NBAの優勝リングはどう作られる?ジュエラーの選定からデザイン決定、製作期間まで調べてみた

NBAの優勝リングはどう作られる?ジュエラーの選定からデザイン決定、製作期間まで調べてみた
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NBAのチャンピオンシップリングって、実際にはどうやって作られているんでしょうか。ファイナルが終わった瞬間にはもう存在していないはずのリングが、翌シーズンの開幕戦では選手の手元に届いています。その間にいったい何が起きているのか、今回は製作の裏側を調べてみました。

ジュエラーの選定からデザイン決定までの流れ

チャンピオンシップリングを作るジュエラーは、球団のオーナーが選びます。誰でも参入できる仕事ではなく、現在はJostensとJason of Beverly Hillsという2社がNBAのリング製作で知られています。Jostensはこれまでに46本のNBAチャンピオンシップリングを手がけてきた老舗で、Jason of Beverly Hillsは2009年以降に3本を製作しています。本数だけ見ればJostensが圧倒的多数派ですが、近年は新興勢力のJason of Beverly Hillsを選ぶ球団も出てきているわけです。優勝という1度きりの瞬間をどう形にするかという点で、オーナーごとに重視するポイントが違うのだと思います。

デザインの決め方は、2社でかなり違います。Jostensは、プレーオフのファイナル4に残った段階で、すべてのチームについてあらかじめデザインの原案を用意しておくそうです。優勝が決まった直後、その原案をチームに見せます。そのうえで選手に印象的だった試合のシーンを聞き、オーナーが入れたい要素も聞き取っていきます。そこから約3週間から4週間で最終デザインを仕上げるという、13段階の工程を踏みます。

一方のJason of Beverly Hillsは、試合終了の直後からデザインに着手します。まず手描きのスケッチを作り、それを3D CADモデルに変換したうえで、選手やオーナーの意見を反映して修正を重ねていくスタイルです。2015年のウォリアーズのリングでは、ステフィン カリー選手やドレイモンド グリーン選手、アンドレ イグオダラ選手と直接話し合ったとされています。さらにオーナーのジョー ラコブ氏とピーター グーバー氏からも提案を受けたと報じられています。優勝した瞬間の興奮を選手自身の言葉で聞き取りながらデザインに落とし込んでいく、という進め方のようです。

製作期間はおよそ4ヵ月、開幕戦に間に合わせる

優勝からリングが選手の手元に届くまでの期間は、だいたい4ヵ月とされています。前シーズンの王者には、新シーズン最初のホームゲームでリングが手渡されるのが現在の慣例です。6月にファイナルが終わり、10月の開幕戦に間に合わせるとなると、デザインから製作まで一気に進める必要があります。

Jason of Beverly Hillsは、自社でリングをすべて製作しており、6週間から8週間かかると説明しています。石は世界各地から調達され、その多くはカナダで研磨されているそうです。Jostensのほうは具体的な製作期間を公開していませんが、デザイン決定までの3週間から4週間に加えて、実際の製作にもそれなりの時間を要しているはずです。どちらの会社も、1年という短いサイクルの中で、全く新しいデザインを一から仕上げていることになります。

ダイヤモンドは200個超えが当たり前、金属は14Kホワイトゴールドが中心

使われる宝石の種類も、2社で違いがあります。Jostensは天然のダイヤモンドに加え、サファイアやルビー、エメラルドも使います。チームカラーに合わせる際などには合成石を使うこともあるそうです。Jason of Beverly Hillsが手がけた3本は、すべて天然石のみで作られています。

実際の数を見てみると、その規模の大きさがよく分かります。2011から12シーズンのマイアミ ヒートのリングはダイヤモンド219個で約10.8カラット、2011年のダラス マーベリックスは250個以上のダイヤモンドで約10カラットでした。2015年のウォリアーズはダイヤモンド240個とブルーサファイアで6カラットを超える石を使っています。比較のために挙げると、2008から09シーズンのレイカーズのリングは、テーブル部分に15個のダイヤモンドで2.85カラットでした。年を追うごとに、使われる石の数も規模も大きくなっている印象です。

