オールスターウィークエンドで一番話題になるイベントといえば、やはりスラムダンクコンテストではないでしょうか。ただ「歴代の優勝者を全部言える人」は、意外と少ないと思います。マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントが優勝しているのは有名ですが、では2026年の優勝者が誰だったか、すぐに出てきますか。
この記事では1984年から2026年までの歴代優勝者を一覧で整理し、そのうえで「3回優勝」「殿堂入り」「優勝リングとの両立」といった記録を数字で追いました。そして最後に、この4年で起きている大きな変化についても触れます。
NBA歴代スラムダンクコンテスト優勝者一覧(1984〜2026)
現在のオールスターウィークエンド形式のダンクコンテストは1984年にスタートしました。1998年は2Ballコンテストに差し替えられ、1999年はロックアウトでオールスター自体が中止になったため、この2年は開催されていません。
| 年 | 優勝者 | 当時の所属 |
|---|---|---|
| 1984 | ラリー・ナンス | サンズ |
| 1985 | ドミニク・ウィルキンス | ホークス |
| 1986 | スパッド・ウェブ | ホークス |
| 1987 | マイケル・ジョーダン | ブルズ |
| 1988 | マイケル・ジョーダン | ブルズ |
| 1989 | ケニー・ウォーカー | ニックス |
| 1990 | ドミニク・ウィルキンス | ホークス |
| 1991 | ディー・ブラウン | セルティックス |
| 1992 | セドリック・セバロス | サンズ |
| 1993 | ハロルド・マイナー | ヒート |
| 1994 | J.R.ライダー | ティンバーウルブズ |
| 1995 | ハロルド・マイナー | ヒート |
| 1996 | ブレント・バリー | クリッパーズ |
| 1997 | コービー・ブライアント | レイカーズ |
| 1998 | 開催なし(2Ballコンテスト) | — |
| 1999 | 開催なし(ロックアウト) | — |
| 2000 | ビンス・カーター | ラプターズ |
| 2001 | デズモンド・メイソン | スーパーソニックス |
| 2002 | ジェイソン・リチャードソン | ウォリアーズ |
| 2003 | ジェイソン・リチャードソン | ウォリアーズ |
| 2004 | フレッド・ジョーンズ | ペイサーズ |
| 2005 | ジョシュ・スミス | ホークス |
| 2006 | ネイト・ロビンソン | ニックス |
| 2007 | ジェラルド・グリーン | セルティックス |
| 2008 | ドワイト・ハワード | マジック |
| 2009 | ネイト・ロビンソン | ニックス |
| 2010 | ネイト・ロビンソン | ニックス |
| 2011 | ブレイク・グリフィン | クリッパーズ |
| 2012 | ジェレミー・エヴァンス | ジャズ |
| 2013 | テレンス・ロス | ラプターズ |
| 2014 | チーム戦(イースト優勝/個人はジョン・ウォール) | ウィザーズ |
| 2015 | ザック・ラビーン | ティンバーウルブズ |
| 2016 | ザック・ラビーン | ティンバーウルブズ |
| 2017 | グレン・ロビンソンIII | ペイサーズ |
| 2018 | ドノバン・ミッチェル | ジャズ |
| 2019 | ハミドゥ・ディアロ | サンダー |
| 2020 | デリック・ジョーンズJr. | ヒート |
| 2021 | アンファニー・サイモンズ | ブレイザーズ |
| 2022 | オビ・トッピン | ニックス |
| 2023 | マック・マクラング | 76ers |
| 2024 | マック・マクラング | マジック |
| 2025 | マック・マクラング | マジック |
| 2026 | キシャド・ジョンソン | ヒート |
開催されたのは1984年から2026年までで41回。2014年はチーム戦だったため、個人として優勝を手にしたのは40大会、人数では32人です。43年の歴史で32人しかいない、と考えるとなかなか狭い扉です。
3回優勝はネイト・ロビンソンとマック・マクラングの2人だけ
複数回優勝している選手を並べると、こうなります。
| 優勝回数 | 選手 | 優勝年 |
|---|---|---|
| 3回 | ネイト・ロビンソン | 2006, 2009, 2010 |
| 3回 | マック・マクラング | 2023, 2024, 2025 |
| 2回 | マイケル・ジョーダン | 1987, 1988 |
| 2回 | ドミニク・ウィルキンス | 1985, 1990 |
| 2回 | ハロルド・マイナー | 1993, 1995 |
| 2回 | ジェイソン・リチャードソン | 2002, 2003 |
| 2回 | ザック・ラビーン | 2015, 2016 |
3回優勝は41回の歴史でこの2人だけ。そして3年連続で優勝したのはマクラングただ1人です。ロビンソンは2006年のあと2年空けて2009・2010と連覇しているので、「3連覇」という点ではマクラングが単独の記録保持者になります。
ちなみにロビンソンは公称175cm。身長が低い選手のダンクとジャンプ力については別記事で数字を追っていますが、ダンクコンテストの歴代最多優勝タイがこのサイズの選手だというのは、このイベントの面白さをよく表していると思います。
殿堂入りは4人、「優勝リングとダンク王」の両方は5人
32人の優勝者のうち、バスケットボール殿堂(ネイスミス殿堂)に入っているのはマイケル・ジョーダン、ドミニク・ウィルキンス、コービー・ブライアント、そしてドワイト・ハワードの4人です。ハワードは2025年のクラスで初年度選出されました。
