ハリバートンが472日ぶりに実戦復帰。16分7得点6アシストの中身と復帰1年目の行方

ハリバートンが472日ぶりに実戦復帰。16分7得点6アシストの中身と復帰1年目の行方
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ついにハリバートンがコートに戻ってきました。現地10月7日、アイオワ州エイムズのHilton Coliseumで行われたプレシーズン初戦のティンバーウルブズ戦に出場し、16分で7得点、6アシスト。試合もペイサーズが123-112で勝っています。前回の記事を書いたのはメディアデー当日で、その時点では「10月のコートで見るまでは分からない」という気持ちが正直ありました。それから10日ほどで、本当に試合に出ている姿を見られたのは素直に嬉しいです。

「472日ぶり」を自分の口で

最後に出た試合は、2025年6月22日のファイナル第7戦です。そこから今回の試合までちょうど472日、ざっくり言えば約1年4ヶ月になります。この「472」という数字は、ハリバートン本人が試合前にコート中央で観客へあいさつしたときにも口にしていました。

"It’s been 472 days since I played a game of basketball. I wouldn’t want to do it anywhere else."
(バスケの試合をするのは472日ぶり。ここ以外でやるなんて考えられない)

自分で日数を数えていたというのが、なんともハリバートンらしいです。それだけ1日1日を意識しながらリハビリしていたんだろうなと思うと、ちょっとグッときます。

会場のHilton Coliseumは、ハリバートンが2018〜2020年にプレーしたアイオワ州立大学のホームアリーナです。中立地でのプレシーズンゲームで、カーライルHCによると、もともとは2025年に予定していたものの、ハリバートンの負傷で今年に延期したそうです。本人はDAZNの取材に「数年前に自分がこの開催を提案した」と話していて、両ゴール裏の学生席のチケットを自分で全部買い取り、アイオワ州立大が抽選で学生に配ったとも報じられています。復帰戦の舞台を自分で用意して、母校の学生を招待して戻ってくる。普通の選手ならなかなか思いつかないことだと思います。

試合前にはこんなことも話していました。

"Right when I left college, I never thought that I’d be able to play in this gym again. When I came here as a freshman…I just wanted to get on the court in an Iowa State uniform, let alone be able to have enough juice to play an NBA game here."
(大学を出たときは、またこの体育館でプレーできるとは思っていなかった。1年生のころはアイオワ州立大のユニフォームでコートに立ちたいだけだった。ここでNBAの試合ができるほどの力をつけるなんて、なおさら考えていなかった)

アキレス腱を切ってから戻ってくる場所としては、これ以上ない会場だったんじゃないでしょうか。

16分7得点6アシスト、数字以上に見たかったもの

成績は16分、7得点、FG 3/8、6アシスト。報道によると3Pは1/3で、1スティールも記録しています。ペイサーズのこの試合の最初の得点を決めたのもハリバートンでした。

シュートは8本中3本なので、決して当たっていたとは言えません。ただ、プレシーズン初戦、しかも約1年4ヶ月ぶりの試合でシュートタッチが戻っていないのは当然と言えば当然です。NBC Sportsの記者も「シュートは錆びついていた」としつつ、ゲームメイクは良く、方向転換やドライブで身体面の問題は見られなかったと書いていました。これはあくまで記者の評価ですが、自分が一番見たかったのもまさにそこです。

アキレス腱の怪我で怖いのは、シュートが入るかどうかより、切り返しや踏み切りで足に体重をかけられるかどうかだと思っています。プレーする側の感覚でいうと、一度大きく足を痛めると、頭では大丈夫と分かっていても、ストップや方向転換の一歩で無意識にブレーキがかかるんですよね。そこで怖がっている様子がなかったのなら、16分の内容としては十分合格点です。

一方で、Circle City Spinは第1Qの最初の出場が7分ほどで、下がるときには疲れた様子だったと書いています。ここは仕方ないところで、いくら練習やピックアップゲームを重ねても、試合の強度とスピードはやっぱり別物です。GMのブキャナンが9月に「NBAの試合スピードが最後の調整段階」と話していたのは前回の記事でも触れましたが、そこはこれから少しずつ取り戻していくしかありません。

