NBAのユニフォームを作っている会社は何社?adidasはいつまでだったのか、歴代メーカーを調べてみた

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ふと「NBAのユニフォームを作ってる会社って、いまどれくらいあるんだろう」と気になりました。きっかけは本当に単純で、昔はadidasのユニフォームをたくさん見ていた気がするのに、最近はまったく見なくなったなと思ったんです。いつの間にかナイキばかりになっていて、じゃあadidasはいつからいなくなったのか、そもそも昔は何社くらいが関わっていたのか。気になり出すと止まらないので、一度ちゃんと調べてみることにしました。

答えから言うと、今は1社だけ

先に答えを書いてしまうと、今NBAの試合用ユニフォームを作っているのはナイキ(Nike, Inc.)の1社だけです。2015年6月10日にNBAが発表した契約で、ナイキはNBA・WNBA・当時のD-League(現G League)の3リーグで独占的なオンコートユニフォームの提供者になりました。期間は8年、スタートは2017-18シーズンからです。契約金額はNBA公式からは発表されていませんが、ESPNの報道では8年で約10億ドルとされていて、前の契約から年額で大きく跳ね上がったと伝えられています。

その後、2024年10月21日には12年の延長が発表されていて、パートナーシップは2037年まで続くことになりました。ちなみにNBA公式の発表文によると、ナイキ自体は1992年からNBAのパートナーだったそうです。ユニフォームを作り始める前から、かなり長い付き合いがあったんですね。

ただ「1社」と言い切ると少しだけ語弊があって、ユニフォームに入っているブランドロゴは実は2種類あります。ナイキのスウッシュと、もう一つがジョーダンブランド(Jordan Brand)のジャンプマンです。ジョーダンブランドはナイキ傘下のブランドなので、契約している会社としてはあくまでナイキの1社。でも見た目としてはロゴが2つある、というちょっとややこしい状態になっています。

ジャンプマンが一番わかりやすく出ているのがシャーロット・ホーネッツで、2017-18シーズンの時点で30チーム中29チームがナイキのロゴだったのに対し、ホーネッツだけはジョーダンブランドのロゴを付けていました。当時マイケル・ジョーダンがホーネッツの筆頭オーナーだったことにちなんだもので、これはさすがにジョーダン本人のチームならではだなと思います。確認できた範囲では、少なくとも2024-25シーズンまではホーネッツのユニフォームはすべてジャンプマンでした。それ以外にも、2020-21シーズンからは全30チームのStatement Editionでスウッシュの代わりにジャンプマンが使われていて、2025-26シーズンのサンズのStatement Editionにもジャンプマンが入っているので、この運用は今も続いているようです。

adidasはいつまでだったのか

で、本題のadidasです。adidasがNBAのユニフォームを担当していたのは2006-07シーズンから2016-17シーズンまでの11シーズンでした。僕の「昔はadidasをたくさん見ていた」という感覚は、ちょうどこの時期のNBAを見ていた記憶なんだと思います。10年以上もリーグ全体を担当していたわけなので、印象に残っているのも当然といえば当然ですね。

adidasがNBAのユニフォームを担当することになった経緯も、追ってみると少し面白かったです。まず2006年1月に、adidasがReebokを38億ドルで買収しました。そしてその3か月後の2006年4月に、NBAとadidasの11年契約が発表されています。つまりもともとNBAのユニフォームを担当していたReebokをadidasが買ったことで、そのまま親会社のadidasに切り替わったという流れなんですね。当時のデビッド・スターン・コミッショナーは、既存のReebokとの関係からすれば「a foregone conclusion(最初から決まっていたようなもの)」とコメントしています。契約金額は公式には明らかにされていませんが、ESPNなどは4億ドル超と報じていました。

そして終わり方のほうですが、ここは調べてみて意外だった部分です。2015年3月16日、adidasのほうから「2016-17シーズン後の契約満了で更新しない」と発表しているんです。NBAがナイキとの契約を発表したのは同じ年の6月なので、順番としては「adidasが先に撤退を表明して、そのあとナイキに決まった」という形になります。

adidasのバスケットボール部門のGMだったクリス・グランシオは、狙っていた層に対してブランドを浸透させられなかったこと、そして今後はリーグとの契約よりもコート上の選手個人への投資を優先したいという趣旨の説明をしていました。リーグ全体のユニフォームを作るより、スター選手と契約してシグネチャーシューズを売るほうがブランドのためになる、という判断だったんだと思います。企業としてはすごく合理的な考え方ですし、adidasのバスケットボール戦略の転換点だったんだなと感じました。余談ですが、ESPNの記事ではadidas時代の袖付きジャージーがファンから不評だったことにも触れられていました。ありましたね、袖付き(笑)。

