NBAドラフトで名前を呼ばれるだけでも狭き門ですが、1巡目と2巡目ではその後のキャリアに対する期待値が大きく違います。
2024年NBAドラフトで全体44位指名を受けたペレ・ラーションも、当時は将来4年6000万ドルの契約を手にする選手になると予想していた人は、それほど多くなかったでしょう。
ところが、NBA入りからわずか2年。
マイアミ・ヒートはラーションと4年6000万ドルの契約延長で合意しました。最終年となる2030-31シーズンには相互オプションが設定されており、新契約は2027-28シーズンからスタートします。
またヒートがやりました。
ドラフト上位のスターを獲得したわけではありません。全体44位で拾った選手を育て、ローテーションプレイヤーへ成長させ、大型契約に値する選手にしてしまったのです。
ペレ・ラーションとは?
ラーションはスウェーデン出身の25歳。身長6フィート5インチ(約196cm)のガードで、アリゾナ大学などを経て2024年NBAドラフトにエントリーしました。
指名したのはヒューストン・ロケッツ。
ただし、その後のトレードによって交渉権がヒートへ移り、NBAキャリアをマイアミでスタートしています。指名順位は2巡目14番目、全体44位でした。
ルーキーシーズンの成績は55試合出場、平均14.2分で4.6得点、1.7リバウンド、1.2アシスト。
数字だけを見れば、ごく普通の2巡目ルーキーです。
しかし2年目、その数字が一気に変わりました。
70試合に出場して54試合でスターターを務め、平均26.4分で11.4得点、3.5リバウンド、3.4アシスト。FG成功率も49.6%を記録しました。
平均得点は4.6点から11.4点へ。
わずか1年で約2.5倍です。
44位指名が2年後には年平均1500万ドル
今回の契約で個人的に一番面白いのはここです。
ラーションはドラフト44位。
それがNBA入りから2年で、最大4年6000万ドル。単純平均なら年間1500万ドル規模の契約を手にすることになります。
新契約初年度となる2027-28シーズンのサラリーは1350万ドルで、その後段階的に上昇。今季についてはルーキー契約下の約230万ドルでプレーする予定です。
NBAのドラフトを見ていると、どうしてもロッタリーピックや1巡目指名選手に注目してしまいます。
しかし、44位でもこれだけの契約を勝ち取れる。
NBAはやっぱり夢があります。
そして同時に、今回の契約は「ヒートはなぜラーションをここまで評価したのか?」という点が非常に面白いです。
派手ではない。でもヒートが好きそうな選手すぎる
ラーションは平均25得点を取るスコアラーではありません。
3ポイント成功率も昨季32.3%。現時点で「エリートシューター」と呼べる数字でもありません。
それでも試合を見ていると、ヒートが好みそうなのはかなり分かります。
身体を張る。守備をサボらない。ボールを持っていなくても仕事をする。そして必要なら自分でも攻められる。
ESPN Researchによれば、ラーションは昨季チャージを奪った回数でもリーグ上位10人に入っていました。
こういう選手、ヒート大好きですよね。
実際、エリック・スポールストラHCはラーションを「究極のグルーガイ」という趣旨で高く評価しています。
スター選手のように毎試合ハイライトを量産するわけではありません。
しかし、ラインナップに入れるとチームが機能する。
ヒートが長年発掘してきた選手には、こうしたタイプが非常に多い印象があります。
また「Heat Culture」が選手を育てた?
ヒートを追っているNBAファンなら、今回のニュースを見て同じことを思ったかもしれません。
「またヒートか」
マイアミは長年、ドラフト順位や前評判だけでは測れない選手をローテーションプレイヤーへ育ててきました。
今回のラーションはドラフト外ではありませんが、それでも全体44位。
一般的にスター候補が並ぶ順位ではありません。
ところが2年目には54試合で先発。
そして3年目を迎える前に、フロントは長期契約を決断しました。
もちろん「ヒートに入れば誰でも育つ」という単純な話ではありません。ラーション本人の成長があってこその契約です。
ただ、こうした選手を見つけ、役割を与え、NBAレベルのローテーション選手として定着させる仕組みが長期間続いていること自体は、マイアミという組織の強みと言えるでしょう。
スウェーデン代表ではさらに覚醒
しかもラーション、NBAの数字だけを見ていると少し過小評価してしまうかもしれません。
2026年夏のワールドカップ予選ではスウェーデン代表として爆発。
4試合で平均26得点を記録し、フィンランド戦では31得点。フランス戦でも23得点を記録しました。
ヒートでは役割上、何でも自分でやる必要はありません。
しかし代表チームではより大きな役割を与えられ、スコアラーとしての能力も見せています。
これはかなり面白いポイントです。
今後NBAでもボールを持つ機会が増えれば、現在の平均11.4得点からさらに数字を伸ばす可能性があります。
4年6000万ドルは高い?それとも安い?
年間平均約1500万ドル。
「2巡目44位の選手」と聞くとかなり大きな金額に感じます。
しかし、契約は指名順位に対して支払われるものではありません。
これから何ができるかに対して支払われます。
25歳で、すでにNBAで54試合に先発。
196cmのサイズがあり、複数の仕事ができ、FG成功率49.6%。さらに代表では得点能力も見せています。
ここからもう一段成長すれば、数年後にはこの契約がむしろ安く見えていても不思議ではありません。
逆に3ポイントが伸びず、現在の役割からステップアップできなければ、評価は変わってくるでしょう。
だからこそ面白い契約です。
ドラフト44位は「スタート地点」にすぎなかった
2024年6月。
ペレ・ラーションの名前が呼ばれたのは44番目でした。
そこから約2年。
54試合でスターターを務め、スウェーデン代表でも活躍し、ついには4年6000万ドルの契約を勝ち取りました。
NBAではドラフト順位が選手のキャリアを大きく左右します。
でも、それが最終評価ではありません。
44位でも、2年後には6000万ドル。
そして、その選手を見つけて育てたのがまたマイアミ・ヒートというところも面白い。
「Heat Culture」という言葉は少し擦られすぎている感もありますが、こういう選手がまた出てくると、やっぱり言いたくなります。
またヒートが育ててしまいました。


