2023年ドラフト組のルーキースケール延長は、2026年10月19日(月)の米東部時間午後6時が期限です。10月6日時点で、延長が確認できるのはウェンバンヤマ、アメン・トンプソン、オーサー・トンプソン、キヨンテ・ジョージの4人です。マーク・スタイン記者によると、次に延長しそうなのはミラー、ブラック、ウォレス、ポジェムスキーの4人です。一方で、ヘンダーソンとクリバリの2人は先行きが読みにくいとされています。この記事では、延長しない場合の選択肢も含めて整理します。
まず「ルーキースケール延長」とは
ドラフト1巡目で指名された選手は、ルーキースケール契約という新人契約を結びます。2023年ドラフト組にとって、今季2026-27はその4年目、つまり最終年です。この最終年の開幕前までに、次の契約を先に結んでおくのがルーキースケール延長です。Hoops Rumorsによると、延長は最長5年で、新しい契約は来季2027-28から始まります。
期限は「レギュラーシーズン開幕の前日、米東部時間午後6時」です。今季の開幕は10月20日(火)なので、期限は10月19日(月)の午後6時になります。日本時間に直すと、10月20日(火)の午前7時です。これは米国の夏時間をもとにした筆者の換算で、各媒体の記載ではありません。Hoops Rumorsは「中部時間午後5時」と書いていますが、同じ時刻です。
延長しないとどうなるのか
期限までに延長しなくても、すぐにチームを離れるわけではありません。NBA.comの解説によると、新人契約を終えた1巡目指名選手は、制限付きFA(RFA)になります。チームはクオリファイングオファー(QO)を出すことで、選手を制限付きFAにできます。QOは、チームが選手に出しておく1年契約のオファーです。
制限付きFAの選手は、他球団とオファーシートにサインできます。ただし元のチームがそのオファーシートにマッチすれば、つまり同じ条件を出せば選手を残せます。なので「延長しない」は手放すことではなく、来夏のFA市場で評価を確かめる選択でもあります。今回の2023年組なら、延長しなければ2027年夏に制限付きFAです。
延長済みの4人(10月6日時点)
Hoops Rumors(10月1日)によると、延長の対象は23人でした。そのうち延長を済ませたのは、次の4人です。金額はいずれも報道ベースで、球団は公表していません。
| 選手 | チーム(指名順位) | 報道された契約 | 合意の報道・発表 |
|---|---|---|---|
| ビクター・ウェンバンヤマ | スパーズ(1位) | 5年・2億5,000万ドル超(約2億5,200万ドルの見込み) | 2026年7月10日 |
| アメン・トンプソン | ロケッツ(4位) | 5年・2億800万ドル | 2026年9月3日 |
| オーサー・トンプソン | ピストンズ(5位) | 5年・1億5,500万ドル | 2026年9月18日 |
| キヨンテ・ジョージ | ジャズ(16位) | 5年・1億5,750万ドル | 2026年9月18日 |
ウェンバンヤマは、25%のマックス契約です。総額は将来のサラリーキャップで決まるため、まだ見込みの数字です。APによると、2027-28の年俸は約4,350万ドルからのスタートです。5年目の2031-32は5,750万ドルのプレイヤーオプションです。キャップの30%まで取れる条件で3億ドル超を狙う道もありましたが、25%で合意しました。本人はSNSに「Spurs family, I’m here to stay.」と投稿しています。
アメン・トンプソンの5年2億800万ドルは、ESPNのシャムズ・シャラニア記者の報道です。ロケッツも同じ日に正式発表しましたが、金額は出していません。ESPNによると、10%のトレードキッカーが付いています。サラリーキャップに対する比率は、2024年のシェングンの延長と同じだそうです。シェングンの契約は5年1億8,500万ドルでした。
双子のオーサー・トンプソンは、ロケッツではなくピストンズです。ESPNによると、5年1億5,500万ドルで全額保証の契約です。2025-26はオールディフェンシブ1stチームに選ばれ、最優秀守備選手賞(DPOY)の投票でも3位でした。平均9.9得点・5.7リバウンド・3.1アシストで、スティールは平均2.0本でリーグ1位です。
キヨンテ・ジョージは、ESPNの報道から数時間後にジャズが発表しました。報道では5年1億5,750万ドルで、平均すると年3,150万ドルです。16位指名のジョージが、5位指名のオーサーをわずかに上回る金額です。指名順位より、今の評価で契約額が決まるのがよく分かりますね。
スタインが挙げた「有力4人」
マーク・スタイン記者は10月5日、リーグ関係者の話として次の4人を挙げました。期限内に延長しそうな最有力候補、という位置づけです。あくまで見通しで、合意したという報道ではありません。
| 選手 | チーム(指名順位) | 2026-27年俸 |
|---|---|---|
| ブランドン・ミラー | ホーネッツ(2位) | 約1,510万ドル |
