ブレイザーズのジャ・モラントとデイミアン・リラードは、プレシーズン初戦で2人そろって先発する予定です。ミカ・ノーリHCが「たぶん」先発させると話しました。ただ、決まっているのはあくまで初戦だけです。報道を見る限り、ノーリHC自身は守備面に不安を感じているようです。小柄なスター2人を同時に先発させて大丈夫なのか、ここまでの発言と報道を追いながら考えてみます。
初戦のウォリアーズ戦は「たぶん」2人とも先発
プレシーズン初戦は、現地10月7日(水)19:00のウォリアーズ戦です。会場はホームのモダセンターで、日本時間では10月8日(木)午前11時の予定です。プレシーズンは、開幕前に行うオープン戦のような試合です。勝敗は成績に残らないので、新しい組み合わせを試すにはちょうどいい場になります。
この試合の先発について、ノーリHCはこう話しています。"It’s not set in stone, but probably, because I’m leaning toward wanting to see what it looks like."(Yahoo Sports/HoopsHype)。「決まってはいないが、たぶん先発させる。どんな形になるか見てみたい」という意味です。プレシーズンを通して、複数のラインナップを試す方針だと伝えられています。
もう一つ、ノーリHCらしい言葉もあります。"I don’t want to start a fire before I need to." 必要もないうちから火種をつくりたくない、というニュアンスです。開幕前の今、わざわざ波風を立てたくないという本音が見えますね。レギュラーシーズン開幕は10月21日(水)、ホームのサンズ戦です。開幕の先発がどうなるかは、まだ決まっていません。
2人がポートランドでそろうまで
まずはモラント加入の経緯です。ブレイザーズは6月末、グリズリーズからモラントを獲得しました。トレードの合意は現地6月29日です。グリズリーズは、ジェラミ・グラント、クリス・マレー、現金100万ドルを受け取っています。
モラントは2019年ドラフト全体2位で、現在27歳です。新人王、オールスター2回、オールNBA1回の実績があります。ただ、昨季(2025-26)は平均19.5得点・8.1アシストを残したものの、出場は20試合にとどまりました。左肘のUCL(内側側副靱帯)捻挫で、シーズン残りを全休しています。過去3シーズンの出場も計79試合と、ケガや出場停止で離脱が続きました。7月にはESPNの取材に、"It’s like starting all over again."(一からやり直すような感じ)と話していました。
リラードは2025年4月27日、バックス時代のプレーオフで左アキレス腱を断裂しました。同年7月にバックスからウェイブされ、ブレイザーズと3年4,200万ドルで契約しています。古巣への復帰です。2025-26シーズンは全休しました。現在36歳ですが、メディアデーでは「制限は何もない」と話しています。開幕戦に出れば、2023年3月以来のブレイザーズでのレギュラーシーズン出場になります。
2人以外にも、ブレイザーズには実力者がそろっています。2025年オフには、アンファニー・シモンズとの交換でジュルー・ホリデーが加わりました。ホリデーは36歳で、オールディフェンシブチームに6回選ばれた守備の名手です。ESPNは、今季はウィングでの出場が増える見込みと報じています。さらにデニ・アヴディヤは、2026年のオールスターに初選出されました。昨季は平均24.2得点・6.9リバウンド・6.7アシストです。
ノーリHCが気にしているのは守備
では、ノーリHCは何を気にしているのか。The Athleticのジェイソン・クイック記者によると、ポイントは守備です。モラントとリラードは、どちらも身長188cmと小柄なガードです。2人を同時に起用すると、サイズのある相手ガードやウィングとのマッチアップで不利になりがちです。
クイック記者によると、ノーリHCはこう考えているそうです。守備を考えれば、ホリデーとモラントかリラードのどちらかを組み合わせて先発させる方が理にかなう、と。ホリデーは2人より体が大きく、守備にも定評があります。つまり、どちらか1人をベンチスタートに回す形です。ベンチから出て主力級の働きをする選手は、シックスマンと呼ばれます。
ただし、これは記者がノーリHCの考えをまとめたものです。決定事項ではありません。また、Hoops Rumorsによると、ノーリHCは試合序盤の得点より、112-110のような接戦の終盤の得点の方が気になると話しています。先発を誰にするかより、勝負どころで誰がコートに立つかが大事という考え方です。