チームとシーズンダイヤモンドの数カラット数
マイアミ ヒート(2011から12)219個約10.8カラット
ダラス マーベリックス(2011)250個以上約10カラット
ゴールデンステート ウォリアーズ(2015)240個(サファイア含む)6カラット超
レイカーズ(2008から09、テーブル部分のみ)15個2.85カラット

金属については、Jostens、Jason of Beverly Hillsのどちらも14Kホワイトゴールドが最も人気だとしています。プラチナやイエローゴールドが使われることもあるようです。コストについては、チーム全体の予算とリング1本あたりの支出額が球団ごとに設定されているとされていますが、具体的な金額は公開されていません。

誰がリングをもらえるのか、歴史はどこから始まったのか

チャンピオンシップリングは、NBAファイナルで優勝したチームの選手だけに贈られるものではありません。コーチや役員、フロント陣にも贈られます。この授与は1947年、最初のNBAファイナルから続いている伝統です。誰がどんな基準でもらえるのか、費用を実際に負担しているのは誰なのかについては、優勝リングの費用負担とタイミングを整理した記事で詳しくまとめています。

これだけ手間と時間をかけて、しかも毎年ゼロからデザインし直して作られるリングだけに、誰が何個持っているかという話題も尽きません。選手別の最多保有者については優勝回数ランキングをまとめた記事で整理しています。監督別の記録は歴代優勝監督ランキングの記事、チーム別の優勝回数はチーム別優勝回数ランキングの記事でそれぞれまとめているので、気になる方はあわせて読んでみてください。

2026年のニックスのリングは、ダイヤモンドとサファイアで約800個

直近の例として分かりやすいのが、53年ぶりに優勝したニックスの2026年のリングです。製作を手がけたのはJason of Beverly Hillsで、ニックスの首脳陣と密接に協力しながら仕上げたとされています。ホワイトゴールドをベースに、ダイヤモンドとブルーサファイアを合わせて約800個、総重量は22カラットという規模です。チームカラーを表すブルーサファイアが使われているのも特徴です。

仕掛けもかなり凝っています。内蔵の機構によって、マディソン スクエア ガーデンの外観を模した小さなモデルが持ち上がる構造になっているそうです。リングの上部は取り外せるようになっていて、回すとアリーナの天井部分が現れ、リング本体からは観客席の下層部分を再現したミニモデルが出てくるという仕組みです。

側面には優勝年の2026年、プレーオフ各シリーズの結果、ラリー オブライエン トロフィーが刻まれています。さらに選手名とダイヤモンドで縁取られた背番号も入っています。ファイナルMVPを獲得したジェイレン ブランソン選手のリングには、11番の背番号が刻まれている例が紹介されていました。リング周囲の WORLD CHAMPIONS の文字には69ポイントのラウンドダイヤモンドが使われており、これはレギュラーシーズンとプレーオフを合わせた69勝を表しているそうです。内側には、ファイナルでスパーズを4勝1敗で下したことを示す一文と、優勝に向けて集中して取り組んだ10週間を示す一文も刻まれています。1つのリングの中に、シーズン全体の物語を詰め込んでいるというわけです。

まとめ

  • ジュエラーは球団のオーナーが選び、現在はJostensとJason of Beverly Hillsが主な候補
  • デザインは優勝直後から数週間で決まり、選手やオーナーの意見が反映される
  • 製作から選手の手元に届くまではおよそ4ヵ月、開幕戦に合わせて仕上げられる
  • ダイヤモンドは200個を超えることも多く、金属は14Kホワイトゴールドが中心

優勝したチームが、短い期間であれだけ豪華なリングを一から作り上げているというのは、調べてみるまで正直あまり意識していませんでした。来シーズンの開幕戦で新しいリングが披露されるときは、この製作過程も思い出しながら見てみたいと思います。

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