| アンソニー・ブラック | マジック(6位) | 約1,011万ドル |
| ケイソン・ウォレス | サンダー(10位) | 約742万ドル |
| ブランディン・ポジェムスキー | ウォリアーズ(19位) | 約568万ドル |
年俸は、ルーキースケール契約の最終年の金額です。ウォレスはマーベリックスが指名し、権利がサンダーへ移った選手です。ミラーはこのオフに肩の手術を受けており、ESPNのボビー・マークス記者もその点に触れています。
ポジェムスキーは「ラーソン超え」が鍵
4人の中で、交渉の中身が一番見えているのがポジェムスキーです。スタインによると、ウォリアーズは期限前に契約をまとめたい意向です。スタインの相棒ジェイク・フィッシャー記者(Bleacher Report)は、別の視点を出しています。ヒートがペレ・ラーソンと結んだ契約より上の額を、ウォリアーズが出す気があるかが鍵かもしれない、という報道です。
そのラーソンの契約は、APによると4年・最大6,000万ドルです。最終年の2030-31はミューチュアルオプションで、それを含めた最大額です。2027-28の年俸は1,350万ドルから始まります。ラーソンは2024年ドラフトの2巡目44位で、昨季は70試合で平均11.4得点でした。
では、ポジェムスキー側はいくら求めているのか。ClutchPointsのブレット・シーゲル記者の報道では、10月5日時点で次のような数字です。選手側は年2,000万〜2,400万ドルで、ウォリアーズは年1,600万〜1,800万ドルとされます。ただ、8月の時点では選手側を年2,200万〜2,400万ドルとする要約もありました。媒体や時期で数字が揺れているので、確定した要求額ではありません。
ここは少し計算してみます。ラーソンの最大6,000万ドルを4年で割ると、平均は年1,500万ドルです。報道どおりなら、ウォリアーズの想定はすでにラーソンを上回っています。残る差は、年1,800万ドルと年2,000万ドルの間です。個人的には、この年200万ドルの差なら期限内に埋まりそうだと見ています。
判断が難しい2人
スタインは、スクート・ヘンダーソン(トレイルブレイザーズ、3位)の状況を読みにくいとしています。ビラル・クリバリ(ウィザーズ、7位)も同じ扱いです。クリバリはペイサーズが7位で指名し、ドラフト当日のトレードで権利がウィザーズへ移った選手です。
ヘンダーソンについては、ブレイザーズのジョー・クローニンGMが最近話した内容が伝わっています。スタイン経由の話では、延長に向けて「お互いに関心がある」ようだ、という発言です。クリバリの交渉については、具体的な報道は見つかっていません。2人の2026-27年俸は、ヘンダーソンが約1,359万ドル、クリバリが約924万ドルです。
ほかにも延長対象の選手はいます。ジャレス・ウォーカー、デレック・ライブリー2世、グレイディ・ディック、テイラー・ヘンドリックス、ハイメ・ハケスJr.などです。10月6日時点で、いずれも延長の報道は出ていません。
「延長しない」も立派な選択肢
延長しないことが、そのまま失敗とは限りません。分かりやすい例が、76ersのタイリース・マクシーです。マクシーは2023年秋の期限で延長しませんでした。ESPNによると、76ersが翌夏のキャップスペースを最大にするためです。代理人とも合意したうえで、1年待つ形を選んでいます。
そして2024年7月1日、マクシーは5年2億400万ドルのマックス契約で合意しました。延長を見送っても、チームも選手も損をしなかった例です。待っている間に、選手の評価がさらに上がることもあります。
逆に、期限ギリギリでまとまった例もあります。グリズリーズのジャレン・ジャクソンJr.は2021年10月18日、期限当日に合意しました。契約は4年1億500万ドルです。NBC Sportsは、翌年に制限付きFAで得られたとみられるマックスより少ない額だと書いています。チームから見ると、早めに長期契約を結んで、マックスより安く済ませた形です。
つまり、どちらが正解かは選手とチームの事情次第です。今年の顔ぶれで言えば、ポジェムスキーは期限内の決着が見えています。一方、ヘンダーソンやクリバリは、来夏の制限付きFAまで待って、他球団のオファーで相場を見る道も十分ありそうです。
まとめ
2023年ドラフト組のルーキースケール延長は、10月19日(月)の米東部時間午後6時が期限です。日本時間では、換算すると10月20日(火)の午前7時になります。10月6日時点で延長済みは、ウェンバンヤマ、アメン、オーサー、ジョージの4人です。スタインによると、次に有力なのはミラー、ブラック、ウォレス、ポジェムスキーの4人です。ヘンダーソンとクリバリは、まだ読みにくい状況です。
延長しなかった選手も、QOを出せば来夏は制限付きFAになり、チームはマッチして残せます。マクシーのように、待ったことで大きな契約をつかむ例もあります。期限まで残り2週間ほどで、ここから何人が駆け込みで延長するのか注目です。特にポジェムスキーとウォリアーズの「年200万ドルの差」がどう埋まるのかは、期限当日まで追いかけたいと思います。


