NBAの名物ハーフタイムショーって何があるんだろう?調べてみたらレッドパンダが想像以上にすごかった

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先日、ふと「NBAの名物ハーフタイムショーって何があるんだろ」とつぶやいたんですが、真っ先に頭に浮かんだのが「レッドパンダだっけ?中国人のおばさんが曲芸してるのは好き」というやつでした。試合の合間にユニサイクル(一輪車)に乗ったまま何かを積み上げていく、あの独特な雰囲気の演目です。名前は知っていても、本名も経歴もちゃんと調べたことがなかったので、今回いい機会だと思って掘ってみました。結果、レッドパンダ以外にもNBA会場を彩ってきた名物パフォーマーがいろいろ出てきたので、まとめて紹介していきます。

レッドパンダ、本名はロン・ニウ

まず気になっていた本名ですが、複数のソース(Wikipedia、Sports Illustrated、ESPN)で一致して確認できたのは「Rong Niu(愛称Krystal Niu)」でした。芸名の「レッドパンダ」はご存知の通りとして、本名はロン・ニウさんということになります。中国・山西省太原の出身で、4代続く曲芸師(雑技)一家に生まれ、7歳から父の指導で訓練を始め、10歳で寄宿制の芸術学校に入り、12歳でフルタイムの公演生活に入ったというので、もう筋金入りもいいところです。上海雑技団に所属して国際巡業も経験したあと、19歳でアメリカに渡っています。

NBA初出演は1993年、感謝祭前後のクリッパーズ戦だったそうです。もともと別の出し物が直前でキャンセルになった代役として急遽出演した、という経緯を知ると余計に面白いというか、ここから始まったのかという感じがします。翌シーズンにはもう40試合以上のハーフタイムに出演していて、その後は76ersとウォリアーズのホームで定期的に呼ばれる「レギュラー」的な存在になっていったようです。出演料は2019年の記事だと1回(約5分)で2,500〜3,000ドルとの記載でしたが、2014年の報道では5,000ドルという数字もあり、この辺は年やソースによって差があるみたいです。

ユニサイクルの高さ、実は諸説ある

肝心の芸の内容ですが、これがソースによって微妙に数字が違っていて、正直ちょっと混乱しました。Wikipediaだと「8フィート(約2.4m)」のユニサイクルで白く塗った金属製のお椀を16個使うとありますが、2019年のSports Illustrated取材では「7フィート」のカスタムユニサイクルで、現在バランスできる最大のお椀は5個という記載になっています。さらに2025年のFanBuzzという別ソースでは「最大12個」という、また別の数字も出てきます。ESPNの過去の特集でも「8フィート、プラスチック製のお椀」という書き方があったりして、要は高さも素材も個数もソースごとにバラバラなんです。

これはどれかが間違っているというより、そもそも演目自体が年によってお椀を積む数を変えたり、機材を新調したりしているせいで、取材した時期によって答えが違うんだろうなと思います。なので無理に一つの数字に絞らず、「ユニサイクルの高さはだいたい7〜8フィート、積むお椀は十数個からそれ以上」くらいの幅で理解しておくのが正直なところ一番正確な気がします。逆にこの「取材のたびに数字が違う」という事実自体が、彼女がどれだけ長く、しかも進化させながらこの芸を続けてきたかの証拠のようにも見えて、個人的には面白いポイントでした。

2014年「引退」報道は本人いわく「デマだった」

もう一つ調べていて印象的だったのが、2014年に「レッドパンダ引退」と報じられた一件です。2013-14シーズンをACL(前十字靭帯)断裂で欠場していたタイミングで、CBS Sportsをはじめ複数メディアが「引退へ」と報じました。ところが本人は後年のインタビューで、これをはっきり否定しています。「いや、あれはデマだったのよ(”No, it was a rumor.”)。誰がそんなことを言い出したのか分からないけど、ネットにそう書かれているのを見た」という趣旨のコメントを残しているんです。

