タイリース・ハリバートン、アキレス腱断裂から「完全復帰」へ。15ヶ月の道のりを振り返る

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2026年9月28日は、ペイサーズのメディアデーでした。タイリース・ハリバートンの名前がまたNBAのニュースに出てくるようになって、正直ほっとしている自分がいます。2025年のファイナルGame 7、あの一瞬を覚えているファンは多いと思います。無接触でドライブしていたハリバートンが、突然崩れ落ちるように倒れた場面。あれからもう1年以上経つのかと思うと、時間の流れが早いのか、彼にとっての1年が長かったのか、正直よく分からなくなります。

あの夜のことは忘れられない

2025年6月22日、オクラホマシティでのファイナルGame 7、第1クォーター残り4分55秒。ハリバートンは誰にも触れられていない状態でドライブ中に崩れ落ち、そのまま人に支えられてコートを退きました。ペイサーズはこの試合を103-91で落とし、サンダーが優勝を決めています。父親がESPNに右アキレス腱の負傷だと確認したのがその夜のうちで、ペイサーズも正式にアキレス腱断裂だと発表しました。

実はこのGame 7の前、ハリバートンはGame 5で右ふくらはぎを痛めていて、その張りを抱えたままGame 7に出場していたことが本人の口から後に語られています。ファイナルの大舞台でそういう状態のまま無理をしてプレーしていたわけで、あの負傷は不運の一言では片付けられない部分もあるのかなと思ってしまいます。2025年のプレーオフはここまで23試合で平均17.3得点、5.3リバウンド、8.6アシスト。東カンファレンス決勝Game 1での同点シュートや、ファイナルGame 1の残り0.3秒でのゲームウィナーなど、劇的な場面での活躍が続いていただけに、あの終わり方は本当に見ていて辛いものがありました。

手術、そして本人の言葉

負傷翌日の2025年6月23日、ハリバートンはニューヨークのHospital for Special Surgery(HSS)でMartin J. O’Malley医師の執刀により手術を受けています。HSSの公式発表では本人のコメントとして「この経験の先で、僕はより良い人間、より良い選手になっていると分かっている」という言葉が引用されていました。術後にはSNSにも長文で「後悔はしていない。あの街とブラザーたちのために、また同じことをやると思う」という趣旨のメッセージを投稿していて、カーライルHCも「彼は戻ってくる。完全に回復すると信じている」とコメントしています。

正直こういう言葉を額面通りに受け取りすぎるのは危険だとは思いますが、手術直後にここまで前を向いた発言ができる選手というのは、やっぱりメンタルの強さが違うんだろうなと感じます。アキレス腱の断裂って、選手生命そのものに関わる大怪我です。それを分かった上でこの言葉が出てくるのは、簡単なことではないはずです。

「15ヶ月」という自己申告

回復の目安について、ハリバートン自身が具体的な数字を口にしたのが2025年8月28日、ローガン・ポールのポッドキャスト「IMPAULSIVE」に出演したときでした。「次の試合に出るまで15ヶ月くらいだと思う」という発言です。負傷日の2025年6月22日から数えると、15ヶ月後は2026年9月下旬、つまりちょうど今頃にあたります。一般的にバスケットボール選手のアキレス腱断裂からの復帰は10ヶ月前後が目安とされることが多いので、本人自らこの数字より長めの見通しを語っていたことになります。無理に急がず、慎重に見積もっていたということなんでしょう。2025-26シーズンは開幕前から全休が発表されていて、ペイサーズもハリバートン抜きでのシーズンを覚悟していたはずです。

想定外だった帯状疱疹

ここまでならアキレス腱のリハビリだけの話で済んだはずですが、シーズン中に予想外のトラブルが起きます。2026年2月22日、カーライルHCが帯状疱疹の診断を発表しました。ワシントンD.C.でチームに合流するための移動中に異常な症状が出て、自宅に戻って医療診断を受けたということです。この件は複数のメディアが2月22日に一斉に報じていて、どこが最初に報じたのかまでは特定できませんでしたが、それだけこのニュースの扱いが大きかったということだと思います。当時のペイサーズの成績は15勝43敗、東カンファレンス最下位という苦しい状況で、アキレス腱のリハビリのために欠場を続けながらベンチに帯同していたハリバートンにとって、さらに追い打ちをかけるような出来事だったはずです。

