「歴代で一番リバウンドを取った選手は?」と聞かれたら、たぶん多くの人がウィルト・チェンバレンを思い浮かべると思います。正解なのですが、問題はその中身です。23,924本。2位のビル・ラッセルにすら2,300本近い差をつけています。
そしてもうひとつ、この記事を書きながら「え、そうなんだ」と声が出たことがあります。現役選手で通算リバウンドが最も多いのは、センターではなくレブロン・ジェームズでした。NBA歴代通算リバウンドランキングを最新の数字で整理してみます。
NBA歴代通算リバウンドランキング TOP20
NBAレギュラーシーズン通算の総リバウンド数、上位20人です(ABA時代の記録は含みません)。
| 順位 | 選手 | 通算リバウンド |
|---|---|---|
| 1 | ウィルト・チェンバレン | 23,924 |
| 2 | ビル・ラッセル | 21,620 |
| 3 | カリーム・アブドゥル=ジャバー | 17,440 |
| 4 | エルビン・ヘイズ | 16,279 |
| 5 | モーゼス・マローン | 16,212 |
| 6 | ティム・ダンカン | 15,091 |
| 7 | カール・マローン | 14,968 |
| 8 | ロバート・パリッシュ | 14,715 |
| 9 | ケビン・ガーネット | 14,662 |
| 10 | ドワイト・ハワード | 14,627 |
| 11 | ネイト・サーモンド | 14,464 |
| 12 | ウォルト・ベラミー | 14,241 |
| 13 | ウェス・アンセルド | 13,769 |
| 14 | ハキーム・オラジュワン | 13,748 |
| 15 | シャキール・オニール | 13,099 |
| 16 | バック・ウィリアムズ | 13,017 |
| 17 | ジェリー・ルーカス | 12,942 |
| 18 | ボブ・ペティット | 12,849 |
| 19 | チャールズ・バークレー | 12,546 |
| 20 | ディケンベ・ムトンボ | 12,359 |
TOP20に現役選手がひとりもいません。歴代通算得点ランキングではTOP20に現役が6人もいたことを考えると、この差はかなり極端です。理由は後半で書きます。
ウィルトとラッセルの数字は、なぜここまで大きいのか
1位ウィルト、2位ラッセル。この2人だけ明らかに別の世界にいます。単純に「昔の選手が凄かった」という話ではなく、時代の条件が今とまったく違いました。
1960年前後のNBAはとにかくシュートを撃ちまくり、そして今よりずっと入りませんでした。撃つ本数が多く成功率が低いということは、コート上に転がるリバウンドの絶対数が桁違いに多かったということです。取る側の能力が同じでも、チャンスの数が違えば総数は変わります。
それを示す数字がこちらです。
| 記録 | 内容 |
|---|---|
| 1試合最多リバウンド | ウィルト・チェンバレン 55本(1960年11月24日、対セルティックス) |
| 同2位 | ビル・ラッセル 51本(1960年2月5日、対シラキュース) |
| 1シーズン平均最多 | ウィルト・チェンバレン 27.2本(1960-61/通算2,149本) |
| マージ後(1976年〜)の1試合最多 | モーゼス・マローン 37本(1979年2月9日) |
1試合55本、しかも前半だけで31本。そして、この試合ウィルトのチームは負けています。数字が現実離れしすぎていて逆に感情がついてきません。
ちなみにNBAがリバウンドを公式記録として集計し始めたのは1950-51シーズンからです。それ以前の選手の通算リバウンドは、そもそも存在しません。
なお2位のビル・ラッセルは、個人の優勝回数でも歴代最多の11回を記録しています。リバウンド2位・優勝11回という組み合わせが、この選手の異常さを一番よく表していると思います。
現役最多はレブロン。TOP20に現役がいない理由
現役選手の通算リバウンド上位はこうなっています。
| 選手 | 通算リバウンド | 歴代順位 |
|---|---|---|
| レブロン・ジェームズ | 12,095 | 23位 |
| アンドレ・ドラモンド | 11,513 | 27位 |
| デアンドレ・ジョーダン | 10,861 | 33位 |
| ニコラ・ブーチェビッチ | 10,707 | 35位 |
| ルディ・ゴベア | 10,572 | 36位 |
現役最多がレブロン、というのがこのランキングの一番の見どころです。ポジションはウイングで、リバウンドを最優先の仕事にしたことは一度もない選手が、歴代のビッグマンを次々に抜いて23位まで来ています。
からくりは23シーズン1,622試合という出場数です。1試合あたりの本数で勝てなくても、試合数で押し切ってしまう。レブロンの記録の多くが同じ構造で成立しています。
逆に、なぜ純粋なセンターが上位に来なくなったのか。現代バスケではビッグマンがゴール下に張り付かず、3ポイントラインの外まで出てくるようになりました。リバウンドを取れる位置にいる時間そのものが減っています。加えて、ゴール下を1人で任せず全員で守る戦術も一般化しました。
この流れは3ポイント成功数の歴代ランキングを見るとより分かりやすいです。あちらは逆に現役だらけになっています。同じ「通算記録」でも、時代の風向きで真逆の表になるのが面白いところです。
ABAを含めると順位が変わる、という落とし穴
リバウンド記録を調べていると、サイトによって順位が違うことがあります。原因はABA(アメリカン・バスケットボール・アソシエーション)の記録を含めるかどうかです。
NBA・ABA合算で数えると、モーゼス・マローンは16,212本ではなく17,834本となり、3位に浮上します。さらにABAで長く活躍したアーティス・ギルモアが16,330本で5位に入ってきて、TOP10の並びが変わります。
どちらが正しいという話ではなく、集計範囲が違うだけです。この記事の表はNBA記録のみで統一しています。ランキング系の数字を比べるときは、この前提を確認しておくと混乱しません。
まとめ
- 歴代1位はウィルト・チェンバレンの23,924本。2位ラッセルとの差は約2,300本
- 1試合最多はウィルトの55本、1シーズン平均最多も同じくウィルトの27.2本
- NBAがリバウンドを公式集計し始めたのは1950-51シーズンから
- TOP20に現役はゼロ。現役最多はレブロンの12,095本(歴代23位)
- ABAを含めるとモーゼス・マローンは17,834本で3位に上がる
得点記録が毎年更新されていくのに対し、リバウンドの上位は60年以上ほぼ動いていません。ルールも戦術も変わった今、この表が塗り替わる可能性は正直かなり低いと思います。だからこそ、ウィルトとラッセルの数字が化石みたいに残り続けているわけです。
通算記録シリーズはほかにもあります。歴代トリプルダブル最多ランキングも、リバウンドが絡む記録として一緒に読むと面白いはずです。

