「今シーズンの得点王は誰?」という話はよく出ますが、「歴代で一番多く得点王になったのは誰で、それは何回か」まで答えられる人は、意外と少ないのではないでしょうか。
2025-26シーズンの得点王はルカ・ドンチッチ。これで彼は通算2回目となりました。では、その上には誰がいるのか。今回は歴代得点王の最多回数ランキングを整理しつつ、「なぜジョーダンの10回が破られないのか」という話まで踏み込んでみます。
NBA歴代得点王 最多回数ランキング
2025-26シーズン終了時点で、得点王を複数回獲得している選手を並べると次のようになります。
| 回数 | 選手 | 獲得シーズン |
|---|---|---|
| 10回 | マイケル・ジョーダン | 1986-87〜1992-93、1995-96〜1997-98 |
| 7回 | ウィルト・チェンバレン | 1959-60〜1965-66 |
| 4回 | ジョージ・ガービン | 1977-78、1978-79、1979-80、1981-82 |
| 4回 | アレン・アイバーソン | 1998-99、2000-01、2001-02、2004-05 |
| 4回 | ケビン・デュラント | 2009-10、2010-11、2011-12、2013-14 |
| 3回 | ジョージ・マイカン | 1948-49、1949-50、1950-51 |
| 3回 | ニール・ジョンストン | 1952-53、1953-54、1954-55 |
| 3回 | ボブ・マカドゥー | 1973-74、1974-75、1975-76 |
| 3回 | ジェームズ・ハーデン | 2017-18、2018-19、2019-20 |
| 2回 | ジョー・フルクス | 1946-47、1947-48 |
| 2回 | ポール・アリジン | 1951-52、1956-57 |
| 2回 | ボブ・ペティット | 1955-56、1958-59 |
| 2回 | カリーム・アブドゥル=ジャバー | 1970-71、1971-72 |
| 2回 | エイドリアン・ダントリー | 1980-81、1983-84 |
| 2回 | シャキール・オニール | 1994-95、1999-00 |
| 2回 | トレイシー・マグレディ | 2002-03、2003-04 |
| 2回 | コービー・ブライアント | 2005-06、2006-07 |
| 2回 | ラッセル・ウェストブルック | 2014-15、2016-17 |
| 2回 | ステフィン・カリー | 2015-16、2020-21 |
| 2回 | ジョエル・エンビード | 2021-22、2022-23 |
| 2回 | ルカ・ドンチッチ | 2023-24、2025-26 |
まず目を引くのが、1位と2位の差ですよね。ジョーダンの10回に対して、2位のウィルトが7回。そして3位グループが一気に4回まで落ちます。
ジョーダン10回はなぜ破られないのか
ジョーダンの10回という数字を分解すると、その異常さがはっきりします。1986-87から1992-93までの7年連続、そして野球からの復帰後、1995-96から1997-98までの3年連続。つまり、フル稼働したシーズンではほぼ必ず得点王だったということです。
特に1986-87シーズンの37.1点は、ウィルト以外では歴代でも最高クラスの平均得点です。しかも、ここが重要なのですが、この時期のジョーダンは同時に守備でも最高レベルの評価を受けていました。得点を量産する選手が守備を免除されがちな現代とは、前提が違います。
現代の選手がこの記録に近づけない理由は、単に実力の問題ではありません。リーグ全体でスコアリングの水準が上がった結果、「30点取る選手」が同時に何人も存在するようになったからです。3ポイントシュート革命の推移を見るとわかりますが、得点手段が増えたぶん、突出した1人が10年独占するという状況が生まれにくくなっています。実際、直近12シーズンの得点王は7人が分け合っています。
ウィルト・チェンバレンの7年連続と、平均50.4点
2位のウィルト・チェンバレンは、1959-60から1965-66まで7年連続で得点王です。その中身が、もはや別の競技と言いたくなる水準でした。
| シーズン | 平均得点 |
|---|---|
| 1959-60 | 37.6点 |
| 1960-61 | 38.4点 |
| 1961-62 | 50.4点 |
| 1962-63 | 44.8点 |
| 1963-64 | 36.9点 |
| 1964-65 | 34.7点 |
| 1965-66 | 33.5点 |
