NBAがユーロリーグの過半数株式取得を検討中?「NBAヨーロッパ」構想の今をまとめてみた

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NBAがユーロリーグ(EuroLeague)の株式を過半数取得する方向で協議している、というニュースが9月半ばに流れてきました。「NBAヨーロッパ」構想自体は前から聞いていましたが、既存のユーロリーグをどう扱うかまで踏み込んだ話が出てきたのはここ最近です。ただ調べていくと、報道によって書きぶりに温度差があって、どこまでが確定でどこからが記者の解釈なのか結構分かりづらい状態だったので、一度自分なりに整理してみようと思います。結論から言うと、まだ「協議中」の段階で、決まったことはほとんどありません。

Adam Silverが9月15日に何を言ったのか

事の発端は2026年9月15日、NBAの理事会(Board of Governors)の会議後にコミッショナーのAdam Silverが行った発言です。Silverは「ユーロリーグと手を組むことでNBAヨーロッパはより強くなると考えている」という趣旨のことを話し、協議が進展していること、数週間以内に追加の発表があるだろうという見通しも示したそうです。開幕目標については「2027年秋」で一貫しており、これは6月のNBAファイナル前会見や7月のNBA公式サイトの発表とも揃っています。ここまでは複数のメディアが独自に取材した内容で、事実として固いところだと思います。

一方で気になったのは、投資家側は「急いでいない」というニュアンスの発言もあった点です。当初は2027年開幕でスケジュール通り進んでいるという話だったのに、ここに来て「急がない」というのは、ちょっと引っかかりました。ユーロリーグとの協議の行方次第で最終的な形が変わる可能性を、Silver自身も匂わせているように読めます。

「過半数株式取得」という言葉、誰が言ったのか

ここが今回一番整理しておきたかったところです。NewsBreak経由で見られるSports Business Journal(SBJ)の記事は、見出しから「Silverがユーロリーグの過半数株式取得に向けた協議を確認した」という強い書き方をしています。この見出しだけ見ると、もうSilver本人が「majority stake」という言葉を使って明言したように読めてしまいます。

ただ、同じ9月15日の発言を別々に取材したEurohoops、Sportando、Dallas Sports Journalの記事を見比べると、Silverの逐語引用の中に「過半数株式取得」という具体的な言葉は出てきません。出てくるのは「協議は進展している」「統合できれば全員にとってより良い」といった、もう少し抽象的な言い回しです。つまり「過半数株式取得」という枠組みそのものは、Silver本人がその場でそう言い切ったというより、SBJの記者がそう解釈して報じた可能性が高いということです。なのでこの記事でも「Silverが過半数株式取得を確認した」と断定するのは避けて、「SBJの報道によれば」という形で出典を分けて書いておきます。実際どちらの表現が正確なのか、続報を待つしかなさそうです。

NBAヨーロッパ構想そのものの規模感

ユーロリーグの買収話とは別に、「NBAヨーロッパ」という新設リーグの計画自体はNBAとFIBAが共同で進めているものです。NBA公式サイトの発表内容によると、16チーム構想(常設12+年間予選4)で、対象都市はアテネ、バルセロナ、ベルリン、イスタンブール、ロンドン、リヨン、マドリード、マンチェスター、ミラノ、ミュンヘン、パリ、ローマの7カ国12都市。フランチャイズ料は最低5億ドルで、都市によっては10億ドルを超える入札もあったそうです。正直、この金額を見るとNBAが本気でヨーロッパ市場を取りに行っているのがよく分かります。開幕初期の赤字を穴埋めするために30億ドルを充てる計画があるという報道もあり、単なる思いつきレベルの話ではないのは間違いなさそうです。

ちなみに出資比率や買収金額の具体的な数字(何%取得するのか、いくらで買うのか)については、今回リサーチした範囲のどのソースにも明記がありませんでした。「過半数」という言葉だけが独り歩きしている状態なので、ここで具体的な数字を書いてしまうのは無責任だと思うので触れません。

10月5日の会議、場所はどこなのか

ユーロリーグ加盟クラブのオーナーたちが、NBAヨーロッパ計画に参加するか独立を維持するかを議論する会議が10月5日に予定されています。ここでESPNは開催地を「ミラノ」と書いているのですが、他のイタリア発の報道を見るとレイク・コモの「ヴィラ・デステ」という具体的な会場名が出てきていて、一瞬「あれ、どっちなんだ」と思いました。

