「怪我さえなければ」の続きが始まる。リラード、ハリバートン、テイタム…2026-27に戻ってくるスターと“見たかった世界線”

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8月にXで「近年のNBA三大見たかった世界線」を投稿したら、ありがたいことに40万回以上見てもらえました。ローズが大怪我をしなかった世界、ブランドン・ロイの膝が持った世界。リプライや引用で、みなさんの「見たかった世界線」もたくさん教えてもらいました。

あの時に改めて思ったのは、NBAファンの「たられば」は、ほとんどが怪我の話だということです。そして2026-27シーズンは、その「たられば」の続きが実際に見られるかもしれない年です。

アキレス腱を切ったスターが、何人も同時に戻ってきます。昨季をまるごと休んだ選手もいれば、シーズン終盤に戻ってきた選手もいます。逆に、まだ戻る場所が決まっていない選手もいます。開幕を前に、「怪我さえなければ」の続きが始まる選手たちを整理してみました。

まず、アキレス腱がなぜ怖いのか

バスケ選手にとって、アキレス腱断裂は膝の前十字靭帯と並ぶ大怪我です。ジャンプ、着地、急な方向転換、どれもアキレス腱に負担がかかります。手術をしても、復帰まではおおむね9か月から1年以上かかると言われます。

そして怖いのは、戻ってきた後です。コートに立てても、以前と同じ一歩目の速さや跳躍力が戻るとは限りません。過去にはケビン・デュラントのように、アキレス腱を切った後も得点王級の選手であり続けた例がある一方で、全盛期の動きが戻らないままキャリアが終わっていった選手もいます。

だからこそ、今季戻ってくる選手たちは「戻れるか」ではなく「どこまで戻れるか」が見どころになります。

デイミアン・リラード:1年を丸々使って、ポートランドへ帰ってきた

リラードがアキレス腱を断裂したのは、2025年のプレーオフ1回戦でした。バックスはその夏、残っていた約1億1,300万ドルの契約をストレッチ条項で5年に分けてウェイブ。リラードはそのまま古巣トレイルブレイザーズと3年4,200万ドルで契約し、2025-26シーズンは丸々リハビリに充てました。

そして2026年9月、トレーニングキャンプには「制限なし」で参加できる状態だと報じられています。36歳でアキレス腱から戻ってくるのは簡単なことではありません。ただ、リラードの武器はもともと爆発的なジャンプではなく、ロゴ付近からでも打てる3ポイントと、勝負どころの度胸です。運動能力が多少落ちても残る武器を持っているのは、大きな強みだと思います。

今のブレイザーズには、ジャ・モラントとジュルー・ホリデーもいます。同時に先発させるのかどうか、ヘッドコーチがかなり悩んでいるという話も出ています。「怪我がなければ、リラードはまだどこまでやれたのか」。その答え合わせが、まさか地元ポートランドで始まるとは思いませんでした。

タイリース・ハリバートン:ファイナル第7戦で止まった時計が動き出す

ハリバートンがアキレス腱を切ったのは、2025年のNBAファイナル第7戦です。ペイサーズが優勝まであと1勝というところで、司令塔が序盤に倒れました。あの場面を覚えている人も多いと思います。

そこから2025-26シーズンは全休。司令塔を失ったペイサーズは19勝63敗まで落ち込みました。前の年にファイナルまで行ったチームが、1人いないだけでここまで変わる。ハリバートンの存在がどれだけ大きかったかを、数字が一番よく表しています。

本人は今年のキャンプで「100%、制限なし」と話していて、一方でカーライルHCは負荷を管理しながら進める方針です。昨季途中に加わったイビツァ・ズバッツとのピック&ロールがどう噛み合うのかも楽しみです。「もし第7戦でハリバートンが倒れていなかったら」という世界線はもう見られませんが、その続きは今季から見られます。

ジェイソン・テイタム:最速クラスで戻り、今季が本当の勝負

テイタムは2025年5月、ニックスとのプレーオフで右アキレス腱を断裂しました。当初は2025-26シーズン全休もありうると言われていましたが、実際には2026年3月6日に復帰。レギュラーシーズンで16試合に出場し、プレーオフでも76ers相手に平均20得点以上を記録するなど、かなり早いペースで戻ってきました。

ただ、今季のテイタムを取り巻く状況は、怪我の前とは大きく違います。長年のパートナーだったジェイレン・ブラウンは76ersへ移り、代わりにやってきたのは36歳のポール・ジョージ。そのジョージは入団会見で「僕らのスーパースターはJT。彼が主役だ」と言い切りました。

怪我から戻っただけでなく、名実ともに「1人で背負う」立場で迎える初めてのシーズンです。アキレス腱から戻った選手が、エースとして82試合を戦い切れるのか。ここも今季の大きな見どころです。

