9月25日、ディアンジェロ・ラッセルがグリズリーズからウェイブされました。2015年ドラフト全体2位、22歳でオールスター。そのラッセルが30歳で次のチームを探す立場になり、最終的には中国のCBAへ渡りました。
Xでこの話を投稿したら、5万回以上見てもらえました。反応を見ていて気づいたのが、「そういえば2位って…」というリプライの多さです。ロンゾ・ボールも2017年の全体2位。ジェームズ・ワイズマンも2020年の全体2位。引退報道を否定したロンゾ、キャンプで最後の1枠を争うワイズマン、そしてラッセル。この秋の「つらいニュース」に、なぜか全体2位がよく出てくるんです。
全体2位は呪われているのか。気になったので、2013年から2026年までの全体2位指名選手の「今」を並べてみました。
全体2位指名選手の今(2013〜2026年)
| 年 | 選手 | 指名したチーム | 2026年10月の状況 |
|---|---|---|---|
| 2013 | ビクター・オラディポ | マジック | オールスター2回。2023年4月を最後にNBAの試合に出場なし。9月に全30チームへ復帰を訴える公開書簡 |
| 2014 | ジャバリ・パーカー | バックス | 前十字靭帯を2度断裂。NBAでは2021-22シーズンが最後 |
| 2015 | ディアンジェロ・ラッセル | レイカーズ | オールスター1回。9月にグリズリーズからウェイブされ、中国CBAの上海シャークスへ |
| 2016 | ブランドン・イングラム | レイカーズ | オールスター1回、MIP。カワイのトレードでクリッパーズへ移籍直後、アキレス腱の部分断裂が判明 |
| 2017 | ロンゾ・ボール | レイカーズ | 膝の故障で2シーズン以上を失う。現在FA。引退報道を本人が否定 |
| 2018 | マービン・バグリー3世 | キングス | キングス、ピストンズなどを経て、現在はナゲッツ |
| 2019 | ジャ・モラント | グリズリーズ | 新人王、オールスター2回。現在はブレイザーズ |
| 2020 | ジェームズ・ワイズマン | ウォリアーズ | 怪我が続き、ニックスのキャンプで最後のロスター枠を争う |
| 2021 | ジェイレン・グリーン | ロケッツ | デュラントのトレードでサンズへ。主力スコアラー |
| 2022 | チェット・ホルムグレン | サンダー | 2025年に優勝。2030-31シーズンまでの大型延長 |
| 2023 | ブランドン・ミラー | ホーネッツ | 昨季平均20.2得点。ラメロ放出後のホーネッツの柱 |
| 2024 | アレックス・サー | ウィザーズ | 再建中のウィザーズで若手の軸 |
| 2025 | ディラン・ハーパー | スパーズ | 1年目からスパーズのファイナル進出を経験 |
| 2026 | ダリン・ピーターソン | ジャズ | 今季デビュー |
こうして並べると、2013年から2020年の8人のうち、半分以上が大きな怪我や放出でキャリアの流れが変わっています。一方で、2021年以降の選手はまだこれからです。ホルムグレンのようにすでに優勝した選手もいます。
2013〜2020年の8人に起きたこと
怪我に止められた:オラディポ、パーカー、ロンゾ
オラディポは2018年に最優秀成長選手賞を取り、ペイサーズでオールスターに2回選ばれました。当時はイースト屈指のツーウェイガードでしたが、2019年に右大腿四頭筋の腱を断裂。復帰後も膝蓋腱の大怪我が重なり、2023年を最後にNBAの試合に出ていません。
パーカーはデビュー直後から得点力を期待されていましたが、前十字靭帯を2度切りました。ロンゾはブルズで「完成形」が見え始めた2022年1月に膝を痛め、そこから1,000日以上コートを離れることになります。3人とも、全盛期に向かう一番大事な時期に怪我が重なっています。
「期待される役割」と合わなくなった:ラッセル
ラッセルは怪我で失速したタイプではありません。キャリア平均17.0得点、ウォリアーズ時代には平均23.6得点を記録したこともあります。それでも、守備で狙われやすいこと、ボールを持って活きるタイプであることが、優勝を狙うチームの起用法と合わなくなっていきました。30歳での放出は、今のNBAでポイントガードに求められる役割が変わったことも表しているように思います。
今も主役:モラント、そしてイングラム
モラントは新人王、オールスター2回、最優秀成長選手賞と、この8人の中では最も華やかな実績を持っています。出場停止や怪我で欠場が多かった時期もありましたが、新天地のブレイザーズでリラードと組む今季は、改めて注目が集まります。イングラムもオールスターとMIPを取った実力者ですが、移籍直後にまた怪我。2位指名組の中でも、「才能はあるのに、とにかく怪我に恵まれない」選手の代表になってしまっています。
全体2位は本当に呪われているのか