1961-62シーズンの平均50.4点は、いまだに単一シーズンの最高平均得点として残っています。「1試合で50点取る」ではなく「1シーズン通して平均で50点」です。当時はペースが速く、1試合あたりのポゼッション数が現在よりずっと多かったという事情はありますが、それを差し引いても常識外れの数字です。
直近12シーズンの得点王一覧
最近の顔ぶれも整理しておきます。
| シーズン | 選手 | 平均得点 |
|---|---|---|
| 2025-26 | ルカ・ドンチッチ | 33.5点 |
| 2024-25 | シェイ・ギルジャス=アレクサンダー | 32.7点 |
| 2023-24 | ルカ・ドンチッチ | 33.9点 |
| 2022-23 | ジョエル・エンビード | 33.1点 |
| 2021-22 | ジョエル・エンビード | 30.6点 |
| 2020-21 | ステフィン・カリー | 32.0点 |
| 2019-20 | ジェームズ・ハーデン | 34.3点 |
| 2018-19 | ジェームズ・ハーデン | 36.1点 |
| 2017-18 | ジェームズ・ハーデン | 30.4点 |
| 2016-17 | ラッセル・ウェストブルック | 31.6点 |
| 2015-16 | ステフィン・カリー | 30.1点 |
| 2014-15 | ラッセル・ウェストブルック | 28.2点 |
ハーデンの2018-19シーズン、36.1点というのは近年では突出した数字です。この12年で7人が得点王になっているという分散ぶりが、ジョーダン時代との一番の違いだと思います。
知っていますか?得点王には「出場試合数の条件」があります
ここ、意外と知られていないポイントです。得点王は「平均得点が一番高い選手」が自動的になれるわけではありません。
2013-14シーズン以降のルールでは、最低58試合(82試合中)に出場することが条件です。58試合に満たない場合でも、獲得した総得点を58試合で割った数値がリーグ最高になるなら資格が認められる、という救済規定もあります。
この規定が実際に効いたのが2023-24シーズンでした。ジョエル・エンビードは平均33.1点を記録していましたが、出場が39試合にとどまったため資格を満たさず、33.9点のルカ・ドンチッチが得点王となっています。数字だけ見れば僅差ですが、規定がなければ結果は逆でした。
もうひとつ歴史的な変更点として、1968-69シーズンまでは「総得点」で得点王を決めていたことも押さえておくと面白いです。翌シーズンから平均得点方式に変わりました。通算の得点記録との違いについてはNBA歴代通算得点ランキングのほうが詳しいので、そちらも合わせてどうぞ。
得点王は、優勝やMVPとどこまで結びつくのか
「得点王=チームの勝利」ではない、という指摘はよく聞きます。実際、アレン・アイバーソンは4回も得点王になりながら優勝には届きませんでした(彼のキャリアについてはアイバーソンがNBAに刻んだ革命で書いています)。ジョージ・ガービンも4回の得点王で無冠です。
一方で、得点王・MVP・ファイナルMVPを同じシーズンに独占した選手は歴史上ごくわずかしかいません。この「三冠」については得点王・MVP・ファイナルMVPの三冠を手にした伝説で詳しく扱っています。得点王という称号が、個人としての凄さと勝利への貢献のちょうど境界線にあることがよく分かる話です。
ちなみに、シーズンごとの「リーグを代表する選手」という評価軸で見るなら、オールスター選出回数ランキングのほうが継続性を映します。得点王が瞬間的な突出だとすれば、オールスター選出は積み重ねの記録です。また、得点とは正反対の貢献を映すNBA歴代通算アシストランキングも、並べて見ると対比が効いて面白いですよ。
まとめ
- 歴代最多得点王はマイケル・ジョーダンの10回(7年連続+3年連続)
- 2位はウィルト・チェンバレンの7回。1961-62の平均50.4点はいまだ破られていない
- 3位はガービン、アイバーソン、デュラントの4回
- ルカ・ドンチッチは2025-26で2回目の得点王
- 得点王には最低58試合出場という条件がある(2013-14以降)
- 1968-69までは平均得点ではなく総得点で決めていた
- 直近12シーズンは7人が得点王を分け合っており、独占が起きにくい時代になっている
ジョーダンの10回は、実力だけでなく「30点取れる選手が今ほど多くなかった時代」という条件も味方していました。逆に言えば、現代でこれを追いかけるのは相当に難しい。ドンチッチやSGAが今後どこまで積み上げるのか、そういう視点で見ると得点ランキングもまた違って見えてくるはずです。

