NBAのノートレード条項とは?2026-27の保持者はリラード1人だけ|「通算8年+同一球団4年」の条件と歴代10人

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トレードの噂が出るたびに「あの選手はノートレード条項を持ってるから動かない」みたいな話を見かけますよね。でも実際にその条項を持っている選手は、2026-27シーズンのNBAにたった1人しかいません。

しかもこの制度、労使協定(CBA)の条文上は「禁止」から始まっています。この記事では、ノートレード条項の条件と、なぜここまで希少なのか、そして持っていない選手が代わりに何で身を守っているのかを整理しました。

ノートレード条項とは?条文は「原則禁止」から始まる

ノートレード条項(No-Trade Clause)は、球団が自分をトレードする権利を契約で制限する条項です。発動すれば選手はトレードを拒否できます。

ただしCBAの該当条文は、第24条「ノートレード契約の禁止」というタイトルから始まります。原則として「選手契約は、球団が当該契約を他球団へ譲渡する権利について、いかなる禁止または制限も含んではならない」と書かれているんです。つまりノートレード条項は例外として認められているだけで、デフォルトは禁止。ここがMLBやNFLとの大きな違いです。

条件は「NBA通算8年」+「同じ球団で4年」

例外が認められるのは、契約を結ぶ時点で次の2つを両方満たしている選手だけです。

  • NBA通算で8年以上のサービス年数がある
  • その契約を結ぶ同じ球団で4年以上のサービス年数がある

この「8年+4年」が、希少さのほぼすべてを説明しています。NBAでキャリア8年を超える選手自体が少数派で、そのうえ同じ球団に4年以上いなければならない。移籍が当たり前になった現代NBAでは、両方そろう選手が年に数人しかいないわけです。

そして見落とされがちなポイントが、「4年」は連続でなくてもいいという点。条文は「その球団で4年以上のサービス年数を提供した選手」としか書いていないので、一度出ていって戻ってきた選手でも、通算で4年あれば条件を満たします。これが次に出てくる1人のカラクリです。

2026-27シーズンの保持者はデイミアン・リラード1人だけ

現在リーグで唯一ノートレード条項を持っているのは、ポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードです。バックスからバイアウトで契約を解除された後、2025年7月にブレイザーズと3年4,200万ドル(2027-28はプレーヤーオプション)で合意し、そこにノートレード条項が入りました。

リラードはNBA通算で13年以上。そして2012年のドラフトから2023年にバックスへトレードされるまで、ポートランドで11シーズンをプレーしています。いったんミルウォーキーへ出てFAとして戻ってきた形ですが、前述のとおり「4年」は連続である必要がないので、きれいに条件をクリアしているわけです。

アキレス腱断裂からの復帰シーズンという事情も重なって、35歳の彼が「自分の意思でポートランドに残れる」状態になっているのは、制度と本人のキャリアが珍しくかみ合った結果だと思います。

歴代でもわずか10人ほどしかいない

報じられている限り、NBA史でノートレード条項を持ったことがある選手は10人前後です。名前を並べると、その希少さがよく分かります。

選手球団備考
ジョン・ストックトンジャズ1996年の延長契約
デビッド・ロビンソンスパーズキャリア前半の契約
コービー・ブライアントレイカーズレイカーズ一筋20年
ティム・ダンカンスパーズ2012年・3年3,600万ドル
ダーク・ノビツキーマーベリックス2010年の交渉時
ケビン・ガーネットセルティックス2012年・3年3,600万ドル
ドウェイン・ウェイドヒート2014年・2年3,110万ドル
カーメロ・アンソニーニックス2014年・5年1億2,400万ドル
レブロン・ジェームズキャバリアーズ2016年・3年1億ドル
ブラッドリー・ビールウィザーズ→サンズ5年2億5,100万ドル
デイミアン・リラードブレイザーズ2025年・3年4,200万ドル(現役唯一)

並べてみると、球団のレジェンドか、長期のマックス契約クラスの選手しかいません。「8年+4年」を満たしたうえで、球団側が拒否権を渡してもいいと判断するだけの立場が必要、ということです。

ちなみにビールのケースは、この制度が球団にとってどれだけリスクかを示した例としてよく挙げられます。ウィザーズで結んだ条項がサンズへのトレード後も有効に機能し、再トレードの難易度を大きく上げました。

レブロンが選んだ「15%のトレードキッカー」という代替手段

興味深いのが、2026年にフィラデルフィア・76ersへ移籍したレブロン・ジェームズです。彼はキャバリアーズ時代とレイカーズ時代にノートレード条項を持っていましたが、76ersの契約には入っていません。理由は単純で、76ersでのサービス年数が0年だから。「同じ球団で4年」を満たせないので、球団が渡したくても渡せないんです。

代わりに彼の2年契約(2026-27は約388万ドル、2027-28はプレーヤーオプション)には、CBAで認められる上限いっぱいの15%のトレードキッカーが入りました。

トレードキッカー(トレードボーナス)は、トレードされた場合に残り基本給の最大15%が上乗せされる仕組みで、こちらは年数の条件なしに誰の契約にも入れられます。拒否はできませんが、トレードすると相手チームの負担が増えるので、事実上の抑止力になる。「拒否権は無理だから、金銭的に動かしにくくする」という発想の代替手段です。

条項がなくても事実上トレードを拒否できる選手たち

もう一つ知っておきたいのが、ノートレード条項がなくても拒否権が発生するケースです。代表的なのは元の球団と1年契約(または2年目がオプションの契約)で再契約した選手。

このタイプの選手はトレードされるとバード権を失い、シーズン終了時にノンバード権しか持たない状態になります。再契約で不利になるので、CBAは本人の同意なしにトレードできないと定めています(交渉時に自ら権利を放棄した場合は除く)。

区分2026-27シーズンの該当選手
ノートレード条項デイミアン・リラード(ブレイザーズ)
1年契約での再契約(バード権喪失)アル・ホーフォード(ウォリアーズ)、ジョナサン・アイザック(マジック)、ケンリッチ・ウィリアムズ(サンダー)、トーマス・ブライアント(キャバリアーズ)、シモーネ・フォンテッキオ(ヒート)、ジャボンテ・グリーン(ピストンズ)
オファーシートをマッチされた選手ムサ・シセ(マーベリックス)、スペンサー・ジョーンズ(ナゲッツ)

つまり「トレードを拒否できる選手」は毎年10人弱いるものの、そのうち本物のノートレード条項を持っているのは1人だけ。残りは自分の将来の契約を守るために与えられた拒否権で、性質がまったく違います。

まとめ

  • CBA第24条はノートレード条項を原則禁止としており、例外として「NBA通算8年以上+同一球団で4年以上」を満たす選手にだけ認められる
  • 「同一球団4年」は連続でなくてもよい。一度出て戻った選手でも通算で足りれば条件を満たす
  • 2026-27シーズンの保持者はデイミアン・リラード1人(2025年・3年4,200万ドル)。歴代でも10人前後しかいない
  • 条件を満たせない選手は、最大15%のトレードキッカーを代替手段として使う(レブロンの76ers契約がその例)
  • 条項がなくても、1年契約で再契約してバード権を失う選手などは本人の同意なしにトレードできない

この拒否権が実際に効いてくるのは、やはり2月の数日間です。期限そのものの仕組みはNBAのトレードデッドラインとは?で、金額面の制約はサラリーキャップの仕組みのほうで整理しています。噂が飛び始めたときに「そもそもこの選手は拒否できるのか」を確認できると、受け取り方がだいぶ変わると思います。

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