試合制。試合数が少ない分、1つの連敗が勝率に与えるダメージが大きくなります。だから「勝率ワースト」としては1位でも、「最も勝てなかったチーム」と呼ぶには少し条件が違う、という見方もできます。
ちなみにこのボブキャッツ、当時のオーナーはマイケル ジョーダンでした。歴代最高の選手が持つチームが歴代最低の勝率を出す、というのはなかなか残酷な巡り合わせです。
82試合制の底は「9勝73敗」。1972-73シクサーズ
フルシーズン(82試合)で最も勝てなかったのは、1972-73シーズンのフィラデルフィア、76ersです。9勝73敗、勝率.110。82試合やって一桁勝利という、50年以上破られていない記録です。
興味深いのは、同じ76ersが2015-16に10勝72敗で歴代3位に入っていることです。いわゆる「ザ プロセス」と呼ばれた大規模再建の時期にあたり、こちらは意図的に負けを積み上げた側面があります。同じ球団が歴代ワースト2位と3位を占めるという、ちょっと信じがたい並びになっています。
この「わざと弱くなる」動きこそが、NBAが長年頭を悩ませてきたタンキング問題です。ドラフトロッタリーの仕組みや近年のタンキング対策は、まさにこの表の上位に新しい名前が加わらないようにするための制度設計だと言えます。
もうひとつの底、28連敗というピストンズの記録
シーズン成績とは別に、「どれだけ連続で負けたか」という指標もあります。ここで名前が挙がるのが2023-24シーズンのデトロイト ピストンズです。
2023年10月30日から12月30日まで、ピストンズは28連敗を喫しました。同一シーズン内の連敗記録としては、それまでの27連敗(2013-14シクサーズ、2010-11キャバリアーズ)を上回る新記録です。NBA全体の最長連敗記録も28で、こちらは2015年3月27日から12月1日にかけてシーズンをまたいだ76ersが持っており、ピストンズはそれに並んだ形になります。
連敗が止まったのは12月30日のラプターズ戦、129-127という僅差の勝利でした。このシーズンのピストンズは最終的に14勝68敗で、歴代ワースト12位タイに入っています。ちなみにそのピストンズからは、2025-26シーズンにオーサー トンプソンがオールディフェンシブ1stチームに選ばれています。どん底のロースターから2年で守備のベスト5が出てくる、というのもNBAらしい話です。
ちなみに連勝記録のランキングではレイカーズの33連勝が長年トップに君臨していますが、連敗記録の方が数字としては近いところまで来ている、というのも面白いところです。
最近は「歴史的ワースト」が出にくくなっている
この表を眺めて気づくのは、2010年代以降にランクインしているのがわずか3チーム(2011-12ボブキャッツ、2015-16シクサーズ、2023-24ピストンズ)しかいないことです。
直近の2025-26シーズンで最も勝てなかったのはワシントン ウィザーズの17勝65敗でした。下位5チームは次の通りです。
| 順位 | チーム | 成績 |
|---|---|---|
| 30 | ワシントン ウィザーズ | 17勝65敗 |
| 29 | インディアナ ペイサーズ | 19勝63敗 |
| 28 | ブルックリン ネッツ | 20勝62敗 |
| 27 | ユタ ジャズ | 22勝60敗 |
| 27 | サクラメント キングス | 22勝60敗 |
17勝65敗は十分に厳しい成績ですが、歴代ワースト20には入りません。最下位付近の抽選確率が横並びになる現行ロッタリー制度のもとでは、底まで落ちきるメリットが薄れているのだと思います。ちなみにこのシーズンを制したのはニックスで、スパーズを4勝1敗で下しての優勝でした。
一方で、勝ちきれず負けきれない中位もまたつらい。ブルズが教えてくれた「中途半端の地獄」の話と合わせて読むと、この表の意味がもう少し立体的に見えてくるはずです。
まとめ
- 勝率ワースト1位は2011-12ボブキャッツの7勝59敗(.106)。ただし66試合の短縮シーズンです
- 82試合制でのワーストは1972-73シクサーズの9勝73敗(.110)で、50年以上更新されていません
- 76ersは1972-73と2015-16でワースト2位、3位を独占しています
- 同一シーズン最長連敗は2023-24ピストンズの28連敗。リーグ全体の記録にも並びました
- 2025-26のワーストはウィザーズの17勝65敗で、歴代20位には届きません
- 2010年代以降で歴代ワースト20に入ったのは3チームだけです
強いチームの記録は語り継がれますが、弱いチームの記録も同じくらいリーグの構造を教えてくれます。制度が変わって「歴史的ワースト」が生まれにくくなったのは、たぶん良い変化なのでしょう。それでもこの表が10年後にどう変わっているかは、静かに気になるところです。
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