その後2026年4月13日には、本人が帯状疱疹との闘いについて詳しく語っています。診断は2月、最初の2週間で発疹が出て、そのあと強いかゆみが続いたそうです。シーズン終盤にはベンチに戻ってきたものの人前ではメガネを着用していて、「早い時期はカメラの前にすら出られなかった。目がほとんど塞がっていたから」「眉毛の一部が抜けてしまったし、目はいつも掻きすぎて腫れている」「本当に最悪だった」という言葉が並んでいます。症状が活発だった期間は約2ヶ月、その後も後遺症が残ったとのことで、薬の影響による体重増加やまぶたへのボトックス注射での症状管理にも触れていました。50歳以上に帯状疱疹ワクチンを勧める発言もあったようです。アキレス腱の回復だけでも大変なのに、こんな形で身体に別の負担が来るとは思わなかったでしょうし、読んでいてこちらまで痛くなってくるような話です。4月下旬にようやく5対5の練習を始められたということなので、そこからが実質的な本格再始動だったのかなと思います。

チームは最下位、それでもオフは前を向いた

2025-26シーズンのペイサーズは19勝63敗、球団史上最悪の成績で終わりました。エースが丸々1シーズン不在で、しかも途中で帯状疱疹という想定外の事態まで重なったことを考えると、この結果自体は驚くことではないのかもしれません。ただ、それでもオフシーズンにチームは前向きな補強を進めています。シクサーズからケリー・ウブレJr.を2年1650万ドルで獲得し、ラリー・ナンスJr.とも1年400万ドルで契約しました。コービー・ブラウンをツーウェイ契約で獲得する一方、ロースター枠確保のためマイカ・ポッターを解雇。パスカル・シアカムは残留が確認されています。ハリバートン自身も8月のメディア対応でウブレJr.について「攻守両面、特にディフェンスで貢献してくれる」、ナンスJr.については「フロントコートの厚みが出る」と評価していました。19勝しかできなかったチームの補強として、地味ながら堅実な部類だと思います。派手なスター獲得ではなく、守備と厚みを補う動きというのは、ハリバートン復帰を前提にした現実的な設計に見えます。

直近の情報――「フルゴー」の声

さて、ここからが本題の「完全に健康」という話です。直近で確認できている本人発言は、2026年8月12日、ペイサーズ財団のチャリティ・ソフトボール・イベントでのメディア対応にさかのぼります。「今は健康だ。すごく調子がいい。今はかなり定期的にピックアップゲームをやっている」「もしシーズンが今日始まるなら準備はできている。待ちきれない」という言葉でした。この時点で本人の口から明確に前向きな言葉が出てきていたのは、ファンとしてかなり安心材料になったはずです。

さらに2026年9月24日、Pacers Foundation Invitationalというゴルフイベントの場で、GMのチャド・ブキャナンが「彼は100%フルゴーになると思う。そこに期待しているし、NBAシーズンの過酷さにタイの身体がどう反応するか見ていくことになる」とコメントしています。9月29日開始のトレーニングキャンプ時点で制限なしという発表もありました。この会見の中では負傷から「16ヶ月」という表現も使われていたようですが、実際に2025年6月22日から2026年9月24日までを数えると、暦の上では15ヶ月強というのが正確なところです。16ヶ月というのは報道側やコメントする側が使ったざっくりした概数だと考えた方がよさそうで、正確な期間とは分けて捉えておきたいところです。翌9月25日の続報では、ブキャナンが「NBAの試合スピードが最後の調整段階だ。練習でそれを再現するのは難しい」と語ったことも報じられています。結局のところ、いくら練習で仕上げても、実戦のスピードでどう感じるかは出てみないと分からない、ということなんでしょう。