ちなみに出場時間については、本人は試合前にSIの取材でこう話していました。

"At a minimum, the first half would be my hope. If it’s up to me I’d play all four quarters, but I don’t think it’s necessarily up to me."
(少なくとも前半は出たい。自分で決められるなら4クォーター全部出るけど、それを決めるのは必ずしも自分じゃないと思う)

DAZNには「コーチが考えているより長くプレーさせてくれと、もうやり合っている」とまで言っていて、カーライルHCも試合前に「かなりの時間(good chunk)」出ると話していました。結果は16分。出たい本人と、慎重に進めたいコーチの綱引きが目に浮かびます。笑

ズバッチとの新しい形が見えた

個人的に今回一番楽しみにしていたのが、イビツァ ズバッチとのコンビです。ペイサーズは2026年2月のトレード期限前に、ベネディクト マサリン、アイザイア ジャクソン、2026年と2029年の1巡目指名権などを出してクリッパーズからズバッチを獲得しました。2026年の指名権は結局5位になり、プロテクトの範囲から外れてクリッパーズに渡っています。かなり大きな代償を払ったトレードなので、ハリバートンと組んで結果を出してもらわないと困るわけです。

ハリバートンは8月のポッドキャストで「ズバッチと一緒にプレーするのは自分にとって大きな変化になる。あんなスクリーナーとはプレーしたことがない」と話していました。ズバッチの側もメディアデーで「(連係を作るのに)時間はかからないと思う」「賢いPGと組むのは自分にとって難しいことではなかった」とコメントしています。

で、実際の試合ではどうだったか。IndyStarによると、ズバッチのスクリーンでハリバートンにオープンショットが生まれる場面があり、2人のピック&ロールは好印象だったそうです。数字で見られるデータはまだ確認できていないので、ここは「良さそうだった」以上のことは言えません。ただ、ファイナルまで行ったころのペイサーズは、ハリバートンを中心にボールと人がとにかく速く動くチームで、壁のようにどっしりスクリーンをかけるビッグマンがいるタイプではありませんでした。そこにズバッチが入ると、ハリバートンはスクリーンの使い方そのものが変わってくるはずです。速さで崩すだけでなく、ズバッチの大きな壁を使ってズレを作るという選択肢が増えるのは、足の状態が100%に戻りきるまでの期間を考えても悪くない組み合わせだと思います。

デュラント、トンプソン、ウォールの「復帰1年目」

ここからは、じゃあ復帰1年目はどうなるのか、という話です。前回は復帰できるかどうかの話が中心でしたが、もう試合に出た以上、気になるのはその先です。アキレス腱断裂から戻ってきた選手の1年目の数字を並べてみました。

選手 復帰1年目 試合数 出場時間 得点 FG% 3P%
ケビン デュラント 2020-21(BKN) 35 33.1分 26.9 53.7% 45.0%
クレイ トンプソン 2021-22(GSW) 32 29.4分 20.4 42.9% 38.5%
ジョン ウォール 2020-21(HOU) 40 32.2分 20.6 40.4% 31.7%

デュラントは負傷から561日後、2020年12月22日のネッツ開幕戦で復帰して22得点。1年目から26.9得点、FG 53.7%、3P 45.0%で、オールスターにも選ばれています。正直、これはもう別格です。トンプソンはACL断裂のリハビリ中にアキレス腱まで切って941日ぶりの復帰になり、1年目は32試合で20.4得点、FG 42.9%。それでもウォリアーズはそのシーズンに優勝しています。ウォールは735日ぶりの公式戦となったロケッツでのデビュー戦で22得点、9アシストを記録し、1年目は40試合で20.6得点、6.9アシスト、FGは40.4%でした。

