NBAのウェイバークレームとは?順位の決まり方を解説

NBAのウェイバークレームとは?順位の決まり方を解説
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ウェイブされた選手を、他のチームが欲しがったらどうなるか考えたことはありますか。

NBAでは河村勇輝選手がクリッパーズからウェイブされたニュースのように、選手が放出される場面が頻繁にあります。放出された選手は即座にフリーエージェントになるわけではなく、まず他の29チームにクレームの機会が与えられる仕組みになっています。

今回はこのウェイバークレームの仕組みと、複数チームが同じ選手を欲しがったときの順位の決まり方を整理してみます。

ウェイバーという制度自体は、他のプロスポーツにも共通して見られる仕組みです。NBAでも長年運用されてきましたが、クレーム順位の基準になる成績が毎年12月に更新されるという点は、意外と知られていないルールかもしれません。

河村選手がクリッパーズからウェイブされた際も、この48時間というルールに沿って手続きが進んでいました。結果的にどのチームもクレームを出さず、本人が次の所属先を自由に探せる形になったはずです。

ウェイブされた選手は最低48時間ウェイバーに置かれる

チームが選手をウェイブすると、その選手はすぐにはフリーエージェントになりません。最低48時間はウェイバーという状態に置かれ、この間に他のチームがクレームを出せる仕組みです。

何もクレームされなければ、リリースから2日後の現地時間午後4時にウェイバーをクリアします。午後4時を過ぎてからリリースされた場合は、さらに1日延びて3日後になります。クリアした選手はそこで無制限フリーエージェントとなり、どのチームとでも自由に契約できるようになります。

ディアンジェロ ラッセル選手のようにベテランで知名度の高い選手でも、このウェイバーの手続きそのものは新人と同じように進みます。

ウェイバー期間中は、選手本人も気持ちの整理がつきにくい時間になるはずです。次にどのチームが声をかけてくれるのか分からないまま、数日を過ごすことになります。

ドラフト上位の選手がシーズン早々にウェイブされるケースも、近年は珍しくなくなってきました。期待に応えられなかった若手にとって、ウェイバーという制度は再出発のきっかけにもなっています。

ラッセル選手のように実績のある選手がウェイブされると、クレームするかどうかの判断もより難しくなります。実力は分かっていても、年俸や残り契約年数とのバランスを見極める必要があるからです。

複数チームがクレームしたら成績の悪いチームが優先

同じ選手に複数のチームがクレームを出した場合、成績の悪いチームが優先されます。順位は反対側から見るとイメージしやすいかもしれません。優勝争いをしているチームほど後回しにされる仕組みです。

順位が同じだった場合は当シーズンの直接対決の成績で決まります。それでも決まらなければコイントスで決めるそうです。運も絡んでくるというのが、いかにもNBAらしいところです。

クレームに成功したチームは、選手の現行契約をそのまま引き継ぎます。残りの年俸全額に責任を持つことになり、加えてNBA事務局に1,000ドルの手数料を支払う必要があります。新しい条件で契約し直すことはできない点がポイントです。

この仕組みがあることで、優勝を狙うような強いチームが有望な放出選手を横取りしにくくなっています。弱いチームに再建の機会を優先的に与えるという意味で、リーグ全体の競争バランスを保つための工夫と言えそうです。

クレームされてチームが決まる場合と、誰にもクレームされずに自分で次の所属先を選べる場合とでは、選手にとっての意味も大きく変わってきます。クレームされれば行き先を選べませんが、確実に次の契約先が決まるという安心感はあります。

1,000ドルという手数料自体は、NBA球団の規模からすればごく小さな金額です。それでも手続きとして必ず発生するという点に、制度としての厳密さを感じます。

ディリンガム選手のように、ドラフトされた直後にチームの事情でウェイブされてしまう例も出てきました。本人の実力とは関係なく、編成の都合で居場所を失ってしまう厳しさもNBAにはあります。