実はadidasのロゴ、試合用ジャージーには入っていなかった

個人的に一番驚いたのはここです。adidasの時代、試合で選手が着ているジャージーにはadidasのロゴが入っていなかったんです。

2006年の契約発表のときにスターン・コミッショナーは、「チームロゴとNBAロゴだけにすることで、リーグのブランドを強化できる」という趣旨のことを話していて、今のところユニフォームに入るマークはその2つだけだ、と説明しています。adidasのロゴが入っていたのはウォームアップや練習着、WNBAのユニフォーム、それとファン向けのレプリカジャージーのほうでした。これはその前のReebokの時代も同じで、ESPNは2015年の記事で「Reebokやadidasとの契約のときと違って、ナイキのロゴは試合用ジャージーに入る。リーグ初のことだ」と書いています。

NBA公式の2015年の発表でも、ナイキは「NBAユニフォームに自社ロゴが入る初めてのアパレルパートナー」と説明されていて、2017-18シーズンのナイキが、NBAのユニフォームにメーカーロゴが入った最初のケースということになります。今となってはスウッシュが肩のあたりにあるのが当たり前すぎて、ロゴが無い状態をうまく思い出せないくらいなんですよね。「adidasのユニフォームをたくさん見ていた」という僕の記憶も、もしかするとウォームアップやレプリカで見たロゴの印象が混ざっているのかもしれません。ここは自分でもはっきりしないので、そういうこともあるのかなくらいに思っています。

その前はReebok、さらにその前は…

adidasの前を担当していたのがReebokです。Reebokは2001年にNBAと10年契約を結んでいるんですが、ここも最初から全チームを担当していたわけではありませんでした。ReebokがSECに提出した年次報告書によると、2001-02シーズンは12チーム、2002-03シーズンは19チームのユニフォームを担当していて、全チームを担当するようになったのは2004-05シーズンからです。報告書ではこの2004-05以降の立場を「semi-exclusive(準独占)」と表現しています。各チームがもともと他のメーカーと結んでいた契約が切れるのを待ちながら、少しずつ担当チームを増やしていったような形ですね。

そして全チームを担当するようになってからわずか2シーズン後、先ほどの買収でadidasに切り替わります。10年契約のうち5シーズンを終えたところで親会社に引き継がれたわけで、Reebokの全チーム時代というのは意外と短かったんだなというのが正直な感想です。

さらにさかのぼると、1990年代後半から2000年代前半にかけては、チームごとに違うメーカーがユニフォームを担当していた時期があったようです。ナイキやChampion、Pumaといったメーカーの名前が挙がっていて、今の「全チーム同じメーカー」という状態とはだいぶ様子が違います。どのチームがどのメーカーだったのかという細かい一覧までは、しっかりした裏付けが取れなかったので今回は触れないでおきます。もっと前の時代については、1980年代はMacGregor Sand-Knit、1990年前後からはChampionがリーグのユニフォームを担当していたとされていますが、いつから始まったのかは資料によって年がバラバラで、正確なところはよく分かりませんでした。このあたりはもう少し資料が見つかったら、改めて調べてみたいところです。

adidasはNBAから完全にいなくなったわけじゃない

最後にもう一つ。ユニフォームからは撤退したadidasですが、NBAとの関係が切れたわけではありません。今もNBA・WNBA・G Leagueの「Official Marketing Partner(公式マーケティングパートナー)」という立場で契約を続けていて、2025年10月16日には複数年の延長も発表されています。その発表ではアンソニー・エドワーズ、ジェームズ・ハーデン、ドノバン・ミッチェル、デイミアン・リラードといったadidasと契約している選手の名前が並んでいました。

以前NBAのスポンサー企業について書いた記事で、「ユニフォームを作っていないのにマーケティングパートナーとして残っているのは不思議で、なぜこの棲み分けが成立しているのか分からない」と書いたことがあったんですが、今回調べてみて少し腑に落ちました。報道によるとadidasは2002年からNBAのマーケティングパートナーだったそうで、ユニフォームを担当するより前から関係があったんですね。そして2015年にユニフォームをやめた理由が「リーグより選手個人に投資したい」だったことを考えると、エドワーズやミッチェルのような契約選手を前に出せるマーケティングの枠だけ残すというのは、むしろ筋が通っているように思えます。選手がadidasのシューズを履いてナイキのユニフォームで試合に出るのも、リーグのユニフォーム契約と選手個人のシューズ契約が別物だからで、よく考えると当たり前の光景なんですが、こうやって整理してみると面白いです。

まとめ

「ユニフォームを作る会社ってどれだけあるんだろう、adidasはいつから見なくなったんだろう」という素朴な疑問から調べ始めましたが、答えは「今はナイキの1社だけ(ロゴはスウッシュとジャンプマンの2種類)」で、adidasが担当していたのは2016-17シーズンまででした。しかもナイキとの契約が発表されるより前に、adidasのほうから先に更新しないと発表していたというのは完全に予想外でした。adidasの時代は試合用ジャージーにメーカーロゴが入っていなかったことや、Reebokが少しずつ担当チームを増やしていった流れも含めて、普段何気なく見ているユニフォームにもけっこうな歴史があるんだなと感じました。2037年まではナイキの時代が続くことが決まっているので、次にユニフォームのメーカーが変わるとしたら、たぶん今のNBAファンがだいぶ年を取ったころの話になりそうです。

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