結論から言うと、「呪い」というより、全体2位という順位が持つ期待の大きさが、キャリアの浮き沈みを目立たせているのだと思います。
そもそも全体2位には、NBAの歴史に残る選手もいます。2007年の全体2位はケビン・デュラントです。得点王4回、ファイナルMVP2回。1位のグレッグ・オデンが膝の怪我に苦しんだことを考えると、「2位のほうが大当たりだった」年の代表例です。
逆に、2003年の全体2位ダルコ・ミリチッチは、1位がレブロン・ジェームズ、3位がカーメロ・アンソニーという年に、ピストンズに指名されました。1984年の全体2位サム・ボウイは、3位のマイケル・ジョーダンより先に指名された選手として、いまだに語られ続けています。
つまり全体2位は、「1位と比べられ」「3位以下のスターとも比べられる」順位です。ドラフト時の期待値が高いぶん、普通に良い選手として10年プレーしても、どこか物足りなく見られてしまう。ラッセルの「22歳でオールスター、キャリア平均17得点」は、本来ならかなりの成功です。
数字で見ると、2位指名のキャリアはむしろ「普通にすごい」
NBAのロスター枠は30チームで450前後しかありません。毎年60人が指名されても、5年後もリーグに残っているのはその一部です。その中で、オールスターに選ばれるのはさらに一握りです。
2013年から2020年の全体2位8人を見ると、オールスター経験者はオラディポ、ラッセル、イングラム、モラントの4人。8人中4人がオールスターというのは、ドラフト全体で見ればかなり高い確率です。「呪われている」のではなく、「期待どおりの高さまで行ったのに、そこから怪我や役割の変化で落ちるのが早かった」選手が多い、というのが正確なところかもしれません。
ドラフトで1位や2位を引くことの価値については、ドラフトの成功例と失敗例やロッタリーの仕組みの記事でも詳しく書いています。
3年連続で2位を引いたレイカーズの、その後
この表を作っていて面白かったのが、2015年から2017年までの3年連続で、全体2位がレイカーズだったことです。ラッセル、イングラム、ロンゾ。コービー引退前後の低迷期に、レイカーズは毎年ロッタリーで上位を引き、将来の中心選手を集めていました。
ところが、3人ともレイカーズで長くプレーすることはありませんでした。ラッセルは2017年にネッツへトレード。イングラムとロンゾは2019年、アンソニー・デイビスを獲得するトレードでペリカンズへ送られました。そしてレイカーズは、その翌シーズンの2020年にレブロンとデイビスで優勝しています。
2位指名の選手そのものより、「2位指名の選手は、トレードの価値として大きい」ことが、優勝につながった例です。若くて将来性のある選手は、スターを獲るための一番の交換材料にもなります。2位指名の選手がキャリアの早い段階で移籍を経験しやすいのは、こうした事情もあると思います。
ちなみにこの3人は、その後もそれぞれの道で、怪我や移籍を繰り返しながらプレーを続けてきました。そして2026年の秋、ラッセルはウェイブ、ロンゾは引退報道の否定、イングラムは移籍直後の怪我と、3人の名前がまた同じ時期のニュースに並びました。偶然ではありますが、なんとも言えない気持ちになります。
2021年以降の2位指名組に期待したいこと
ここから先の全体2位は、まだ「呪い」とは無縁です。ホルムグレンはすでに優勝を経験し、ミラーはチームの柱、ハーパーは1年目からファイナルの舞台を踏みました。サーとピーターソンは、再建中のチームでこれから評価が決まっていく段階です。
ただ、2013年からの流れを見て思うのは、2位指名の選手が10年後にどうなっているかは、才能よりも「怪我をしないこと」と「チームの求める役割に合わせられるか」で決まる部分が大きいということです。オラディポもロンゾも、怪我さえなければという選手でした。ラッセルは、役割さえ合えばという選手でした。
みなさんは、全体2位の中で一番好きな選手は誰ですか?【ここに自分の「推しの2位指名」とその理由を一言】
よくある質問
全体1位と全体2位では、何が違う?
指名される順番だけでなく、1年目の年俸も違います。1巡目の選手の年俸は、指名順位ごとに決まった「ルーキースケール」で決まり、順位が上がるほど金額が高くなります。ただ、契約の年数や仕組みは同じで、4年目までの扱いに大きな差はありません。
全体2位から殿堂入りした選手はいる?
います。アイザイア・トーマス(1981年)、アロンゾ・モーニング(1992年)、ジェイソン・キッド(1994年)、ゲイリー・ペイトン(1990年)は、いずれも全体2位で指名され、のちに殿堂入りしました。現役では、2007年の全体2位ケビン・デュラントが、引退後の殿堂入りが確実と言われる実績を残しています。順位だけでキャリアが決まるわけではないことが、よく分かります。
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※2026年10月6日時点の情報です。


