アリーナの天井に吊るされた、選手の名前と背番号が入った旗。NBA中継を見ていると必ず映り込みますが、あれが「永久欠番」です。ところで、あの番号って誰がどう決めているんでしょうか。そして一番多く吊るしている球団はどこで、逆に1本も吊るしていない球団はあるんでしょうか。
調べてみると、リーグ全体で欠番になっている番号が1つだけ存在したり、番号ですらないものが掲げられていたりと、思っていたより自由な世界でした。
NBAの永久欠番とは?決めるのはリーグではなく各球団
永久欠番(retired number)は、球団に大きく貢献した人物の背番号を「今後そのチームでは誰にも着せない」として掲げる制度です。
ポイントは、NBAという組織が決めるのではなく、あくまで各球団が独自に決めるということ。だから明確な基準はありません。殿堂入りが条件のチームもあれば、在籍年数や優勝への貢献を重視するチームもあり、なかには「その選手が好きだから」に近い温度感で掲げられているケースもあります。この基準のバラつきが、球団ごとの欠番の数の差にそのまま出ています。
NBA史上ただ1つ、リーグ全体の永久欠番になった背番号6
例外が1つだけあります。ビル ラッセルの背番号6です。
2022年8月11日、ラッセルの死去から12日後に、NBAは背番号6を全30球団で永久欠番にすると発表しました。特定の球団ではなくリーグ全体で番号が欠番になったのは、NBA史上これが最初で、今のところ唯一の例です。セルティックスは1972年の時点ですでにラッセルの6番を欠番にしていたので、それがリーグ全体に広がった形になります。
ただし、当時すでに6番を着けていた選手はそのまま使い続けてよい、という経過措置(グランドファザー条項)がとられました。レブロン ジェームズが6番を着け続けられたのはこのためです。
ちなみにラッセルは11回の優勝を経験した、NBA史上もっとも多くの指輪を持つ選手です。この記録についてはNBA歴代優勝選手まとめ:最多チャンピオンリングを持つプレーヤーたちで詳しく書いています。
永久欠番が最も多いのはセルティックスの24
NBA.comの公式リストによると、ボストン セルティックスが掲げている永久欠番は24。これがリーグ最多です。
| 番号 | 人物 | 番号 | 人物 |
|---|---|---|---|
| 00 | ロバート パリッシュ | 19 | ドン ネルソン |
| 1 | ウォルター ブラウン(創設者) | 21 | ビル シャーマン |
| 2 | レッド アワーバック(HC) | 22 | エド マコーリー |
| 3 | デニス ジョンソン | 23 | フランク ラムジー |
| 5 | ケビン ガーネット | 24 | サム ジョーンズ |
| 6 | ビル ラッセル | 25 | KC、ジョーンズ |
| 10 | ジョジョ ホワイト | 31 | セドリック マックスウェル |
| 14 | ボブ クージー | 32 | ケビン マクヘイル |
| 15 | トミー ハインソーン | 33 | ラリー バード |
| 16 | トム サンダース | 34 | ポール ピアース |
| 17 | ジョン ハブリチェック | 35 | レジー ルイス |
| 18 | デーブ コーウェンス | LOSCY | ジム ロスカトフ |
2番目に多いのがレイカーズの13です。
| 番号 | 選手 |
|---|---|
| 8、24 | コービー ブライアント(2つとも欠番) |
| 13 | ウィルト チェンバレン |
| 16 | パウ ガソル |
| 21 | マイケル クーパー |
| 22 | エルジン ベイラー |
| 25 | ゲイル グッドリッチ |
| 32 | マジック ジョンソン |
| 33 | カリーム アブドゥル-ジャバー |
| 34 | シャキール オニール |
| 42 | ジェームズ ウォージー |
| 44 | ジェリー ウェスト |
| 52 | ジャマール ウィルクス |
| 99 | ジョージ マイカン |
13の欠番で12人しかいないのは、コービー ブライアントだけ8番と24番の両方が掲げられているからです。1人の選手で2つの番号が欠番になるのは、NBAでもかなり珍しいケースになります。
セルティックスとレイカーズの欠番の多さは、そのまま優勝回数の多さと重なっています。球団別の優勝回数はNBAチーム別優勝回数ランキングにまとめています。
逆に、永久欠番が1つもない球団がある