基準になる成績は12月1日に切り替わる

ウェイバー順位の基準になる成績は、シーズンの途中で切り替わります。オフシーズンから12月1日までは、前シーズンの成績がそのまま使われます。

つまり前シーズンに大きく負け越したチームは、新シーズンが始まってもしばらくは優先順位の上位に居続けることになります。シーズン序盤に行われるディリンガム選手のようなウェイブも、この前シーズン基準で順位が決まっていたはずです。

12月1日を過ぎると、当シーズンの成績に基準が切り替わります。ここから先は、まさにその時点での順位表がそのままウェイバーの優先順位になっていきます。

時期優先順位の基準
オフシーズンから11月末まで前シーズンの成績
12月1日以降当シーズンの成績

たとえば開幕直後に有力な選手がウェイブされた場合、前シーズン最下位だったチームがそのまま最優先でクレームできることになります。シーズンが変わっても、しばらくは前年の成績が影響を持ち続けるというのは面白い仕組みです。

反対に誰にもクレームされずにウェイバーをクリアすれば、自分の意思でチームを選べる自由はありますが、そもそも声がかからなかったという現実とも向き合うことになります。どちらが良いとは一概には言えません。

クレームされなかった場合は元チームが年俸を負担

誰にもクレームされずにウェイバーをクリアした場合、残りの年俸は元のチームが負担し続けます。これがそのままサラリーキャップに重くのしかかる形です。

そこで使われるのがストレッチ条項です。残りの年俸によるキャップヒットを、複数年に分散させることができる仕組みです。契約最終年の選手が8月31日以降にウェイブされた場合はこの条項を使えないなど、細かい条件も設けられています。

ストレッチを使った場合、元の契約が満了するはずだった時期までは、同じチームがその選手を再び獲得することはできません。放出と同時に、ある程度の関係も清算される形になっています。

ウェイブとよく似た言葉としてバイアウトがありますが、こちらは選手とチームが合意のうえで契約を打ち切る点が大きく異なります。

ストレッチ条項を使うかどうかは、チームの財務状況によって判断が分かれます。目先のキャップヒットを抑えたい場合は有効ですが、何年にもわたって少額とはいえ負担が残り続けるという側面もあります。

こうしたルールは毎年のように細かく運用が見直されています。CBAと呼ばれる労使協定が改定されるたびに、ウェイバーに関する条文も少しずつ調整されてきました。

プレーオフ争いをしているチームがウェイバー市場で思うように動けないのは、ある意味で健全な仕組みだと思います。強いチームがさらに強化を続けられてしまえば、リーグ全体の競争はつまらなくなってしまうはずです。

クレームを出す側にも制約がある

優先順位が高くても、どのチームでも自由にクレームを出せるわけではありません。選手の契約には年俸が発生するため、それを吸収できる枠がなければクレームできないのです。

最低年俸の例外で収まらない選手を獲得するには、トレード例外や故障者例外、あるいはキャップスペースを使って年俸を吸収する必要があります。弱いチームが必ずしも欲しい選手を取れるとは限らないということです。

年俸の枠に余裕があるチームほど、こうした場面で動きやすいのも事実です。資金力や編成の工夫が、ウェイバーという小さな市場でも力を持つということになります。

自分がもしGMだったら、と考えてみるのも面白いかもしれません。限られた予算の中で、どの選手にクレームを出す価値があるのかを判断するのは簡単ではなさそうです。

こうして見ていくと、ウェイバーという制度には選手とチーム双方の事情が複雑に絡み合っていることが分かります。シンプルな放出のニュースの裏側に、こうした仕組みがあると知っているだけでも見方が変わってくるはずです。

まとめ

今回の内容をまとめます。

  • ウェイブ後は最低48時間ウェイバーに置かれる
  • 複数チームがクレームした場合は成績の悪いチームが優先
  • 基準になる成績は12月1日に前シーズンから当シーズンへ切り替わる
  • クレームされなければ元チームが残りの年俸を負担する
  • クレームする側にも年俸を吸収できる枠が必要

ウェイブのニュース一つにも、こうした細かいルールが絡んでいます。次に誰かがウェイブされたというニュースを見たときは、どのチームがクレームに動くのか、順位の仕組みも思い出しながら見てもらえたらと思います。

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