「最近のNBA、毎年チャンピオンが変わりますよね?」——そう感じている方、感覚は正しいです。数えてみたら、2019年から2026年まで8シーズン連続で違う球団が優勝していました。しかも8球団すべてが別々。これ、1947年からのNBA史上で最も長い記録です。
かつてのNBAは「王朝」の歴史でした。8連覇、3連覇が当たり前のように起きていたリーグが、いつからこうなったのか。チーム別の優勝回数ランキングとはまた違う角度から、NBAの連覇の歴史を整理してみます。
3連覇以上を達成したのは、史上たった5回
まずは頂点から。NBA史上、3年以上連続で優勝したケースは以下の5回しかありません。
| 球団 | 連覇 | 年 | 主な中心選手 |
|---|---|---|---|
| ボストン・セルティックス | 8連覇 | 1959-1966 | ビル・ラッセル |
| ミネアポリス・レイカーズ | 3連覇 | 1952-1954 | ジョージ・マイカン |
| シカゴ・ブルズ | 3連覇 | 1991-1993 | マイケル・ジョーダン |
| シカゴ・ブルズ | 3連覇 | 1996-1998 | マイケル・ジョーダン |
| ロサンゼルス・レイカーズ | 3連覇 | 2000-2002 | シャキール・オニール、コービー・ブライアント |
セルティックスの8連覇が完全に別格です。1959年から1966年まで、8年間ずっと同じ球団が優勝し続けた。ベンチにいたのは歴代2位の9回優勝を誇るレッド・アワーバックで、コートの中心には11回のリングを持つビル・ラッセルがいました。
そして注目してほしいのが、一番下の年号です。最後の3連覇は2002年のレイカーズ。もう24年前です。
2連覇(ちょうど2回)の一覧
3連覇には届かなかったものの、2年連続で優勝した例は8回あります。
| 球団 | 年 | 備考 |
|---|---|---|
| ミネアポリス・レイカーズ | 1949-1950 | のちの3連覇の前哨戦 |
| ボストン・セルティックス | 1968-1969 | ビル・ラッセルの選手兼任監督時代 |
| ロサンゼルス・レイカーズ | 1987-1988 | ショータイム、パット・ライリー体制 |
| デトロイト・ピストンズ | 1989-1990 | バッドボーイズ |
| ヒューストン・ロケッツ | 1994-1995 | ジョーダン不在期の連覇 |
| ロサンゼルス・レイカーズ | 2009-2010 | コービー+フィル・ジャクソン |
| マイアミ・ヒート | 2012-2013 | レブロンのビッグ3 |
| ゴールデンステート・ウォリアーズ | 2017-2018 | KD加入後の2年 |
3連覇以上の5回と合わせると、80シーズンの歴史の中で連覇が起きたのは13回だけ。思っていたより少ない、というのが正直な感想でした。
2019年以降、8年連続で王者が入れ替わっている
直近の8シーズンの優勝チームを並べてみます。
| 年 | 優勝チーム | 相手 |
|---|---|---|
| 2019 | トロント・ラプターズ | ウォリアーズ |
| 2020 | ロサンゼルス・レイカーズ | ヒート |
| 2021 | ミルウォーキー・バックス | サンズ |
| 2022 | ゴールデンステート・ウォリアーズ | セルティックス |
| 2023 | デンバー・ナゲッツ | ヒート |
| 2024 | ボストン・セルティックス | マーベリックス |
| 2025 | オクラホマシティ・サンダー | ペイサーズ |
| 2026 | ニューヨーク・ニックス | スパーズ |
8年で8球団。重複が1つもありません。過去にこれに近い例を探すと、1954-1958年と1976-1980年の「5年連続で別の王者」が最長でした。つまり今の8年連続は、それを大きく上回る史上最長記録です。
最後の連覇は2018年のウォリアーズ。もう8シーズン、誰も王座を守れていないことになります。
なぜ王朝が生まれなくなったのか
1. 制度が「上限」を作りにいっている
一番大きいのはここでしょう。現行のCBAで導入されたエプロン制度、とくにセカンドエプロンは、金を払えば戦力を維持できるという発想を明確に潰しにきています。強いチームほど再契約のコストが跳ね上がり、補強手段そのものを失う。セカンドエプロンでNBAは面白くなったのかという記事でも書きましたが、王朝を作らせない設計思想が制度に埋め込まれています。
2. 優勝したチームほど消耗する
優勝するということは、レギュラーシーズン82試合に加えてプレーオフを20試合以上戦うということです。それを毎年続ければ、主力の体は確実に削られていきます。ロードマネジメントが広まった背景にもこの問題があります。連覇のハードルは、単純に肉体的なものでもあるわけです。
3. 選手の移動が速くなった
昔のように「1つの球団で10年」というキャリアが減り、契約年数も短くなりました。優勝メンバーが翌年そのまま残っている保証がない。ビッグ3を組んでも、その3人が揃っていられる期間は年々短くなっています。
これは良いことなのか、寂しいことなのか
戦力均衡という意味では、間違いなく成功しています。8年で8球団が頂点に立つリーグは、どのファンにも「今年こそ」があるということです。2026年のニックスのように、53年待った街が爆発する瞬間も生まれます。
一方で、ジョーダンのブルズやラッセルのセルティックスのような「倒すべき絶対王者」がいないのは、物語としては少し薄い気もします。あの頃のNBAが面白かったのは、勝ち続けるチームがいて、それに挑み続ける側がいたからでもありました。どちらが良いかは、正直まだ答えが出ていません。
まとめ
- 3連覇以上はNBA史上5回だけ。最長はセルティックスの8連覇(1959-1966)
- 2連覇はちょうど8回。連覇そのものが80シーズンで13回しか起きていない
- 最後の3連覇は2002年レイカーズ、最後の連覇は2018年ウォリアーズ
- 2019-2026年は8シーズン連続で別の球団が優勝。1947年以降で最長記録
- 背景にはエプロン制度、消耗、選手の流動性の高まりがある
次に連覇を達成するのはどこか。2025年のサンダー、2026年のニックス、どちらも若く、しばらく強そうなチームです。24年ぶりの3連覇まで見られたら、それはそれで歴史的な出来事になります。
あわせて、選手個人のリング獲得数ランキングや歴代MVP最多受賞ランキング、シード別の優勝チーム一覧もどうぞ。個人の記録とチームの記録を並べて見ると、同じ時代がまったく違う顔で見えてきます。