ブランドン・イングラム:新天地で、また足踏み

逆に、つらいニュースもありました。カワイ・レナードとのトレードでクリッパーズへ移ったばかりのブランドン・イングラムは、右かかとの手術の際にアキレス腱の部分断裂が見つかり、開幕には間に合わない見込みと報じられています。

イングラムは2016年ドラフト全体2位。2020年にはオールスターと最優秀成長選手賞を手にしましたが、その後は毎年のように怪我で欠場が続いてきました。八村塁と同じチームになったことで日本でも注目度が上がった選手だけに、新天地で万全の姿を見せてほしいところです。

過去の例:アキレス腱から「戻れた人」と「戻りきれなかった人」

アキレス腱からの復帰がどれだけ人によって違うかは、過去のスターを見るとよく分かります。

一番の成功例はケビン・デュラントです。2019年のファイナルでアキレス腱を断裂し、翌2019-20シーズンを全休。2020-21シーズンにネッツで戻ってくると、平均20点台後半を記録し、その後も長くリーグ屈指のスコアラーであり続けました。デュラントの場合、もともと7フィート近い身長と高いリリースが武器だったので、多少運動能力が落ちてもシュートの価値が下がりにくかったと言われます。

反対に、コービー・ブライアントは2013年4月にアキレス腱を断裂した後、翌シーズンは戻ってすぐに膝を骨折し、わずか6試合の出場に終わりました。その後も怪我が続き、2016年に引退しています。デマーカス・カズンズも2018年にアキレス腱を切った後、膝の怪我も重なり、オールスターだった頃の姿には戻れないまま、チームを転々とすることになりました。

この差を分けるのは、年齢、怪我の前のプレースタイル、そして復帰後にほかの怪我が重ならないかどうかです。今季の3人で言えば、リラードは36歳と年齢面のハードルが一番高い一方、シュート力が武器なのはデュラントに近いタイプです。ハリバートンは26歳と若く、パスとゲームメイクが武器。テイタムはすでに一度戻っていて、今季は「戻った後の2年目」になります。

復帰1年目、ここを見ておくと面白い

開幕直後の試合では、得点の数字よりも次のようなポイントを見ておくと、「どこまで戻っているか」が分かりやすいと思います。

  1. 出場時間と連戦:最初は1試合の出場時間が制限されたり、2日連続の試合(バック・トゥ・バック)で片方を休んだりすることが多いです。制限が外れる時期が、チームが「もう大丈夫」と判断したサインです。
  2. ドライブの一歩目:アキレス腱の怪我の後は、ジャンプよりも最初の一歩の速さに影響が出やすいと言われます。ディフェンダーを抜き切れているかどうかは、見ていて一番分かりやすい部分です。
  3. ディフェンスでの横の動き:攻撃より守備のほうが、相手に合わせて急に止まったり動いたりする場面が多くなります。守備で狙われていないかどうかも、チェックしておきたいところです。

まだ「戻る場所」がない選手たち

アキレス腱以外の怪我も含めると、「怪我さえなければ」と言いたくなる選手は今季も残っています。

  • ロンゾ・ボール(28歳):膝の怪我で2シーズン以上を失い、昨季はキャバリアーズで35試合。9月に引退報道が広まりましたが、本人は「まだ電話を待っている」と否定しました(詳しくはこちら)。
  • ビクター・オラディポ:2013年ドラフト全体2位で、オールスター2回。大腿四頭筋と膝蓋腱の大怪我が続き、2023年4月を最後にNBAの試合に出ていません。2026年9月には全30チームに向けて「体は戻った」という公開書簡を出し、復帰を目指しています。

ロンゾのブルズ時代、序盤40試合で27勝13敗だったチームの姿を思い出すと、今でも「あのまま行っていたら」と考えてしまいます。オラディポも、2018年に最優秀成長選手賞を取った頃は、イースト屈指のツーウェイガードでした。

見たかった世界線は、まだ増えていく

デリック・ローズは22歳でMVPを取った翌年に前十字靭帯を切りました。ブランドン・ロイは膝の状態から、20代で一度コートを離れました。どちらも、ファンの頭の中では今でも「続き」が上映され続けている選手です。

今季戻ってくるリラード、ハリバートン、テイタムは、その続きを実際のコートで見せてくれるかもしれない選手たちです。もちろん、全員が元どおりになるとは限りません。それでも、開幕戦のコートに立つ姿を見られるだけで、去年の今ごろよりずっと幸せなことだと思います。

個人的には、開幕から数試合は結果よりも「楽しそうにプレーしているか」を見たいと思っています。長いリハビリを終えた選手が、久しぶりの満員のアリーナで最初のシュートを決めた瞬間は、勝ち負けとは別に、NBAを見ていて良かったと思える場面の一つです。

みなさんが今季いちばん「続きを見たい」選手は誰ですか?逆に、「この選手の怪我がなければ」と今でも思ってしまう選手がいたら、ぜひXでも教えてください。また一つにまとめたいと思います。

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※2026年10月6日時点の報道に基づいています。

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