実際の経緯としては、2013年に父親のがん闘病を看病するために公演を一時休止していたようで、引退したわけではなく、その後もNBAやNCAAの会場に出演を続けています。噂が独り歩きして「引退」という形で確定事実のように報じられ、後から本人がそれを訂正するというのは、NBAの移籍報道でもよくあるパターンですが、まさかハーフタイムショーの世界でも同じようなことが起きているとは思いませんでした。ちなみに2014年5月には父GuiZhang Niu氏が食道がんで亡くなっており、あの時期は本人にとってもかなり大変な時期だったんだろうと想像します。

落下事故と、2025年の劇的な復帰

レッドパンダの経歴を追っていくと、実は落下事故も何度か経験しています。2018年6月7日のNBAファイナル第3戦(キャバリアーズ対ウォリアーズ)でもユニサイクルから落ちる場面があり、その年の初めにはカスタム製の7フィートユニサイクルが盗難に遭うというアクシデントもあったそうです。

そして直近では、2025年7月1日、ミネアポリスで行われたWNBAコミッショナーズカップ決勝(フィーバー対リンクス)のハーフタイムで8フィートのユニサイクルから落下し、手首を負傷するという事故がありました。医療スタッフの処置を受けたあと車椅子で搬送され病院へ運ばれたそうで、エージェントによれば輸送中に破損していた左ペダルの不具合が原因だったとのことです。ケイトリン・クラークがチームメイトのインスタグラム経由で「Red Panda, we love you!」とコメントしたというエピソードも報じられていて、選手からもリスペクトされている存在なんだなと感じました。

そこから約4カ月後の2025年11月4日、シカゴでブルズ対76ers戦のハーフタイムに復帰します。しかもマイケル・ジョーダンの背番号45番ジャージを着ての登場というのが、いかにも彼女らしい演出というか、ファンサービスの塊のようなカムバックです。試合自体もブルズが前半75-56とリードされていた状況から逆転し、ヴチェビッチの残り3.2秒のスリーで113-111の劇的勝利。24点差からの逆転というのは相当な試合だったはずで、レッドパンダの復帰と重なったのは単なる偶然でしょうけど、なんだか出来すぎたストーリーに感じてしまいます。手首の怪我から4カ月でユニサイクルに戻ってくる根性も含めて、改めてすごい人だなと思いました。

レッドパンダ以外の名物たち

さて、ここからはレッドパンダ以外の名物ハーフタイムアクトを軽く紹介します。ダンク系でまず名前が挙がるのがAir Eliteというアクロバティック・ダンクチームです。シャーロット・ホーネッツとは2009年から契約関係にあり、ワシントン・ウィザーズも顧客として名前が挙がっています。ただ、自分たちのサイトの一部ページでは「Official Dunk Team of the NBA」のような表現を使っている一方、公式のaboutページ本文では「NBAの公式」とまでは書かれていませんでした。なのでこれはあくまでAir Elite自身がそう名乗っている自己申告と捉えるのが正確で、NBAリーグ側が公式に認定しているダンクチーム、という言い方はちょっと言い過ぎかなと思います。

こういうトランポリンを使ったダンクショーの源流をたどると、1979〜1980年にミシシッピ大学のチアリーダーだったTy Cobbらが始めたアクロバット演技に行き着くようです。1983年にプロ化して「Dixie Daredevils」、1984年にアンハイザー・ブッシュがスポンサーについて「Bud Light Daredevils」に改称、1998年までスポンサー契約が続いたとのことで、1983〜1998年の間にNBA26球団を含む相当な数の会場を回っていたそうです。今のダンクショー文化の元祖と言っていい存在だと思います。

各球団のマスコット自身がトランポリンダンクを担当しているケースも多く、バックスの「Bango」、当時のホーネッツの「Hugo」、ホークスの「Skyhawk」、76ersの「Hip-Hop」あたりがよく知られています。マスコットが炎の輪をくぐってダンクしたり、人や障害物を飛び越えたりする演出は、正直子供の頃に見て単純にテンション上がった記憶がある人も多いんじゃないでしょうか。