3人に共通しているのは、1年目の出場試合数が30〜40試合にとどまっていることです。デュラントの35試合には、ハムストリングなど別の負傷や健康安全プロトコルでの欠場も含まれているので、すべてがアキレス腱のせいというわけではありません。トンプソンもシーズン途中の1月からの復帰でした。それでも、復帰1年目にフルで80試合近く出るのは簡単じゃない、ということは見えてきます。

じゃあハリバートンはどのタイプに近いのか。自分はシュート効率よりも、アシストやゲームメイクの部分がどれだけ早く戻るかの方が大事だと思っています。デュラントやトンプソンは、言ってしまえば得点で評価される選手です。ハリバートンは得点も取れますが、本当の価値は判断の速さとパスの質にあります。足のキレが多少落ちても、そこは比較的早く戻りやすい部分のはずで、今回6アシストでゲームメイクは問題なさそうと評価されたのは、そういう意味で明るい材料です。逆にウォールのように、スピードを武器にしていたPGがFG 40%前後まで落ちたケースもあるので、ドライブからのフィニッシュがどこまで戻るかは、シーズンを通して見ていきたいところです。

もうひとつ、同じ10月7日にはデイミアン リラードもブレイザーズのプレシーズン初戦(ホームのウォリアーズ戦)で実戦に戻っています。リラードがアキレス腱を断裂したのは2025年4月、プレーオフ1回戦のペイサーズ戦でした。ハリバートンの負傷のわずか56日前で、しかも相手がペイサーズだったわけです。同じ年に同じ怪我をしたスター2人が、同じ日に戻ってきたというのは、なんだか不思議な巡り合わせですよね。今季はこの2人の「復帰1年目」を並べて追いかけられるのも、ちょっとした楽しみです。

19勝63敗からどう立て直すか

ハリバートンがいなかった2025-26シーズン、ペイサーズは19勝63敗。球団史上最悪で、初めて20勝に届かなかったシーズンでした。ファイナル第7戦まで行ったチームが、エースが抜けただけでここまで落ちるのかと、改めて数字を見て驚きます。それだけハリバートンの存在が大きかったということでもあります。

そう考えると、今季のペイサーズに大事なのは、ハリバートンを急いで去年の水準に戻すことより、シーズンを通してコートに立たせ続けることなんだと思います。本人はメディアデーで「健康で100%。制限はない」「これはニュースでもないし、情報源もいない。情報源は自分だ」と言い切りました。一方でカーライルHCは「大きな制限は想定していないが、適切なペースで進める」「負荷がどれくらいになるかは正確には言えない」と、少し慎重なトーンです。シーズン序盤にバック トゥ バックで休ませるのでは、という見方も出ていますが、球団から正式に何か発表されているわけではありません。本人の「全部出たい」と、チームの「長い目で見たい」がどこで折り合うのか。今回の16分という数字は、そのバランスの最初の答えだったのかもしれません。

この試合はT.J.マッコーネル、ラリー ナンスJr.、ジョニー ファーフィーが欠場していて、ペイサーズもまだベストの状態ではありませんでした。プレシーズンはこのあと10月10日のホークス戦、13日のサンダー戦、16日のバックス戦と続きます。ハリバートンがこの3試合にどれくらい出るのかは、今のところ発表されていません。

まとめ

472日ぶりの実戦は、16分で7得点、6アシスト、チームも勝利という、復帰戦としては文句なしの内容でした。シュートはまだまだこれからですが、ドライブや切り返しに怖がる様子がなかったという評価が出ているのは本当に大きいです。レギュラーシーズンの開幕は10月21日のアウェーでのペリカンズ戦、ホーム開幕は10月23日、Gainbridge Fieldhouseでのマーベリックス戦です。デュラントのように1年目から全開で行くのか、それとも少しずつ戻していくのか、正直まだ誰にも分かりません。でも、あのファイナル第7戦で終わってしまった物語の続きを、今年はちゃんとコートの上で見られる。今はそれだけで十分です。インディアナのファンがGainbridge Fieldhouseで「おかえり」と言える日を楽しみに待ちたいと思います。

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