NBA王者のロスター入りを懸けて、5人の男が1つの椅子を奪い合うことになりました。しかも参加者には元ドラフト全体2位、NBA王者経験者、元ロッタリー級の若手までいます。なんだこのキャンプ。笑
ニューヨーク・ニックスはトレーニングキャンプに向けて、ブルース・ブラウン、ジェームズ・ワイズマン、オチャイ・アバジ、ドリュー・ユーバンクス、ジョン・コンチャーをExhibit 9契約で集めています。いずれも保証された本契約ではなく、キャンプで結果を残してロスター入りを勝ち取らなければならない立場です。
王者なのに、最後の1枠争いがめちゃくちゃ面白い。
今回は、この5人の中で誰が一番有利なのか、それぞれ何を武器にニックスへ残ろうとしているのか、そしてそもそもなぜこんなに激しい競争になっているのかを整理していきます。
ニックスは一気にキャンプ組を追加
9月16日、ニックスは複数のベテランを一気にキャンプへ招きました。ブルース・ブラウン、ジェームズ・ワイズマン、オチャイ・アバジ、さらにドリュー・ユーバンクスとジョン・コンチャー。全員がExhibit 9契約です。
Exhibit 9契約は、簡単に言えばキャンプ参加用の非保証契約です。チーム側には怪我に対する一定の保護があり、選手側はキャンプでアピールして本契約や別の契約を勝ち取る必要があります。
つまり、名前のある選手だからといってロスター入りが約束されているわけではありません。
ここが今回の面白いところです。普通なら一人か二人くらい実績ある選手を呼ぶところを、ニックスは一気に複数人集めました。完全に競争させにきています。
しかも全員それなりに実績がある
まずブルース・ブラウン。
2023年にナゲッツの優勝へ大きく貢献した選手です。ガードもウイングも守れる。ボールを持たなくても仕事ができる。プレーオフ経験も豊富。
昨季はナゲッツで82試合すべてに出場し、平均7.9得点、3.9リバウンド、2.1アシスト、3P成功率38.5%を記録しました。
普通にローテーションプレイヤーです。
それでも保証契約ではなくExhibit 9。
NBAの厳しさを感じます。
元全体2位ワイズマンまでいる
そして一番名前のインパクトが強いのがジェームズ・ワイズマンです。
2020年ドラフト全体2位。アンソニー・エドワーズの次、ラメロ・ボールの前に指名された選手です。あの年のドラフトを覚えている人なら、相当期待されていたことも分かると思います。
ただしNBA入り後は怪我に悩まされました。キャリア6シーズンで152試合。平均9.0得点、5.5リバウンド。
数字だけを見ると悪くありませんが、継続してプレーできなかったことが大きな問題でした。特に近年は膝やアキレス腱の怪我もあり、出場機会がかなり限られています。
元全体2位。
でも今はキャンプで最後の1枠を争う。
このキャリアの変化、ほんとNBAっぽいです。
オチャイ・アバジもまだ若い
オチャイ・アバジも面白い存在です。
2022年ドラフト全体14位。まだ若く、ウイングとしてサイズもあります。
アバジは爆発的なスコアラーではありませんが、守備と3Pで価値を出せるタイプ。こういう選手はプレーオフチームで意外と重宝されます。
特に今のニックスは守備強度を落としたくないチーム。サイズがあり、複数ポジションを守れて、外も打てる。
役割だけを考えると結構ハマります。
コンチャーは地味だけど使いやすい
ジョン・コンチャーは派手な選手ではありません。
昨季はグリズリーズとジャズで56試合に出場し、平均4.4得点、4.3リバウンド、2.1アシスト。
数字だけ見ると目立ちません。
でも、こういう選手がロスター争いでは強かったりします。
守れる。リバウンドに絡める。ボールを独占しない。複数の役割をこなせる。
そしてNBAで363試合の経験があります。
王者に必要なのは毎試合20点取る選手だけではありません。スターの横で仕事をする選手。コンチャーはまさにそのタイプです。
ユーバンクスもサイズが武器
ドリュー・ユーバンクスは29歳のビッグマン。
昨季はキングスで42試合に出場し、11試合に先発。平均5.2得点、3.0リバウンドでした。
キャリアでは426試合。
センターとして普通に経験があります。
ニックスがビッグマンの保険を欲しいなら、かなり現実的な候補です。
派手さはない。でも怪我人が出たときに10分、15分出せる。
こういう選手は長いシーズンでかなり重要です。
じゃあ誰が一番有利なのか
単純な実績だけならブルース・ブラウンが一番です。
優勝経験。82試合出場。3P38.5%。複数ポジション守備。すぐ使える。
この条件なら、普通に本命だと思います。
ただしロスター構成次第では話が変わります。
