「NBAの1チームって、結局何人いるんでしょうか」。ロースターを見ていると15人だったり18人だったり、シーズン途中には13人しかいないチームもあって、意外とすっきりしません。
実はこれ、全部ルール通りなんです。NBAのロースターは「本契約15人・最低14人」「ツーウェイ3人は枠の外」「オフは21人まで」という三段構造になっていて、さらに例外規定がいくつもぶら下がっています。2026-27シーズンの数字で整理していきます。
基本は15人、下限は14人
NBAの労使協定(CBA)は、レギュラーシーズン中のチームについて「本契約(Standard NBA Contract)の選手を14人または15人保有すること」を原則としています。つまり上限が15人で、下限が14人です。
ただし、ここに有名な抜け道があります。12人または13人で戦うことも認められていて、その条件が「連続2週間まで、かつシーズン通算28日まで」。空き枠を作ってトレードやバイアウト市場に備えたいチームは、この28日をやりくりしながら1枠を空けておくわけです。シーズン中に「あのチーム、13人しかいないな」と思ったら、たいていこれです。
| 区分 | 人数 | 条件 |
|---|---|---|
| 本契約の上限 | 15人 | 常時 |
| 本契約の下限(原則) | 14人 | 常時 |
| 本契約の下限(例外) | 12〜13人 | 連続2週間まで/通算28日まで |
| ツーウェイ契約 | 3人 | 15人枠の外側にカウント |
| 実質的な最大人数 | 18人 | 15+3 |
| オフシーズン・キャンプ | 21人 | ツーウェイもこの21人に含める |
30チームで単純計算すると、本契約450人+ツーウェイ90人=最大540人。これがNBAという職場の席数です。NBAドラフト外(アンドラフト)から成功した選手まとめで書いたとおり、毎年指名されるのは60人しかいないので、残りの席はドラフト外の選手とベテランで埋まっていきます。
試合に出られるのは何人?アクティブリストの話
15人全員がベンチに座れるわけではありません。試合ごとに「アクティブリスト」を提出する必要があり、ここに載った選手だけが出場できます。
- アクティブリストは12〜15人
- 最低8人はユニフォームを着て試合に臨まなければならない
- 11人しかアクティブにできない状態は、連続2週間・通算28日まで許容される
- 出場停止処分の選手がいる場合は、16人目を一時的に加えられる(サスペンデッドリスト)
「8人」という数字は覚えておくと便利です。ケガ人が続出した試合で解説が「かろうじて成立している」と言うのは、この8人ラインのことを指しています。逆にいえば、7人しか用意できないチームは試合そのものを開催できません。
ツーウェイ契約の3枠は、まったく別のルールで動く
2017-18シーズンに導入され、2023-24シーズンから1チーム3人に拡大されたのがツーウェイ契約です。CBAの説明では「本契約の最大15人とは別に、各チームは同時に3人までツーウェイ選手を保有できる」とされています。
| 項目 | 2026-27シーズンの内容 |
|---|---|
| 保有できる人数 | 1チーム3人まで(15人枠の外) |
| 年俸 | 678,882ドル(0年目の最低年俸1,357,763ドルの50%) |
| 資格 | NBA経験4年以下の選手 |
| アクティブリスト登録 | レギュラーシーズン50試合まで |
| プレーオフ | 原則として出場不可(本契約に切り替えれば可) |
この「50試合」と「プレーオフ不可」が、ツーウェイ選手にとっての壁です。50試合を使い切ってしまえばその先はGリーグに戻るしかなく、プレーオフに出たければシーズン中に本契約へ昇格してもらう必要があります。だからこそ、ツーウェイの選手はシーズン中ずっと15人枠が空くのを待っているわけです。ナゲッツと契約したキャム・ウィットモア選手の状況(まだ22歳でTwo-Way!?)や、河村勇輝選手のこれまでの歩み(河村勇輝とNBAにおける2way契約の厳しさ)を見ると、この構造がよく分かると思います。
オフとキャンプは21人。エグジビット10の正体
オフシーズンとトレーニングキャンプ期間だけは、上限が21人まで広がります。ここでツーウェイの3人も21人に含めてカウントされる点が、シーズン中と違うところです。
この21人枠を埋めるために使われるのが、エグジビット9とエグジビット10という2種類の付帯条項です。どちらもサラリーキャップには一切計上されないので、チームのキャップシートには出てきません。
| 種類 | 内容 | 2026-27の金額 |
|---|---|---|
| エグジビット9 | キャンプ中の負傷保護。ケガでメディカルチェックを通れなかった場合の補償 | 15,000ドル |
| エグジビット10 | 1年・最低年俸・完全無保証。開幕前にツーウェイへ切り替え可能 | ウェイブ後にGリーグ提携チームで60日過ごすと最大85,300ドルのボーナス |
つまりキャンプには21人が集まり、開幕までに15人+ツーウェイ3人へ絞られる。落ちた選手はエグジビット10のボーナスを受け取ってGリーグの提携チームへ、というのが毎年9月から10月にかけて各チームで起きていることです。2026-27シーズンの開幕は10月20日なので、その直前が一番シビアな時期になります。ニックスのキャンプでの椅子取りゲーム(5人でたった1枠!? 王者ニックスのキャンプがNBA版椅子取りゲームになっている)や、セルティックスがデビン・カーター選手に出したエグジビット10(2年前のロッタリー指名がもう崖っぷち!?)は、まさにこの絞り込みの話です。
ケガで人数が足りないとき:ハードシップ例外
15人の枠が埋まっているのに、ケガ人が多すぎて試合が組めない。そんなときに使えるのがハードシップ例外です。
発動条件は「4人以上の選手が3試合以上連続で欠場しており、かつ2週間以上の離脱が見込まれる」こと。これを満たすと、15人枠を超えて10日間契約などで選手を追加できます。負傷者が5〜6人に増えれば、さらに追加の例外が認められることもあります。
シーズン中に急にGリーグの選手が本契約でNBAデビューする、というニュースを見ることがありますが、その多くはこのハードシップ例外によるものです。なおウェイブされた選手の給料がどうなるかはNBAにおけるウェイブ(Waive)制度とは?、キャップ全体の仕組みはNBAのサラリーキャップとは?にまとめています。
まとめ:2026-27シーズンの数字
- 本契約は上限15人・下限14人。12〜13人は連続2週間/通算28日まで
- ツーウェイ3人は15人枠の外なので、シーズン中の実質最大は18人
- オフとキャンプは21人まで(ツーウェイを含む)
- 試合のアクティブリストは12〜15人、最低8人がユニフォームを着る必要がある
- ツーウェイの年俸は678,882ドル、アクティブ登録は50試合まで、プレーオフは原則不可
- ケガ人が4人以上・3試合以上連続欠場ならハードシップ例外で枠外の補強が可能
15人という数字だけ覚えていると、ロースターのニュースはけっこう分かりづらいと思います。でも「15+3、オフは21、アクティブは12〜15」の3つを押さえておくと、9月のキャンプ招集から2月のトレード期限まで、各チームが何を計算しているのかが見えてきます。参考にしてみてください。