そして2026年9月28日のメディアデーで、ハリバートン本人が口を開きました。「自分は健康だ。100%だ。制限は一切ない」「自分が情報源だ。問題ない。今シーズンに向けて準備はできている」という趣旨の発言です。会見場にはペイサーズのレトロなピンストライプ姿で現れ、手を叩いてテーブルにシューズを乗せるという振る舞いまで見せたと伝えられていて、言葉だけでなく態度でも復帰を印象づける場になったようです。一方でリハビリ中には帯状疱疹に苦しみ、シャワーの中で心が折れかけた瞬間があったことも明かしています。

復帰はいつ、どんな形で

レギュラーシーズンの開幕は2026年10月21日、アウェーでのニューオーリンズ・ペリカンズ戦です。ホームでの開幕は10月23日とされています。プレシーズンの日程では10月7日にミネソタ・ティンバーウルブズ戦(アイオワ州立大学開催)、10月10日にホークス戦、10月13日にサンダー戦、10月16日にバックス戦が組まれています。このうち10月7日のプレシーズン初戦が実質的な復帰の場になるのではないか、という見立てを出している記者もいますが、これはあくまで記者の観測であって、ペイサーズ球団が正式に「復帰試合はここ」と発表しているわけではありません。この点は分けて考えておく必要があると思います。ホームでの初戦になる10月23日を「16ヶ月ぶりのホームゲーム」と表現している記事もありましたが、これも同じく記者側の記述です。実際に出場するかどうか、どのくらいの出場時間になるかは、最終的には医療スタッフの判断に委ねられる部分が大きいでしょう。

前例に学ぶ――デュラント、トンプソン、コービー

アキレス腱断裂からの復帰というと、どうしても過去の選手のケースが頭をよぎります。ケビン・デュラントは2019年のファイナルで断裂し、2019-20シーズンを全休、2020年12月22日に復帰しています。負傷から約18ヶ月後です。復帰後も5シーズン連続でオールスターに選ばれるなど、高いレベルを維持し続けたのは本当にすごいことだと思います。一方でクレイ・トンプソンは2019年ファイナルでACLを断裂したあと、リハビリ中にさらに右アキレス腱まで断裂するという不運に見舞われ、2シーズン連続で全休。復帰は2022年1月9日、約2年半ぶりでした。復帰後の成績は全盛期と比べると落ちたという評価が多く、コービー・ブライアントも2013年4月の断裂後、同年12月に復帰したものの膝の別の負傷で再離脱し、その後のシーズンでシュート成功率が明確に下がっています。

こうやって並べてみると、アキレス腱の怪我は復帰できるかどうかより、復帰後どれだけ元のレベルに近づけるかの方が本当の勝負なんだと改めて感じます。ハリバートンの場合、デュラントのように高いレベルを保てるのか、それともトンプソンやコービーのように少しずつ落ちていくのか、これは正直誰にも分かりません。ただ、本人が「もしシーズンが今日始まるなら準備はできている」とまで言い切っていること、GMも「100%フルゴー」と太鼓判を押していることを見ると、少なくとも本人とチームの中では相当な自信があるように感じます。

まとめ

Game 7のあの一瞬から、手術、15ヶ月という長い見通し、途中に挟まった帯状疱疹という想定外の試練まで、振り返ってみるとハリバートンにとって本当に長い1年数ヶ月だったんだなと思います。本人が「制限は一切ない」と言い切り、GMも「100%フルゴー」と太鼓判を押している以上、ここまでの材料は前向きなものの方が明らかに多いです。最初の実戦は10月7日のプレシーズン初戦、ティンバーウルブズ戦になる見込みです。ペイサーズは19勝63敗という苦しいシーズンを経験しただけに、ハリバートンが戻ってくることの意味は数字以上に大きいはずです。無理せず、でもできるだけ早く、あのゲームウィナーを決めていた頃のプレーを見せてほしい。それが今の素直な気持ちです。

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