ノーリHC自身の立場も、少し複雑です。6月23日に就任したばかりで、NBAのHCは今回が初めてです。ティンバーウルブズでは、クリス・フィンチHCの下で5シーズン、アシスタントコーチを務めました。現在52歳です。契約は1年+2年分のチームオプションです。チームオプションは、契約を延長するかどうかを球団側が決められる権利です。保証されているのは実質1シーズンだけですが、本人は契約状況が先発の判断に影響することを否定しています。
2人のキャリアは「先発」がほぼすべて
難しさの理由は、2人のキャリアにもあります。Hoops Rumorsによると、モラントとリラードは合計でキャリア1,227試合のうち、1,225試合に先発しています。2人とも、ベンチから出た経験はほぼありません。
では、本人たちはどう考えているのでしょうか。リラードはキャンプ序盤の火曜日に、「僕が知る限り、ジャも僕もデニも先発する」という趣旨の発言をしています。アヴディヤを含めた3人の先発を、当然のように考えているようです。
一方のモラントは、7月のサマーリーグ期間中に、先発でもベンチでも構わないという趣旨を語っていました。一番大事なのは勝つことだ、という考えです。メディアデーでも、"Everybody’s very unselfish and I think we’re the only team right now who probably is getting questioned about this." と話しています。訳すと「みんなとても献身的だし、こんなことを聞かれているのはたぶんうちのチームだけ」といったところです。
ノーリHCも7月のラジオ出演で、この発言に触れています。本人が気にしないと言ったのだから、その言葉を信じる、という趣旨でした。ただ、10月にはもう少し本音に近い言葉も出ています。モラントがベンチ起用をどう受け止めるかを聞かれ、こう答えました。"On the outside, I think he would handle it great. On the inside … I don’t know."(Hoops Rumors)。表向きはうまく受け止めると思うけれど、内心は……分からない、と。就任したばかりのHCがここまで正直に答えるのは、個人的には好感が持てます。
3Pが少ないチームに、3Pが苦手なモラント
もう一つの論点は3Pです。OPBによると、ブレイザーズの昨季の3P成功数はリーグ28位でした。さらにOPBは、モラントのキャリア3P成功率を31%と伝えています。モラントはドライブが最大の武器ですが、外のシュートは得意ではありません。
その点、リラードは長距離3Pが持ち味です。リラードがコートにいると、相手は外まで守らざるをえません。そのぶん、中にドライブするスペースが生まれます。こうしてコートを広く使うことを、スペーシングと呼びます。モラントもキャンプ中に、リラードがコートにいるとスペースがすごく広がり、周りの選手にもチャンスが生まれるという趣旨を話しています(Hoops Rumors)。
GMのジョー・クローニンも、メディアデーでこの問題に触れています。フィットやポジションの疑問は出るだろうが、才能を重視し続けるというスタンスです。昨季のブレイザーズは42勝40敗でした。プレーインを勝ち上がって第7シードでプレーオフに出ましたが、1回戦でスパーズに1勝4敗で敗れています。さらに、シェイドン・シャープが右膝の半月板断裂で離脱中です。得点力のある2人を、そう簡単にはベンチに回せない事情もありそうです。
筆者としては、攻撃面では同時先発の魅力が大きいと思っています。モラントのドライブとリラードの3Pは、役割がうまく分かれるからです。ただ、守備で狙われる場面が増えるのも確かです。プレシーズンの数試合で、その弱点がどれくらい表に出るかに注目しています。
まとめ
ブレイザーズは、現地10月7日のプレシーズン初戦で、モラントとリラードを先発させる予定です。ノーリHCは「たぶん」と話し、どんな形になるか見てみたいとしています。ただ、The Athleticのクイック記者によると、守備面ではホリデーを先発させる方が理にかなうと考えているようです。開幕の先発は、まだ決まっていません。
難しいのは、2人がキャリアのほぼすべてを先発で過ごしてきた点です。モラントはベンチでも構わないと話し、リラードは自分たちが先発すると考えています。ノーリHCは、モラントの内心は「分からない」と正直に答えました。保証が1シーズンだけのHC1年目にとって、最初の大きな決断になりそうです。
初戦のあとのプレシーズンは、10月12日のロンドン・ライオンズ戦、13日のキングス戦、16日のウォリアーズ戦です。初戦を含めた4試合で、ノーリHCがどんなラインナップを試すのか。そして10月21日のサンズ戦、モラントの公式戦でのブレイザーズデビュー戦で誰が先発に並ぶのかに注目です。

