残り5分の接戦で、一番頼れる選手は誰でしょうか。NBAには2022から23シーズンから始まった、そのものズバリの賞があります。クラッチプレイヤー賞です。2026年4月にはサンダーのシャイ ギルジアス=アレクサンダーが、2位以下に大差をつけて受賞しました。今回はこの賞の仕組みと歴代受賞者、そして2026年の受賞内容を整理してみます。得点ランキングやアシストランキングとは違い、試合の終盤だけを切り取って評価するという点でも独特な賞です。
自分としては、DPOYのような歴史の長い賞に比べて、このクラッチプレイヤー賞はまだ歴史が浅く見落としがちな存在でした。それでも中身を調べてみると、接戦を決める力という1点だけで評価される珍しい賞だと感じます。
そもそもクラッチプレイヤー賞とは
クラッチプレイヤー賞は、第4クオーターか延長戦の残り5分で点差が5点以内という場面を指す、いわゆるクラッチタイムでの活躍を評価する賞です。2022から23シーズンに新設された、NBAの年間アワードの中では最も新しい賞の1つになります。
トロフィーの名前はジェリー ウェスト トロフィーです。レイカーズで1960年から1974年までプレーしたジェリー ウェストは、クラッチな場面での活躍から長年ミスタークラッチと呼ばれてきた選手でした。その実績にちなんで、新設されたこの賞のトロフィーに名前が冠されています。
ミスタークラッチという呼び名の由来には、1970年のNBAファイナル第3戦のエピソードがよく挙げられます。残り時間がほぼなくなった場面で、ウェストが約60フィート先からシュートを沈めて試合を延長戦に持ち込みました。結果としてレイカーズはその延長戦で敗れていますが、このシュート自体はNBA史に残る名場面として今も語られています。
歴代受賞者はフォックスとカリーとブランソンとギルジアス=アレクサンダーの4人
賞が始まって4シーズンで、受賞者は全員別の選手です。初代は2022から23シーズンのデアーロン フォックスで、キングスでの受賞でした。続く2023から24シーズンはウォリアーズのステフィン カリー、2024から25シーズンはニックスのジェイレン ブランソンが受賞しています。そして2025から26シーズンはサンダーのシャイ ギルジアス=アレクサンダーが受賞しました。
| シーズン | 受賞者 | チーム |
| 2022から23 | デアーロン フォックス | キングス |
| 2023から24 | ステフィン カリー | ウォリアーズ |
| 2024から25 | ジェイレン ブランソン | ニックス |
| 2025から26 | シャイ ギルジアス=アレクサンダー | サンダー |
まだ4人しかいないので傾向を語るのは早いですが、いずれもその年のオールNBA級の活躍を見せていた選手ばかりという共通点はあります。ブランソンの受賞は、ニックスが53年ぶりの優勝に向かっていく前哨戦のような1年でもありました。
受賞したシーズンの数字を見ても、4人とも得点とアシストの両方で高い水準を残していました。フォックスは1試合平均25.0得点と4.2リバウンド、6.1アシストでした。ブランソンは26.0得点と2.9リバウンド、7.3アシストという内容で、ガードらしいバランスの良さが目立ちます。
2023から24シーズンのカリーの受賞も、内容を見ると圧倒的でした。1位票45票を含む合計298点を獲得し、クラッチタイムの得点でもリーグ最多の189点を記録していました。2位はデマー デローザンで1位票34票を含む272点、3位はギルジアス=アレクサンダーで160点という結果です。
投票はコーチの推薦と100人のメディアパネルで決まる
選考の流れは、他のNBAの年間アワードと似ています。まず各チームのヘッドコーチが候補となる選手を推薦し、そこから最終候補が絞られます。2023から24シーズンの選考では23人がコーチから推薦されていました。
最終的な受賞者は、記者やメディア関係者で構成される100人規模のパネルによる投票で決まります。1位票は5点、2位票は3点、3位票は1点という独自の点数方式が採用されています。合計点が最も高い選手が受賞する仕組みです。
