NBAの試合を見ていて、「あれ、このチーム前に見たときと全然違うユニフォーム着てない?」と思ったことはありませんか。しかも実況で「今日はシティ エディションです」と言われても、じゃあ普段着ているあれは何エディションなんだ、という話になります。
実はNBAのユニフォームにはきちんと種類分けがあって、それぞれ正式な名前が付いています。そして2017-18シーズンにナイキがサプライヤーになったとき、それまで長く続いていた「ホームチームは白を着る」というルールが静かに廃止されました。今回はその仕組みを整理したうえで、ルールが消えたあと実際に何が起きたのかを数字で見ていきます。
NBAのユニフォームは「コア3種+シティ」が基本
まずは全体像です。ナイキ体制のNBAでは、各チームが持てるユニフォームの種類と数が契約で決められています。
| エディション名 | 色 | かつての位置づけ | 保有 |
|---|---|---|---|
| アソシエーション | 白 | 事実上のホーム用 | 全30チーム |
| アイコン | チームカラー | 事実上のアウェー用 | 全30チーム |
| ステートメント | 黒などの別色 | いわゆるサード | 全30チーム |
| シティ | 毎年刷新 | 街へのオマージュ | 毎年発表 |
| クラシック | 復刻デザイン | 記念シーズン用 | 不定期、一部のみ |
アソシエーションが白、アイコンがチームカラー、ステートメントがその他の色。ここまでが「コア3種」で、全チームが必ず持っています。そこに毎年デザインが変わるシティ エディションが加わり、記念シーズンなどでは復刻版のクラシック エディションが用意されることもあります。
つまり、シーズン中に同じチームが4パターン以上の見た目で出てくるのは、混乱ではなく設計通りということになります。ちなみにNBAカップ期間中は専用コートも登場しますが、こちらの仕組みはNBAカップのフォーマット解説でまとめています。
2017-18に消えた「ホームは白」というルール
ここが一番大きな変化です。2017-18シーズンからナイキがアディダスに代わってNBAの公式サプライヤーになりました。アディダスの契約が11年で約4億ドルだったのに対し、ナイキは8年で約10億ドルという規模です。さらに2024年10月には12年の延長が発表され、2025-26シーズンから2036-37シーズンまでナイキ体制が続くことが決まっています。
そしてナイキ体制のスタートと同時に、NBAは「ホームは白、アウェーはカラー」という色の縛りを撤廃しました。新しいルールはこうです。
- ホームチームが、自分たちが着るユニフォームを先に選ぶ
- ビジターチームは、自軍の手持ちの中からそれと対比する色を選ぶ
ホームが白を着る義務がなくなったので、「白いユニフォームだからホームゲームだな」という見方はもう通用しません。中継を途中から見て、どちらのホームか分からなくなる現象の正体はこれです。
データで見ると、ホームの白は本当に少数派になっていた
では実際にどれくらい変わったのでしょうか。ここが今回いちばん面白い部分です。2023-24シーズンの全試合のユニフォーム着用を集計した分析によると、結果は「ただ自由になった」どころか、完全に逆転していました。
| 項目 | 2023-24シーズンの実績 |
|---|---|
| ホームチームが白を着た試合 | 327試合(全体の約27%) |
| 白のアソシエーションをロードで着た試合 | 約640試合(アウェーの約半分) |
| カラー対カラーの対戦 | 264試合(全体の約21%) |
| 最多のカラー衝突 | 黒対赤の81試合 |
| 黒も白も登場しなかった試合 | 105試合 |
ホームで白を着るのは4試合に1試合ちょっと。一方でアウェーでの白は約半分です。つまり今のNBAでは「白はむしろ遠征着」になっているということです。伝統的なバスケの常識とは真逆で、ここまでひっくり返っているとは正直思っていませんでした。
チームによって振れ幅が全然違う
面白いのは、この自由化への反応がチームごとにバラバラだということです。ブルズはホームゲームの68%で白のアソシエーションを着る一方、ロードでの白は10%だけ。昔ながらのスタイルを守っています。逆にマジックはホームで白を着たのがたった2試合で、ロードでは6割近く白を着ていました。同じルールの下でも、こうも解釈が分かれるものかと思わされます。
シティ エディションはなぜ毎年変わるのか
シティ エディションは2017-18シーズンにスタートしました。ただし初年度は全30チームではなく26チーム分で、発表は2017年12月27日。シーズン途中からの登場でした。
コンセプトは一貫して「その街へのオマージュ」です。チームカラーやロゴの制約から離れて、その都市の歴史や文化を持ち込める枠として設計されているので、毎年デザインが刷新されます。直近の2025-26シーズン版は「Remix」というテーマで、過去の名作ユニフォームをアーカイブから引っ張り出して現代的に再解釈するという方向性でした。全30チーム分が2025年11月12日に発表されています。
なお2026-27シーズンのシティ エディションは、例年どおりシーズン開幕後の秋から冬にかけて発表される見込みです。開幕日程そのものは2026-27シーズンの全日程まとめで確認できます。
消えたユニフォーム「アーンド エディション」
今はもう存在しないエディションもあります。「アーンド(Earned)、エディション」です。
これは前年にプレーオフへ進出した16チームだけが着られる特別枠で、名前のとおり「勝ち取った者だけのユニフォーム」というコンセプトでした。ただし実際に存在したのは2018-19シーズンと2020-21シーズンの2回だけ。すでに5種類も6種類もあるところにさらに追加されたため、種類が多すぎて個性が埋もれたことなどが理由で廃止されています。
同じ「上限」の話でいうと、アディダス時代に毎年見られたクリスマス専用ユニフォームなどの特別デザインが消えたのも、ナイキ契約が種類数に枠を設けたことが背景にあります。ユニフォームが増えればグッズも増えるので、このあたりはNBAグッズ選びにも直結する話です。
まとめ
- 基本は「コア3種(アソシエーション アイコン ステートメント)+毎年のシティ」。加えて不定期のクラシックがある
- 2017-18のナイキ移行で「ホームは白」が廃止。今はホームが先に選び、ビジターが対比色を選ぶ
- 2023-24シーズン、ホームで白を着たのは全体の27%だけ。白はむしろロードの色になっている
- シティは2017-18に26チームで開始。2025-26は過去作を再解釈した「Remix」
- プレーオフ進出16チーム限定の「アーンド」は2シーズンで廃止された
ユニフォームの名前を知っていると、「今日のこの色はどういう枠なんだろう」という見方ができて観戦が少し立体的になります。各チームの本拠地の雰囲気と合わせて見ると面白いので、全30チームのアリーナ比較や、そもそもこの30チームがどう揃ったのかをまとめたNBAの拡張の歴史もあわせてどうぞ。
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