キスカム、Tシャツ砲、ドラムライン

ハーフタイムというかタイムアウト中の定番として外せないのがキスカムです。起源は実はNBAではなく野球で、1980年代初頭にドジャースタジアムに導入された大型ビジョン「ダイヤモンドビジョン」から始まったとされています。NBAでの著名なエピソードとしては2008年、ワシントンD.C.でバラク・オバマ夫妻がキスカムに映った話がよく紹介されます。2019年のThe Ringerの調査によると、NBA30球団中12球団がキスカムを実施していると回答した一方、76ersは実施していないと明言し、セルティックスは「年に1回あるかないか」と答えたそうです。これはあくまで2019年時点の調査なので、今の実施状況とは変わっている可能性もありますが、球団ごとにここまでスタンスが違うというのは意外でした。

Tシャツ砲の考案者はTim Derkという人物で、1983〜2004年にサンアントニオ・スパーズのマスコット「The Coyote」を演じていた人です。ジャガイモを飛ばす「スパッドランチャー」から着想を得て、同僚マスコットたちと最初のTシャツ砲を作ったのが始まりで、初期型は鋳鉄製、長さ約1.2m、重量約90ポンドとかなり物々しい代物だったようです。76ersが2012年に導入した多連装型「Big Bella」は重量約600ポンド、1分間に最大100枚発射可能というのですから、もう兵器みたいなスケール感です。

ドラムラインも各地に根付いていて、76ersの公式ドラムライン「Sixers Stixers」は2025年のオールスターウィークエンドにサンフランシスコまで遠征し、HBCUクラシックやセレブリティゲームに出演したそうです。ナゲッツにも「Skyline Drumline」という公式ドラムラインが存在することが確認できました。こういう地域密着のパフォーマンス集団がハーフタイムを支えているというのも、NBAらしい光景だなと思います。

曲芸系のパフォーマーたち(2011年時点の記録)

ちなみに2011年のESPNの特集記事では、レッドパンダ以外にも印象的な曲芸パフォーマーが何組か紹介されていました。あくまで2011年当時の話として読んでほしいのですが、衣装が一瞬で変わるマジックと社交ダンスを組み合わせた「Quick Change」という夫婦デュオは1996年にシアトルでNBAデビューし、スパーズの試合でティム・ダンカンのユニフォームに一瞬で変身する演目を披露したというエピソードが紹介されています。コントーショニストのLilia Stepanovaは杖の上で逆立ちしながら足で弓矢を操作するという演目、Rubberboyという「世界一体が柔らかい男」を名乗る人物も登場していました。この記事によると、NBAが1980年代初頭からハーフタイムエンターテインメントを重視し始め、当時のピストンズの幹部が1回150ドルからハーフタイムアクトを始めた先駆者として紹介されているのも、歴史の積み重ねを感じさせる話でした。

このほか、フラフープやジャグリング系のパフォーマーも「NBAハーフタイム出演実績あり」と自称している例がいくつかありますが、これらは本人サイトや仲介業者サイトの宣伝文句にとどまっていて、球団側の一次情報での裏付けは取れませんでした。なので、この手の話は話半分くらいに聞いておくのがちょうどいいと思います。

まとめ

もともとは「レッドパンダって何者なんだろう」という軽い疑問から調べ始めたんですが、掘れば掘るほど、40年以上前のダイヤモンドビジョンやBud Light Daredevilsまで話が広がっていって、ハーフタイムショーという文化そのものの奥深さに驚かされました。レッドパンダに関しては、ユニサイクルの高さやお椀の数といった細かい数字がソースごとに食い違っているのも含めて、逆に「長く現役を続けているからこそ記録がアップデートされ続けている」証拠のように思えて、個人的には好感が持てます。2025年の落下事故から4カ月でジョーダンの45番を着て復帰してきた根性も含めて、これからも元気に活動を続けてほしいなと思いました。

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