調べてみると、これは食い違いというより情報の粒度の差でした。この会議を主催するのはミラノ拠点のクラブ、オリンピア・ミラノです。なので「ミラノで開催」と書く記事があるのは間違いではないのですが、実際に会場として使われる物理的な場所はレイク・コモのヴィラ・デステなんですね。どちらも嘘ではなく、主催クラブの拠点を指しているか、実際の会場を指しているかの違いというわけです。地理に詳しくない自分は最初「ミラノとコモって近いんだっけ」と調べ直してしまいましたが、コモ湖はミラノから車で1時間程度の距離なので、感覚としては「東京の会社が箱根で会議をする」くらいのイメージで捉えれば良さそうです。

なお、この会議はあくまで今後(10月5日)に予定されているもので、この記事を書いている9月17日時点ではまだ結果は出ていません。ユーロリーグ側がどう判断するかは、正直ふたを開けてみないと分からないと思います。

ユーロリーグ側はどう見ているのか

ユーロリーグ側の温度感も、時期によってかなり振れ幅があります。もともと2025年4月の時点で、ユーロリーグは新リーグ構想を「ヨーロッパバスケットボールの長年の伝統への脅威」と表現し、懸念を示す声明を出していました。そして今年1月9日には、長期契約を結んでいるクラブとの接触を続けるならという条件付きで、法的措置も辞さないという書簡をNBAに送っています。この書簡では、NBAへの移籍を検討するクラブには1,000万ユーロ(約1,160万ドル)の離脱金に加えて追加の損害賠償が契約上課される、という具体的な数字にも触れられていたそうです。2025年4月の声明から2026年1月の書簡まで、実に9ヶ月近く間が空いているわけで、単発の対決姿勢というよりは、じわじわと緊張が高まっていった経緯として見た方が正確だと思います。

ところが9月に入ると、ユーロリーグCEOのChus Buenoが「我々は怖がるのではなく、開かれているべきだ」「分断は価値を薄めるだけでなく摩擦を生む」と、かなり協調路線に寄った発言をしています。半年ちょっとでここまでトーンが変わるのは、NBAとの交渉が実際にそれなりの段階まで進んでいる証拠のようにも見えますし、単に外向けのポーズが変わっただけとも取れます。このあたりは正直、外野からは判断がつきません。

ちなみにACB(スペイン)やレガ・バスケット(イタリア)といった各国の国内リーグからの公式なコメントは、今回調べた範囲では見つけられませんでした。当事者に近いはずの国内リーグが今のところ静かなのは、むしろ気になるポイントです。

サッカーの欧州スーパーリーグを思い出した人もいるはず

このニュースを見て、2021年のサッカー欧州スーパーリーグ構想を連想した方もいるのではないでしょうか。自分も思わず重ねて考えてしまったのですが、これはあくまで自分自身の中での連想であって、今回調べた報道の中で両者を直接比較している記事は見当たりませんでした。念のため補足しておきます。

あのときは欧州の主要12クラブが既存の連盟(UEFA・FIFA)の頭越しに独断で計画を発表し、ファンや各国協会から猛反発を受けてわずか48時間ほどで崩壊しました。一方でNBAヨーロッパは国際バスケットボール連盟であるFIBAと共同で進めている点が構造的に違います。ただしユーロリーグ自体はFIBAとは別組織なので、「FIBAとは協調、ユーロリーグとは緊張関係」というねじれた構図になっているのが、サッカーのケースよりもややこしいところだと思います。この違いがうまく機能するのか、それともサッカーと同じように土壇場で反発を招くのか、今の時点では何とも言えません。

まとめ

現状を整理すると、Silverは「ユーロリーグとの統合ができなくてもNBAヨーロッパ自体は前に進める」というスタンスを崩していないので、買収が成立するかどうかは必須条件ではなく、あくまで望ましいシナリオの一つという位置づけです。「過半数株式取得」という表現もSBJ経由の報道にとどまっていて、Silver本人がその言葉で言い切ったかどうかは確認が取れていません。10月5日のユーロリーグ側の会議で何かしらの方向性が見えてくるはずなので、まずはそこを待ちたいと思います。個人的には、ヨーロッパのバスケが盛り上がること自体は歓迎したいのですが、既存のユーロリーグの伝統やクラブの立場がどう扱われるのか、そこは引き続き気になるところです。続報が出たらまた追いかけます。

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