ロサンゼルス クリッパーズです。2026年時点で、30球団のなかで永久欠番を1つも掲げていない唯一の球団になっています。
クリス ポールの背番号3が最初の欠番になるのでは、と長く言われてきましたが、球団はその3番をブラッドリー ビールに与えて議論になりました。優勝経験がないこと、球団の歴史のなかで長期間中心にいた選手が少ないことなど理由はいくつか挙げられますが、1つも吊るしていない球団が本当に存在するというのは、なかなか象徴的な事実だと思います。
複数の球団で欠番になっている選手たち
永久欠番は球団ごとに決めるものなので、移籍の多かった大選手は複数の球団で欠番になることがあります。
| 選手 | 番号 | 欠番にした球団 |
|---|---|---|
| ウィルト チェンバレン | 13 | ウォリアーズ、76ers、レイカーズ |
| シャキール オニール | 34/32 | レイカーズ(34)、ヒート(32)、マジック(32) |
| ピート マラビッチ | 44/7 | ホークス(44)、ジャズ(7)、ペリカンズ(7) |
| カリーム アブドゥル-ジャバー | 33 | バックス、レイカーズ |
| チャールズ バークレー | 34 | 76ers、サンズ |
| ビンス カーター | 15 | ラプターズ、ネッツ |
| マイケル ジョーダン | 23 | ブルズ、ヒート |
3球団で欠番になっているのはチェンバレン、オニール、マラビッチの3人。そして変わっているのが、マイケル ジョーダンの23番をヒートが欠番にしていることです。ジョーダンはヒートで1試合もプレーしていません。「うちのリーグにいてくれたことへの敬意」で番号を吊るしてしまうあたり、いかにもNBAらしい話です。マラビッチの7番をペリカンズが掲げているのも同じ構図で、現在のペリカンズはマラビッチが在籍した当時のニューオーリンズ ジャズとは別の球団です。
背番号じゃない「欠番」もある
ここが個人的に一番面白かったところです。掲げられているのは選手の背番号だけではありません。
- セルティックスの1番:創設者ウォルター ブラウン。選手ですらありません
- セルティックスの2番:名将レッド アワーバック。最優秀コーチ賞のトロフィーにも名前が使われている人物です
- セルティックスのLOSCY:ジム ロスカトフは自分の背番号18が欠番になることを望まず、代わりに愛称の「LOSCY」が掲げられました。おかげで18番はデーブ コーウェンスが着けて、あらためて欠番になっています
- ジャズの1223:ジェリー スローンがジャズで挙げた1,223勝という数字そのものが、2014年に旗になりました
- レイカーズのマイク:実況アナウンサーのチック ハーンを称えて、マイクが吊るされています
最近の永久欠番:2026年1月、デリック ローズの背番号1
直近で大きな話題になったのが、シカゴ ブルズによるデリック ローズの背番号1の永久欠番です。2026年1月24日、セルティックス戦のあとにユナイテッドセンターでセレモニーが行われました。
2008年の全体1位指名、史上最年少MVP、そして怪我。キャリアの軌跡についてはデリック ローズの軌跡に書きましたが、彼の名前は制度にも残っていて、若手スターの契約条項であるRose Ruleは文字通りローズから来ています。背番号と制度名の両方が残っている選手というのは、ちょっと他にいません。
その少し前、2025年にはウォリアーズがアンドレ イグダーラの背番号9を掲げています。4度の優勝とファイナルMVPを持つ、スタッツでは測りにくいタイプの選手が欠番になったという意味で、これも印象的でした。
まとめ
- 永久欠番はリーグではなく各球団が独自に決めるため、明確な基準はない
- リーグ全体の永久欠番はビル ラッセルの6番ただ1つ(2022年8月11日)
- 最多はセルティックスの24、次がレイカーズの13(コービーは8と24の2つ)
- 永久欠番が1つもない唯一の球団はクリッパーズ
- 3球団で欠番なのはチェンバレン、シャック、マラビッチ
- 創設者、コーチ、勝利数、マイクなど、背番号以外のものも掲げられている
数字で優劣がつく記録と違って、永久欠番は「球団がその人をどう思っているか」がそのまま形になったものです。だから基準がバラバラで、そこが面白い。次に中継を見るときは、天井の旗もちょっと気にしてみてください。
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