投票の締め切りはプレーイン トーナメントが始まる前に設定されています。評価の対象はレギュラーシーズンの成績のみで、どれだけプレーオフで活躍してもこの賞の対象には含まれません。あくまで82試合の積み重ねの中で、接戦をどれだけ決めてきたかが問われる賞だと言えます。
クラッチタイムという指標自体は、公式スタッツとしては以前から集計されていたデータです。それが正式な年間アワードとして表舞台に立つようになったのは2022から23シーズンが最初で、NBAの数あるアワードの中でもまだ比較的新しい分野だと言えます。
2026年はギルジアス=アレクサンダーが大差で受賞
2025から26シーズンの最終候補は、ギルジアス=アレクサンダーとティンバーウルブズのアンソニー エドワーズ、そしてナゲッツのジャマール マレーの3人でした。結果はギルジアス=アレクサンダーが100票中96票の1位票を集め、合計484点という大差での受賞になりました。
2位はマレーの117点、3位はエドワーズの116点で、この2人はわずか1点差という接戦でした。4位はピストンズのケイド カニンガムで1位票1票を含む50点、5位はブランソンで1位票2票を含む42点、6位はヨキッチで1位票1票を含む37点という結果でした。
海外メディアの多くも、この結果を大差という言葉で報じています。100人中96票という1位票の数を見れば、その評価にも納得できます。残り5点以下の接戦という限られた場面だけで、ここまで明確な差がついたのは珍しいケースだと言えそうです。
実はギルジアス=アレクサンダーにとって、この賞との縁は今回が初めてではありません。2023から24シーズンの投票でも160点を獲得し、カリーとデローザンに次ぐ3位につけていました。2年前には届かなかった賞を、2026年にようやく手にした格好です。
クラッチタイムの数字で見るギルジアス=アレクサンダーの強さ
ギルジアス=アレクサンダーは2025から26シーズン、クラッチタイムでリーグ最多の175得点を記録しました。シュート成功率もクラッチタイムで60.9%という高さで、64本中39本を成功させています。勝ち越しにつながるクラッチタイムのフィールドゴールもリーグ最多の16本でした。
資格条件を満たした選手の中では、クラッチタイムの1試合平均得点でも6.5点でリーグ1位でした。シュート成功率は51.5%、フリースローの成功数と試投数もリーグ最多だったと報じられています。レギュラーシーズン全体でも31.1得点と4.3リバウンド、6.6アシストという内容で、まさに頼れる場面で頼れる選手だったことが数字からも分かります。
効率面を示すウィンシェアーズでも、ギルジアス=アレクサンダーは15.2という高い数字を残していました。48分あたりに換算した数値も0.323に達していて、出場時間の長さだけでなく中身の濃さでもリーグトップクラスだったことがうかがえます。
2位のエドワーズも資格を満たした選手の中で2位となる1試合平均5.6点をクラッチタイムで記録し、シュート成功率は56.5%でした。3位のマレーは1試合平均4.4点で5位相当、スリーポイントの成功率は44.1%という高さで、アシストでも上位10人に入る0.8本を記録しています。接戦の中身を見ても、3人の差はごくわずかだったと言えそうです。
まとめ
- クラッチプレイヤー賞は2022から23シーズンに新設された新しい賞
- 歴代受賞者はフォックスとカリーとブランソンとギルジアス=アレクサンダーの4人
- トロフィーの名前はジェリー ウェスト トロフィー
- 投票はコーチ推薦と100人のメディアパネルによる1位5点2位3点3位1点方式
- 2026年はギルジアス=アレクサンダーが96票の1位票を集め大差で受賞
歴史の浅い賞だからこそ、今後数年でどんな選手が名を連ねていくのかが楽しみです。クラッチタイムという限られた時間だけを切り取って評価する賞は、シーズン全体の数字だけでは見えてこない選手の一面を教えてくれると感じます。来シーズン以降も、残り5分の攻防に注目していきたいと思います。シーズン全体の数字が目立つスター選手でも、クラッチタイムだけ見ると意外な順位になることもあるので、そういう視点で試合を見返すのも面白いはずです。普段の贔屓チームの試合でも、残り5分だけに注目してみると新しい発見があるかもしれません。
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