【26th Step】クローズアウトを理解しよう
はじめに
ここまで24回・25回と、攻める側の技術を続けて見てきました。今日は守る側に戻ります。
テーマはクローズアウト。味方を助けに行った選手が、自分のマークに戻って詰める、あの動きです。
地味です。スタッツにも出ません。でも、現代NBAの守備で最も頻繁に起きる動作であり、ここの質がそのままチームの失点につながっています。
クローズアウトとは?
クローズアウトは、離れた位置にいるシューターへ、距離を詰めに行く動きのことです。
なぜ離れるのかというと、第6回で学んだヘルプ&リカバリーがあるからです。味方がドライブを抜かれそうになったらヘルプに行く。すると自分のマークが空く。ボールが外へ出たら、全力で戻って詰め直す。この「戻って詰める」部分がクローズアウトです。
スペーシングが徹底された現代では、1回のドライブで2〜3人がクローズアウトを強いられることも珍しくありません。
うまいクローズアウトの条件
速く走ればいい、という話ではないところが難しいポイントです。
- 最後はチョップステップで減速する:走り込んだ勢いのまま突っ込むと、簡単に横を抜かれます。最後の数歩で細かく足を刻み、止まれる状態を作ります
- 手は上げる、体は低く:シュートの視界を遮るのは手。一方で体勢は低く保ち、ドライブにも反応できるようにします
- まっすぐ行かない:相手の利き手側や、追い込みたい方向を塞ぐように角度をつけて詰めます。チームで「ベースライン側へ追い込む」などの約束事があることが多いです
- 飛ばない:シュートフェイクに跳ぶと、ファウルか、抜かれるかの二択になります
要するにクローズアウトは、「シュートを打たせない」と「抜かせない」を同時に成立させる動作です。片方だけなら簡単なのですが、両立しようとするから難しくなります。
クローズアウトの使い分け
相手によって詰め方を変えるのが一般的です。
- ハードクローズアウト:シュートの確率が高い選手には、ファウル覚悟で強く詰める
- ショートクローズアウト:外が苦手な選手には、あえて途中までしか詰めない。打たせてよい、という判断です
- フライバイ:横を走り抜けながら手だけ出す。勢いを殺せないので、抜かれるリスクは高い
試合中にこの使い分けを見ていると、そのチームが相手の誰を「打たせてよい選手」と判断しているかが分かります。守備の設計が、クローズアウトの距離に現れるわけです。
攻める側はどう突くのか
攻撃側にとって、クローズアウトは崩しのチャンスです。詰めてくる相手は、必ず一度は勢いを持っています。
- シュートフェイクからの一歩:跳んでくれれば、その横を抜けます
- ワンドリブルプルアップ:24回で学んだ技術です。詰めきられる前に止まって打つ
- すぐに打たない:いったんドリブルを突いて相手を止め、もう一度ズレを作る
- 隣へ回す:クローズアウトで相手が寄ったぶん、隣がもっと空いていることがあります
第14回のドライブ&キックが成立するのも、キックアウトの先で相手がクローズアウトを強いられるからです。つまりドライブ&キックとクローズアウトは、同じ現象を攻守どちらから見るか、という関係にあります。
今日の宿題
タスク1: 1回のドライブで何人が動くか数える
- ドライブが起きたとき、ヘルプに寄った選手とクローズアウトに戻った選手の人数を数えてみてください
- 強い守備のチームほど、全員の反応が早いことが分かります
タスク2: 詰める距離の違いを見る
- 同じチームの守備でも、相手によって詰める距離が違うはずです
- 詰めが甘い選手は、たいていそのチームが「打たせてよい」と判断している選手です
次回予告
次回は「スローインの戦術!5秒で試合を変えるインバウンズプレー」を解説します。お楽しみに!
おわりに
クローズアウトは、ハイライトに残らない動きです。でも、3ポイントが試合を決める時代に、シューターへ詰める一歩の質が勝敗を分けないはずがありません。
次の試合では、ボールが外へ回った瞬間に、誰がどんな角度で走っているかを見てみてください。地味な動きのはずなのに、意外と目が離せなくなります。