一方、NBAチャンピオンリングとダンクコンテスト優勝の両方を持っているのは、ジョーダン、J.R.ライダー、コービー、ブレント・バリー、ドワイト・ハワードの5人。32人中5人ということは、ダンク王の8割以上は優勝経験がないわけです。コービーのキャリア全体についてはコービー・ブライアントという男でも書いています。
身長の両極は170cmと211cm
歴代最小の優勝者は1986年のスパッド・ウェブで、公称5フィート7インチ(約170cm)。逆に最も身長が高い優勝者は2008年のドワイト・ハワードで6フィート11インチ(約211cm)。41cmの差があります。
なお出場者まで広げると、最長身は7フィート4インチ(約224cm)のラルフ・サンプソン。ただしサンプソンは優勝していません。
この4年、優勝者は全員ドラフト外。出場者層が変わってきている
一覧を眺めていて一番引っかかるのは、ここ数年の優勝者の顔ぶれです。2023年から2026年までの4大会を制したのは、マック・マクラング(3回)とキシャド・ジョンソン(1回)。この2人はどちらもNBAドラフトで指名されなかった選手です。つまり4年連続でドラフト外の選手がダンク王になっています。
そしてマクラングの経歴がかなり象徴的です。3連覇を達成した一方で、NBAのレギュラーシーズン出場は通算17試合(ブルズ、レイカーズ、76ers、マジック、ペイサーズの5チーム)。その代わりGリーグでは2023-24と2025-26にMVPを受賞し、2026年3月の59得点でGリーグ通算得点の歴代1位に到達しました。
そのマクラングは2026年のダンクコンテストに出場せず、同年8月にスペインのリーガACB、バスケット・ジローナと契約してヨーロッパへ渡っています。NBA本契約の座をつかみきれないまま、ダンクコンテストだけは3年連続で制した選手が海外に出ていったわけです。NBA定着の難しさという意味では、2way契約の厳しさと地続きの話だと思います。
1980〜2000年代はジョーダン、ウィルキンス、コービー、カーター、ハワード、グリフィンといったリーグの看板選手が優勝する大会でした。それが2010年代後半以降は、オールスター本戦に出るクラスの選手がほとんど出場しなくなり、ロスター当落線上の選手やGリーグ経験者が主役になっています。「スターが出ない問題」はよく言われますが、優勝者の属性まで追うと変化がはっきり数字で出てきます。
2026年のダンクコンテストで何が起きたか
2026年2月14日、Intuit Domeで行われたAT&Tスラムダンクの出場者は4人でした。
| 選手 | 所属 | 1回戦の合計 | 結果 |
|---|---|---|---|
| カーター・ブライアント | スパーズ(2025年14位指名のルーキー) | 94.8(45.6+49.2) | 決勝進出・2位 |
| キシャド・ジョンソン | ヒート(2年目) | 92.8(47.4+45.4) | 優勝 |
| ジャクソン・ヘイズ | レイカーズ(7年目) | 91.8(44.6+47.2) | 1回戦敗退 |
| ジェイス・リチャードソン | マジック(2025年25位指名のルーキー) | 88.8(45.4+43.4) | 1回戦敗退 |
決勝はキシャド・ジョンソンが49.6+47.8の計97.4、カーター・ブライアントが50.0+43.0の計93.0。この大会で唯一の50点満点を出したのはブライアントで、ボールを高く投げ上げてから股下を通すダンクでしたが、2本目が43.0に落ちて逆転されました。
優勝したジョンソンは身長198cm(6フィート6インチ)のフォワードで、2024年ドラフト外からヒートに入った選手。優勝時点でのNBA出場は今季21試合、直前までGリーグのスーフォールズ・スカイフォースにいました。ヒートの試合前ウォームアップでダンクを決めることから「Showtime」の愛称がついた選手です。
なお審判役の審査員にはブレント・バリー、ドワイト・ハワード、ネイト・ロビンソン、ドミニク・ウィルキンスという歴代優勝者が並びました。ジェイス・リチャードソンは2002・2003年の連覇者ジェイソン・リチャードソンの息子で、親子でのダンクコンテスト出場という点でも注目された一戦でした。
採点とルールの基本
現在の採点は1本あたり50点満点で、1回戦は2本の合計、上位2人が決勝に進んで再び2本の合計で争う形です。2007年以降は1本のダンクにつき制限時間2分、試技は最大3回までというルールが入りました。それ以前は成功するまで何度でも挑戦できたため、試合が長引くことがありました。
決勝の決め方も時期によって変わっています。2008年からは携帯のテキスト投票でファンが決勝を決める方式が入り、2012年にはTwitterを含むファン投票のみで決着。その後2021年から再び審査員が決勝を判定する形に戻りました。オールスター全体の選出制度についても投票の重みづけが何度も変わっていて、その経緯はオールスターの選出方法と新フォーマットで整理しています。
まとめ
歴代ダンクコンテストの数字をまとめます。
- 1984年から2026年までの開催は41回(1998年・1999年は未開催)。個人優勝者は32人
- 3回優勝はネイト・ロビンソンとマック・マクラングの2人、3連覇はマクラングのみ
- 殿堂入りはジョーダン、ウィルキンス、コービー、ハワードの4人
- NBA優勝とダンク王の両方を持つのは5人だけ
- 最小優勝者はスパッド・ウェブ約170cm、最長身はドワイト・ハワード約211cm
- 2023〜2026年の4大会は全てドラフト外の選手が優勝
- 2026年はヒートのキシャド・ジョンソンが97.4でカーター・ブライアントを逆転
「スターが出なくなった」と言われ続けているイベントですが、優勝者の経歴を追っていくと、むしろNBAの入口で戦っている選手たちのショーケースに変わってきたという見方もできます。どちらが良いかは好みの分かれるところですが、少なくとも退屈な大会ではなくなっていると思います。オールスターに何度も選ばれるトップ選手たちの蓄積はオールスター選出回数ランキングにまとめているので、こちらも併せてどうぞ。