もしニックスがウイングよりビッグマンを必要としているなら、ワイズマンやユーバンクスの価値が上がります。逆にサイズのあるウイングを増やしたいならアバジ。地味でも複数役割を求めるならコンチャー。
完全にポジションバランスとの勝負です。
なぜ実質1枠なのか
ここが今回のポイントです。
ニックスには形式上、複数のロスター枠が残っています。
ただしNBAでは単純に15人まで入れればいいわけではありません。税金。エプロン。契約額。全部絡みます。
特に上位チームはセカンドエプロン周辺の制限が厳しく、ロスター人数を増やすだけでも柔軟性を失う可能性があります。
そのためニックスは、フル15人ではなく14人前後で開幕する可能性が高いと見られています。
つまり、空きが2つあるように見えても、実際には1人しか残さない可能性がある。
だから5人で1枠。
NBA版椅子取りゲームです。
王者だからこそ誰でもいいわけじゃない
普通の再建チームなら、若手の伸びしろを優先できます。
でもニックスは違います。
ディフェンディングチャンピオンです。
今季も優勝を狙う。
そうなると、将来性より今使えるかどうかが重要になります。
プレーオフで5分使えるか。守備で穴にならないか。スターと一緒に出ても邪魔にならないか。ベンチにいても問題を起こさないか。
こういう部分まで含めて評価されます。
だから全体2位だったワイズマンより、ブルース・ブラウンやコンチャーが選ばれる可能性も普通にあります。
ドラフト順位はもう関係ありません。
昨季はシャメットが同じ争いを勝ち抜いた
そして今回のキャンプ争いを面白くしている理由がもう一つあります。
昨季もニックスは似たようなことをやっています。
複数のベテランをキャンプへ招き、その中からランドリー・シャメットがロスター入り。その後、優勝ランで普通に重要な役割を果たしました。
つまり最後の1枠だからといって軽く見てはいけません。
シーズン中。プレーオフ。怪我。ファウルトラブル。
ベンチの1人が急に重要になります。
去年それが実際に起きました。
だから今回の5人にも普通にチャンスがあります。
ワイズマンが復活したら一番ロマンがある
個人的には、やっぱりワイズマンが気になります。
全体2位。怪我続き。期待外れ扱い。そして王者ニックスのキャンプ。
ストーリーとしては一番面白いです。
もし健康で動けるなら、7フッターのサイズは明確な武器です。
スクリーン。リムラン。リバウンド。ブロック。
難しいことをさせず、限定的な役割に集中させれば、まだ生き残る余地はあります。
年齢もまだ若い。
完全に終わった選手ではありません。
ただ即戦力ならブラウン
とはいえ、勝つことだけを考えたらブラウンが一番安全です。
何をやればいいか分かっている。優勝経験がある。守備できる。3Pも決める。プレーオフでも使える。
キャンプで大崩れしなければ、一番ロスターに近い存在だと思います。
ただしNBAのキャンプは、それでも何が起きるか分かりません。
怪我。シュート不調。他選手の台頭。
ほんの数試合で評価が変わります。
アバジも結構あり
個人的にはアバジも結構ありだと思います。
理由は年齢とサイズ。
まだ若い。3&Dタイプとして伸びる余地もあります。
王者チームにとって、若いローテーション候補を安く確保できるなら価値は大きいです。
ブラウンは即戦力。アバジは今と将来。
この比較になったら面白いです。
コンチャーとユーバンクスは役割次第
コンチャーとユーバンクスは、他の3人ほど名前では目立ちません。
でもロスター争いって、こういう選手が強いです。
HCが欲しい仕事をやってくれる。守備する。リバウンド取る。スクリーンかける。ミスを減らす。
これだけで十分なこともあります。
スター性ではなく、役割適性。
王者の最後の枠ほど、こういう要素が重要になります。
NBAのロスターってやっぱり狭い
今回の5人を見て改めて思うのは、NBAのロスターって本当に狭いということです。
元全体2位。元ロッタリー級。NBA王者。400試合以上出ているベテラン。
それでも保証されない。
毎年ドラフトから若手が入ってくる。Gリーグからも上がってくる。海外からも来る。
数年前までローテーションにいた選手でも、簡単に居場所を失います。
昨日のデビン・カーターの記事でも感じましたが、NBAは本当に入るより残る方が難しいです。
最後の1人が連覇を左右するかもしれない
今の時点では、誰がロスター入りするかは分かりません。
普通に考えればブルース・ブラウン。
ロマンならワイズマン。
若さならアバジ。
安定感ならコンチャー。
サイズならユーバンクス。
それぞれ理由があります。
そして去年のシャメットのように、最後の1枠から優勝に貢献する選手が出る可能性もあります。
5人で1枠。
王者ニックスのキャンプ。
普通に楽しみです。
誰が椅子を取るのか。
開幕前から結構熱い戦いになりそうです。


