「NBAのMVPを一番多く獲った選手って誰?」——リングの数なら歴代優勝選手ランキングで整理しましたが、MVPとなるとまた別の顔ぶれになります。優勝はチームの記録ですが、MVPは完全に個人の記録。誰がリーグで一番だったかを、毎年1人だけ選ぶ賞です。
2026年のMVPが決まったところで、歴代の受賞回数を整理してみました。調べていくうちに、いま進行中の「異変」もはっきり見えてきます。
2026年のMVPはシェイ・ギルジャス・アレクサンダー(2年連続)
2025-26シーズンのMVPは、オクラホマシティ・サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダー。2年連続2回目の受賞です。MVPを連覇したのは史上14人目となりました。
ちなみに同シーズンの他の主要賞は、最優秀コーチ賞がジョー・マズーラ(セルティックス)、最優秀守備選手賞がビクター・ウェンバンヤマ(スパーズ)、新人王がクーパー・フラッグ。フラッグはドラフトの目玉として期待どおりの1年目を送ったことになります。
NBA歴代MVP受賞回数ランキング【2回以上】
| 順位 | 選手 | 回数 | 受賞年 |
|---|---|---|---|
| 1 | カリーム・アブドゥル=ジャバー | 6回 | 1971、1972、1974、1976、1977、1980 |
| 2 | ビル・ラッセル | 5回 | 1958、1961、1962、1963、1965 |
| 2 | マイケル・ジョーダン | 5回 | 1988、1991、1992、1996、1998 |
| 4 | ウィルト・チェンバレン | 4回 | 1960、1966、1967、1968 |
| 4 | レブロン・ジェームズ | 4回 | 2009、2010、2012、2013 |
| 6 | モーゼス・マローン | 3回 | 1979、1982、1983 |
| 6 | ラリー・バード | 3回 | 1984、1985、1986 |
| 6 | マジック・ジョンソン | 3回 | 1987、1989、1990 |
| 6 | ニコラ・ヨキッチ | 3回 | 2021、2022、2024 |
| 10 | ボブ・ペティット | 2回 | 1956、1959 |
| 10 | カール・マローン | 2回 | 1997、1999 |
| 10 | ティム・ダンカン | 2回 | 2002、2003 |
| 10 | スティーブ・ナッシュ | 2回 | 2005、2006 |
| 10 | ステフィン・カリー | 2回 | 2015、2016 |
| 10 | ヤニス・アデトクンボ | 2回 | 2019、2020 |
| 10 | シェイ・ギルジャス・アレクサンダー | 2回 | 2025、2026 |
カリーム6回の壁は、当分破られない
単独トップはカリーム・アブドゥル=ジャバーの6回。1971年から1980年まで、10年間で6回獲っています。ミルウォーキー・バックス時代に3回、レイカーズ時代に3回という内訳です。
現役でこの数字に近づける可能性があるのは、3回のニコラ・ヨキッチくらいでしょうか。ただヨキッチは2021、2022、2024年の受賞で、2025年と2026年はSGAに持っていかれました。毎年MVP級の成績を残していても、獲れる保証はまったくない。それがこの賞の厳しさです。
3年連続受賞は史上3人だけ
MVPを3年連続で受賞したのは、ビル・ラッセル(1961-1963)、ウィルト・チェンバレン(1966-1968)、ラリー・バード(1984-1986)の3人だけです。
いずれも1980年代までの記録で、それ以降40年近く誰も達成していません。ジョーダンもレブロンもヨキッチも、2連覇はしても3連覇には届いていない。投票制の賞なので「同じ人が獲り続けると飽きられる」という力学が働くのも一因でしょう。SGAが2027年も獲れば、実に41年ぶりの3連覇になります。
8年連続で「アメリカ国外生まれ」の選手がMVP
ここが今のNBAで一番はっきりした変化だと思います。直近8シーズンのMVPを並べてみます。
| シーズン | 選手 | 出身 |
|---|---|---|
| 2018-19 | ヤニス・アデトクンボ | ギリシャ |
| 2019-20 | ヤニス・アデトクンボ | ギリシャ |
| 2020-21 | ニコラ・ヨキッチ | セルビア |
| 2021-22 | ニコラ・ヨキッチ | セルビア |
| 2022-23 | ジョエル・エンビード | カメルーン |
| 2023-24 | ニコラ・ヨキッチ | セルビア |
| 2024-25 | シェイ・ギルジャス・アレクサンダー | カナダ |
| 2025-26 | シェイ・ギルジャス・アレクサンダー | カナダ |
8年連続で、アメリカ国外で生まれた選手がMVPを受賞しています。最後にアメリカ生まれの選手が獲ったのは2018年のジェームズ・ハーデンです。
これは偶然というより、育成の国際化がはっきり結果に出ているということだと思います。ヨーロッパやアフリカ、カナダで基礎を身につけた選手が、NBAで最高の評価を受ける時代になった。日本のファンとしても、決して他人事ではない話です。
満票MVPは、いまだにステフィン・カリー1人だけ
もう1つの豆知識として。MVP投票で全1位票を集めた「満票MVP」は、2015-16シーズンのステフィン・カリーただ1人です。ウォリアーズが73勝を挙げたあのシーズンですね。
ジョーダンもカリームもレブロンも、一度も満票では獲れていません。投票者の好みが必ず分かれるこの賞で、全員の意見が一致したのが史上1回だけというのは、なかなか象徴的な数字だと思います。
移籍しながら連覇したモーゼス・マローン
細かいところですが、面白い記録を1つ。3回受賞のモーゼス・マローンは、1982年をヒューストン・ロケッツで、1983年をフィラデルフィア76ersで受賞しています。別々の球団で連続MVPという珍しいケースです。しかも1983年は76ersで優勝もしています。
MVPと優勝を同じ年に達成する難しさについては、得点王・MVP・ファイナルMVPの三冠を扱った記事でも触れています。あわせてどうぞ。
まとめ
- 歴代最多はカリーム・アブドゥル=ジャバーの6回
- 2位はビル・ラッセルとマイケル・ジョーダンの5回
- 3年連続受賞はラッセル、チェンバレン、バードの3人だけ(1986年が最後)
- 2019年以降、8年連続でアメリカ国外生まれの選手が受賞
- 満票MVPは2016年のステフィン・カリーのみ
- 2026年はSGAが2年連続、史上14人目の連覇
MVPの歴史を眺めると、そのままNBAの勢力図の変遷が見えてきます。センター全盛の時代、ジョーダン一強の時代、そして今の国際化の時代。王朝が生まれなくなったチーム側の変化とあわせて見ると、リーグ全体で何が起きているのかがより立体的に分かると思います。
ベンチ側の記録が気になった方は、歴代優勝監督ランキングもどうぞ。


